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選択の時
五
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「ユキナリ……? それが、この人の名前なの?」
私はミルビーの方を見ながら、Xを指さした。ミルビーは頷く。
「葛藤ミキサーで一緒に入ったでしょ、彼の葛藤を見た。いや、ボクはそれよりも前に、彼の名前を知っていた……。今思えば、思い出の中に入った子の友達だもんね。だから、妙に彼に懐かしさを感じたんだね」
うんうんとミルビーは頷き、なにか一人で納得しているようだった。私は首を傾げながら、震え始めたユキナリを見つけた。一人二役のように動いていて忙しそうだ。
「うるさい! ああそうだよ、そうさ、ここでもヒーローを殺した。ぼくは君の手を借りて、いろんな人たちを消した! だって憎いんだ! なんでもない人達が、ぼくをいじめてた人達に見えてきて! 殺したって、消したって、憎悪が消えない……」
「だから殺人鬼のボクの手を借りた。よかったね、君は自分を殺すことに成功したんだ」
「何だって?」
「親友を殺した罪でボクに殺してくれとせがみ、ここでもう一度チャンスを与えられたのに、また、消したんだよ。ボクの手を借りて」
私はミルビーの方を見ながら、Xを指さした。ミルビーは頷く。
「葛藤ミキサーで一緒に入ったでしょ、彼の葛藤を見た。いや、ボクはそれよりも前に、彼の名前を知っていた……。今思えば、思い出の中に入った子の友達だもんね。だから、妙に彼に懐かしさを感じたんだね」
うんうんとミルビーは頷き、なにか一人で納得しているようだった。私は首を傾げながら、震え始めたユキナリを見つけた。一人二役のように動いていて忙しそうだ。
「うるさい! ああそうだよ、そうさ、ここでもヒーローを殺した。ぼくは君の手を借りて、いろんな人たちを消した! だって憎いんだ! なんでもない人達が、ぼくをいじめてた人達に見えてきて! 殺したって、消したって、憎悪が消えない……」
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「何だって?」
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