婚約破棄出来ない!?から始まる悪役令嬢の憂鬱

桜花ª

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0 prologue 私は誰で、ここはどこ?

ここはお城、私は……貴族令嬢……よね?

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 いろんなカップルがくるくる回りながら踊っているのを、ただ黙って壁にそって立ち、眺めている。
 (ドレスがかさばって壁にもたれられないし、汚したりまわりに引っ掛けたりしたくないから、少しだけ空間を空けて、でも他人と当たらないように、壁の花になる)


 ──まず、頭の中を整理しよう。


 お城の舞踏会で、ドレスを着て参加している以上、私もいわゆる令嬢と呼ばれる人達のひとり……と思われる。

 クリームっぽい淡い黄色のドレス。袖や肩の、絹の布地とオーガンジーの切り返しや膨らみを整える部分に若草色のリボンがあしらわれ、それでも周りの人達に比べると、地味なデザインだ。少しホッとする。
 スカートの開いた部分から、淡いピンク色のレースがのぞいている。
 裾を捌き直すために少し俯くと、肩からさらりと髪が滑り出す。
 これがまた、ドレスのレースと似た、ピンクがかった金髪だ。ピンクブロンド? 染めてるのかしら?

 髪に手をやり、くるくる巻かれている束からこぼれた髪を、指に巻いてまとめ直す。染めてるとは思えない、綺麗な透明感と艶のある髪。
 日本人にこんな髪はないよね……

 ──日本人?

 周りの人達はどう見ても西洋人にしか見えない。

 私は……令嬢な、西洋人なのかしら?


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