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許容
六
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私は走り出す。赤黒い空間を走りながら、思い出すのはチルギの言っていた言葉だった。
彼は、私たちを悪だと決め込んでいた。
もし、私が考えているのが当たっていたら、ミルビーは……。
考えていたのも束の間、突如壁から鬼が手を伸ばしてきて、私の腕は掴まれてしまう。
「離せ、離せ!」
腕を振りほどこうと上下に振り、床で音が鳴った。止まってしまった私をその隙に鬼は壁へ引きずり込もうとしていた。
視線を下へ向けると包丁が転がってしまっていた。腕は既に二の腕まで取り込まれていて屈めそうになく、包丁を落としてしまったことで恐怖心が迫り上がった。まだ再会もできていないのに、たくさん知りたいこともあるのに。ここで、終わってしまう。
「いやだあ!」
壁を蹴って、逃れようとするが侵略は止まらない。怖い、怖い、怖い。消滅なんて、したくない。その時だった。
彼は、私たちを悪だと決め込んでいた。
もし、私が考えているのが当たっていたら、ミルビーは……。
考えていたのも束の間、突如壁から鬼が手を伸ばしてきて、私の腕は掴まれてしまう。
「離せ、離せ!」
腕を振りほどこうと上下に振り、床で音が鳴った。止まってしまった私をその隙に鬼は壁へ引きずり込もうとしていた。
視線を下へ向けると包丁が転がってしまっていた。腕は既に二の腕まで取り込まれていて屈めそうになく、包丁を落としてしまったことで恐怖心が迫り上がった。まだ再会もできていないのに、たくさん知りたいこともあるのに。ここで、終わってしまう。
「いやだあ!」
壁を蹴って、逃れようとするが侵略は止まらない。怖い、怖い、怖い。消滅なんて、したくない。その時だった。
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