婚約破棄出来ない!?から始まる悪役令嬢の憂鬱

桜花ª

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0 prologue 私は誰で、ここはどこ?

私の婚約者は、イタズラが好き?

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「期待させて悪いけど、まだ、お預けかな?」

 笑いをこらえるような声が降ってきて、恐る恐る眼を開くと、楽しそうに眼を細めたエルヴィス様と、視線が合った。

 私の肩の両隣に手を突き、私はその腕の空間に閉じ込められた状態で、エルヴィス様は、笑いを少しもらしつつもこらえながら、私を見下ろしていた。

「実に残念なんだけど、このまま楽しい事に突入したいのだけど、私達はまだ結婚していないし、君は今、具合が悪いからここにいる。そうだね?」
「は……い」

「いい子だ。この先の素敵な時間は、結婚した後の楽しみにとっておくよ。今夜は、ゆっくりおやすみ」

 優しく、私の前髪を払い、額にキスをすると、体を起こしてベッドから離れる。
 一度だけ頭を撫で、頬を覆うように手を添えると、眼を細め微笑んで立ち上がった。
 添えた手を離し際、ふわっと、親指が私の唇を撫でていく。

「次に会うときは、元気な顔を見せてくれ。リナ、おやすみ。共に暮らし君のそばで安らげる日を楽しみにしているよ」

 侍従を伴って、私の寝室から立ち去ってゆく。

 嵐のような時間が過ぎて、ほっと息を吐いた。



「はっ。エルヴィス様! この部屋を出られましたら、すぐに手を洗ってうがいをなさってくださいね!」
 慌てて上半身を起こし、去りゆく背に声をかける。

 びっくりまなこで振り返り、私を見るエルヴィス様。


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