金になるなら何でも売ってやるー元公爵令嬢、娼婦になって復讐しますー

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リリスとしての仕事 第一王子の場合Ⅱ

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「そんなにアドラー公の事が気になるのか?」


しつこく聞きすぎただろうか。疑われただろうかと伺うがどちらかというと嫉妬しているようだ。


「そうですね。公爵家がそのような目に遭うのは珍しいことですから。」


怪しまれたか。王子を観察するが、こちらを訝しむ様子もないので、ただの興味本位の体を貫く。


「リリスから他の男の名前なんて聞きたくない。」


「あら妬いてくださるのですか?」


仕方ない人、と呟いて頬にキスをする。

こんなことで喜んで貰えるならいくらでもしてあげる。


だから、もっと『リリス』に溺れて。


私がいないと生きられなくなって。




父の、弟の最期を知っている。


それは、彼が二人の死に関わっていたことの証拠のように思えた。


アドラー家に関する市井の噂は集めていたがそこまで詳しいものではない。




まだ確実じゃない。

だけど何年もかかって漸く掴んだ証拠だ。



もっともっと、教えて貰いたいことがある。

だから、もっと私を好きになって。




頬からのキスに始まり、額、唇と反応を見ながら続ける。

酒に弱い彼は、もう頬が赤くなりボーとしていた。


「クロウ様。ドレス脱がせてくれません?」


耳元で囁けば、コクリと頷いた彼によって、ドレスが脱がされていく。

ドレスだからと久し振りにコルセットを締めたが、逆に新鮮なのか嬉しそうだ。


髪の毛から貰った薔薇の簪が滑り落ちる。

全てを脱がされた後、


「少し待っていてください」


と急いで魔法を使いお湯を作り、お風呂を溜めた。

いつものように身体を洗い、一緒に湯船に浸かる。


此処のお風呂は広く、別にくっ付かなくても良いくらいなのだが、恋人のように横にいる。


お互いの身体を触り合っていると、そのまま縁に掴まされて立たされた。


後ろからゆっくりと挿入され、その快感に少し腰が動いてしまう。


「リリス。綺麗だ。」


背中にキスをされ、ゆっくり動かれる。


少しずつ滑りが良くなってくる感覚に、羞恥を覚えて顔を伏せた。


よく響く自分の声を聞きたくなくて、我慢していれば彼の指を口の中に入れられ、舌を弄ばれる。


涎がお湯の中に垂れるのも構わずに、獣のように交わった。


「クロウ様っ、ここだと風邪を引いてしまいます。」


お湯が冷めてきた為、外に出たいと提案してみると、抱き抱えられて、そのままベッドに運ばれる。


「身体を拭かないとベッドが濡れてしまいますよ。」


起き上がろうとすると、上に跨がり止められる。濡れた髪を撫でる仕草に優しさとほんの少しの荒々しさを感じた。


少しイライラしているみたいだ。


「俺がいれば良いだろう?なのにどうして他の男の所に行くんだ。いっそのこと、どこにも行けないように籠に閉じ込めてやろうか。」


少し乱暴に首筋を甘噛みされる。


痛い。

ひっぱたいてやりたいが我慢する。


「私は花でございます。手折るのは簡単ですが、一度折られれば元には戻りません。閉じ籠られれば枯れるのを待つばかり。どうか怒りを収めください。いつか自由になったその時に、きっと貴方の側にいますから。」


彼の首に手を回し口付けを交わす。


それが合図となって、再び彼が私の中に挿入ってきた。


待ちきれなくなったように腰を動かすと、頬を撫でられた。


そして徐々に動き始める彼に合わせて、私も動かす。


やっぱり顔を見ると背中がゾワゾワとするが、快感に翻弄されたふりをして瞳を閉じてしまえば大丈夫だ。


お湯に含まれた媚薬成分が効いてきて、身体が熱かった。

所在なげにベッドのシーツを一生懸命握る。


舌を入れられ、深く絡み合わせる。

頭がふわふわとして気持ちよくなった。


段々と速くなる腰に、私では動きを合わせることが出来なくなり翻弄され、声を漏らすだけになった私に彼は何度も愛を囁く。


「愛してる。リリス。いなくならないでくれ。」


言われれば言われるほど、虚しさを覚えてしまう。身体は熱くなっていくのに心は冷えきっていった。


腰を持たれ、深く突き刺さる彼の肉棒に、私は苦しさと快楽を覚える。

思考が段々と白く塗り潰され、どこか高いところから落ちるような感覚に襲われ、彼の背へと手を回ししがみついた。


「クロウ様っ!......もうっ!」


達してしまった恥ずかしさと快楽に、どうしようもなくなるが、残念なことにまだ第一王子は動いていた。


「やっ!」


首をブンブンと振ってみるが、


「もう少しだから。」


と続けられる。

また快楽の並が襲ってきて、二度、三度と小さく達する。


「はっ。凄いなリリスは。」


彼の形が分かるくらい、自分でも締め付けているのは分かっているが力を抜こうとしても抜けなかった。

快楽から逃げようとして腰が動くのを、王子に抑えられて止められる。


「気持ちいいか?」


「きもちいっですっ」


問われたことに答えれば笑われる。

解せない。と思うが反抗も出来なかった。


「ほらリリス。出すよ。」


彼の顔が少し歪んだ後、

腰の動きが更に激しくなって、私を襲う。

獣のような声が自分から出て、いつもながらに驚くが、そんなことを気にしている場合でもない。


奥からドクドクと脈打つ感覚が伝わってくる。






終わった後の彼は私をまるで壊れやすいガラス細工のように扱う。


男の人には賢者タイムというのがあるらしく、他のお客様ではタバコを吸いたがったり、お酒を飲みたがったり、一人になりたいという方もまあいるのだが、第一王子はずっと私を撫でている。


肌が気持ち良いのだろうだ。

触り方も本当に優しい。


そんなに私のことが大切ですか?


彼が自分の身分を隠して娼館に出入りしていたときに聞いたことがあった。


『世界で一番大切だ。』


そんな風に誇らしそうに言うこの人を、馬鹿な男だと思った。

それは今でも思っている。


私は娼婦だ。


身体を売ってまでお金を稼ごうとする汚い女。


お客様に言う言葉の9割は嘘だし、それを分かって遊び相手とされるお客様が多い。


なのにどうしてこの人は、私のことをこんなにも大事にしてくれるのだろうか。


本当に馬鹿な人。



「愛してるよ。リリス。」



囁かれて、胸が詰まってすぐに返せない。



「ありがとうございます。」



辛うじて言えたのはそんな娼婦失格な返しだけだった。





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