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心に残っていたもの
七
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未絽留と幼少期遊んだこと、小学生に上がって私が病気になってしまったこと、それで両親は私に付きっきりになって、きっとまだ幼かった彼女は寂しかっただろう、未絽留と次第に話さなくなっていったこと、元気に成長する彼女が羨ましかったことや、活発な赤いジャージやオシャレな目がよく似合っていて、眩しかったことが一瞬にして私たちの間を駆け巡っていった。
「うん、絶対、生き返る。やり直すから」
そこにもう未絽留はいないけれど。
一瞬だけ抱きつき、彼女から身体を離した。私は思い出の品を彼女に手渡してみる。それはきっと死んでしまった人たちには眩しすぎて逃げてしまうものなのだろう。
しかし、未絽留はそれを受け取って頷き、私から離れた。
「ありがとう、未絽留」
彼女が頷いて帽子をかぶった途端、一瞬だけ生前の姿が浮き出た気がした。
私は歩き出す。もう迷いはなかった。初めてチルギにも感謝をした。通常死んでしまったらそこで終わりなのに、こうして生き返るチャンスを与えてくれた。私はもう一度やり直せる。もう生き返ることに不安はなかった。
きっと、二人が待っているだろうから。
「うん、絶対、生き返る。やり直すから」
そこにもう未絽留はいないけれど。
一瞬だけ抱きつき、彼女から身体を離した。私は思い出の品を彼女に手渡してみる。それはきっと死んでしまった人たちには眩しすぎて逃げてしまうものなのだろう。
しかし、未絽留はそれを受け取って頷き、私から離れた。
「ありがとう、未絽留」
彼女が頷いて帽子をかぶった途端、一瞬だけ生前の姿が浮き出た気がした。
私は歩き出す。もう迷いはなかった。初めてチルギにも感謝をした。通常死んでしまったらそこで終わりなのに、こうして生き返るチャンスを与えてくれた。私はもう一度やり直せる。もう生き返ることに不安はなかった。
きっと、二人が待っているだろうから。
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