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再会
九
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友達になり始めたときに、写真を撮ったのだ。あたしは初めての友達に浮かれていた。布団にくるまって彼女に怯える日々を過ごしていても、この写真の中の彼女は別物に見えていた。あまりにも可愛くて、綺麗な笑みを浮かべていたから……。
「それが、その……リスリ、さんの思い出の品ですか……?」
「……うん」
あたしはただの紙切れのような写真を大事そうに取って、抱きしめた。やり直したとしてももうこの頃には戻れない。だからこそ悲しくて、たまらなくなった。
「ミツケ……タ」
しかし、それも束の間だった。鬼があたしたちの前に立ちはだかる。他の鬼と姿は変わらないのに、その姿に、懐かしさと、トラウマのような恐怖を感じ、あたしは後ずさった。
「ユウ、カ……」
「ミ、ツケタ……ミツケテ、クレタ……カミニナ、ル」
神になる。その言葉を聞いた途端あたしは走り出していた。聞きたくなかった。怖い、怖い。無我夢中で走って、扉を開けて中に入ると二人も着いてきていたようで三人で身を潜めた。
「それが、その……リスリ、さんの思い出の品ですか……?」
「……うん」
あたしはただの紙切れのような写真を大事そうに取って、抱きしめた。やり直したとしてももうこの頃には戻れない。だからこそ悲しくて、たまらなくなった。
「ミツケ……タ」
しかし、それも束の間だった。鬼があたしたちの前に立ちはだかる。他の鬼と姿は変わらないのに、その姿に、懐かしさと、トラウマのような恐怖を感じ、あたしは後ずさった。
「ユウ、カ……」
「ミ、ツケタ……ミツケテ、クレタ……カミニナ、ル」
神になる。その言葉を聞いた途端あたしは走り出していた。聞きたくなかった。怖い、怖い。無我夢中で走って、扉を開けて中に入ると二人も着いてきていたようで三人で身を潜めた。
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