魂選塔

中釡 あゆむ

文字の大きさ
上 下
235 / 246
選択の時

しおりを挟む
記憶喪失……。ミルビーがぽつりと呟き、困惑した顔で後ずさった。みんな驚いているようだったが、それなら、とリスリが前に出た。


「確かに……ミルビーの人格が変化したのにも納得ができる。でも、それならXはどうして輪廻転生していないんだ? 他殺者なら普通にできるんじゃないのか?」


リスリがチルギを見ながら問いかけたことで、チルギも何とか頷いたようだった。私も頷き、彼女を一瞥してミルビーに視線を戻した。


「Xは四十九日を迎えてもその日、天界へ行くことができなかったんだと思う。ミルビーの魂に融合してたから。ねえ、X。あなた、五十日目の霊でしょう」


私はミルビーの半分の方、黒髪の彼を見つめた。五十日目、と言うのは自分で言っていたことだ。


もうひとつ、四十九日を超えた魂は霊になり、色々思い出す、と聞いた。チルギたちがその例だろう、思い出し、忘れそうになって思い出し続けたはずだ。


しかしXはその上でずっとミルビーの中に潜んでいた。二つの魂は混ざりあって一体化していたのに、葛藤ミキサーに入って二つにわかれてしまったのだ。彼が葛藤ミキサーに入るのを嫌がったのはそれを察したからだろう。彼はあの中で、自分の葛藤を見たのだ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

怪異語り 〜世にも奇妙で怖い話〜

ズマ@怪異語り
ホラー
五分で読める、1話完結のホラー短編・怪談集! 信じようと信じまいと、誰かがどこかで体験した怪異。

Gゲーム

ちょび
ホラー
──参加する為の条件は【神】に選ばれること── 参加するだけで1000万円を貰える夢のようなゲーム「Gゲーム」。 特設されたガチャから出てくるミッションをこなせばさらに賞金が上乗せされ、上限もない。 但しミッションに失敗すると罰金があり、賞金が減額されてしまう。 Gゲームの最終目標は決められたエリアで1週間過ごす事。それだけ。 これは【神】に選ばれそんなゲームに参加した少年少女の物語。

【電子書籍化】ホラー短編集・ある怖い話の記録~旧 2ch 洒落にならない怖い話風 現代ホラー~

榊シロ
ホラー
【1~4話で完結する、語り口調の短編ホラー集】 ジャパニーズホラー、じわ怖、身近にありそうな怖い話など。 八尺様 や リアルなど、2chの 傑作ホラー の雰囲気を目指しています。 現在 100話 越え。 エブリスタ・カクヨム・小説家になろうに同時掲載中 ※8/2 Kindleにて電子書籍化しました 【総文字数 700,000字 超え 文庫本 約7冊分 のボリュームです】 【怖さレベル】 ★☆☆ 微ホラー・ほんのり程度 ★★☆ ふつうに怖い話 ★★★:旧2ch 洒落怖くらいの話 『9/27 名称変更→旧:ある雑誌記者の記録』

王太子殿下の小夜曲

緑谷めい
恋愛
 私は侯爵家令嬢フローラ・クライン。私が初めてバルド王太子殿下とお会いしたのは、殿下も私も共に10歳だった春のこと。私は知らないうちに王太子殿下の婚約者候補になっていた。けれど婚約者候補は私を含めて4人。その中には私の憧れの公爵家令嬢マーガレット様もいらっしゃった。これはもう出来レースだわ。王太子殿下の婚約者は完璧令嬢マーガレット様で決まりでしょ! 自分はただの数合わせだと確信した私は、とてもお気楽にバルド王太子殿下との顔合わせに招かれた王宮へ向かったのだが、そこで待ち受けていたのは……!? フローラの明日はどっちだ!?

目覚めれば異世界!ところ変われば!

秋吉美寿
ファンタジー
体育会系、武闘派女子高生の美羽は空手、柔道、弓道の有段者!女子からは頼られ男子たちからは男扱い!そんなたくましくもちょっぴり残念な彼女もじつはキラキラふわふわなお姫様に憧れる隠れ乙女だった。 ある日体調不良から歩道橋の階段を上から下までまっさかさま! 目覚めると自分はふわふわキラキラな憧れのお姫様…なにこれ!なんて素敵な夢かしら!と思っていたが何やらどうも夢ではないようで…。 公爵家の一人娘ルミアーナそれが目覚めた異なる世界でのもう一人の自分。 命を狙われてたり鬼将軍に恋をしたり、王太子に襲われそうになったり、この世界でもやっぱり大人しくなんてしてられそうにありません。 身体を鍛えて自分の身は自分で守ります!

都市伝説ガ ウマレマシタ

鞠目
ホラー
「ねえ、パトロール男って知ってる?」  夜の8時以降、スマホを見ながら歩いていると後ろから「歩きスマホは危ないよ」と声をかけられる。でも、不思議なことに振り向いても誰もいない。  声を無視してスマホを見ていると赤信号の横断歩道で後ろから誰かに突き飛ばされるという都市伝説、『パトロール男』。  どこにでもあるような都市伝説かと思われたが、その話を聞いた人の周りでは不可解な事件が後を絶たない……  これは新たな都市伝説が生まれる過程のお話。

【完結】女神は推考する

仲 奈華 (nakanaka)
歴史・時代
父や夫、兄弟を相次いで失った太后は途方にくれた。 直系の男子が相次いて死亡し、残っているのは幼い皇子か血筋が遠いものしかいない。 強欲な叔父から持ち掛けられたのは、女である私が即位するというものだった。 まだ幼い息子を想い決心する。子孫の為、夫の為、家の為私の役目を果たさなければならない。 今までは子供を産む事が役割だった。だけど、これからは亡き夫に変わり、残された私が守る必要がある。 これは、大王となる私の守る為の物語。 額田部姫(ヌカタベヒメ) 主人公。母が蘇我一族。皇女。 穴穂部皇子(アナホベノミコ) 主人公の従弟。 他田皇子(オサダノオオジ) 皇太子。主人公より16歳年上。後の大王。 広姫(ヒロヒメ) 他田皇子の正妻。他田皇子との間に3人の子供がいる。 彦人皇子(ヒコヒトノミコ) 他田大王と広姫の嫡子。 大兄皇子(オオエノミコ) 主人公の同母兄。 厩戸皇子(ウマヤドノミコ) 大兄皇子の嫡子。主人公の甥。 ※飛鳥時代、推古天皇が主人公の小説です。 ※歴史的に年齢が分かっていない人物については、推定年齢を記載しています。※異母兄弟についての明記をさけ、母方の親類表記にしています。 ※名前については、できるだけ本名を記載するようにしています。(馴染みが無い呼び方かもしれません。) ※史実や事実と異なる表現があります。 ※主人公が大王になった後の話を、第2部として追加する可能性があります。その時は完結→連載へ設定変更いたします。  

むしゃくしゃしてやった、後悔はしていないがやばいとは思っている

F.conoe
ファンタジー
婚約者をないがしろにしていい気になってる王子の国とかまじ終わってるよねー

処理中です...