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0 prologue 私は誰で、ここはどこ?
うがい、手洗いは入念に!
しおりを挟む驚いた様子で、まじまじとベッドの上の私を見る。
よく聞こえなかったのかしら? もう一度。
「私は風邪で熱が出た後です。エルヴィス様が体調を崩されたら、私……」
少しの沈黙の後、エルヴィス様は遠慮なく笑った。
「ははは、リナの風邪なら移されてみたいけれど」
私が子供を叱るように、眉根を寄せると、
「解ったよ。良くない発言だった。謝る。けど、手洗いうがいとは?」
「風邪のウイルスがついたかもしれませんから、手をキレイに洗って、うがいして、ウイルスを流してください。予防の第一歩です」
手のひらをもう片方の手の甲に重ねて、指の間に指を滑らせるゼスチャーをしながら、訴えかける。
「風邪の予防?」
「そうです。手のひらに石鹸をつけるだけではなく、ちゃんと泡立てて、こう、指と指の間に洗い残しがないよう……」
左手で、右手の親指を握り込んで、きゅっきゅっと滑らし回すようにして見せ、
「指の一本一本もちゃんと洗ってくださいね。あと、うがいも、お茶を水で薄めたものを使って、出来ればちゃんと歯磨きをした方がより効果が高いです」
私の説明を真面目な顔で聴いている生徒さんに力説する。
「それで風邪が防げるのかい? それを知っているリナは、今、風邪に負けているようだけれど?」
うっ、痛いところを! ……説得力がないかしら。
「私は、外でウイルスを拾ったのではなくて、暖かくしたり湿度を保ったりといったケアを疎かなまま、お勉強で夜更かしをした疲労から、免疫力を落とした結果ひいた風邪です」
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