魂選塔

中釡 あゆむ

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思い出が重なる

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「ガムも噛み続ければ味が薄くなるだろ、つまりそういうこった。……さ、カツギ、話したいことがあるんだろ、いいぜ」


ヒロタは私から手を離すとひらりと手を泳がせて元の位置に戻ってしまう。それから照明を強くして、女の子のぬいぐるみの中の悪霊を消そうとし始める。


私は、どうにも煮えきらなかった。ふとカツギを見ると、彼女もどこか呆然としたように照明の光に消えてしまいそうなぬいぐるみを見つめていた。


呻き声が聞こえる。恨み言、羨んだ言葉も聞こえる。命が欲しかった……彼女はそう言った。私はムージを手に取り、ふと思い出した。


そうだ、まだ終わりじゃない。カツギに視線を向けた。


「私が思い出させてあげる」


「えっ……?」


「あなた、ヒロタにああ言われて、このぬいぐるみを見て、まだなにかを感じているんでしょう? 心の奥底はきっと消えない、根を張ってるんだ! だから、私が聞いたことをあなたに話してあげる!」
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