188 / 246
怖い人だけど
九
しおりを挟む
「メロルに何か用なのか……? あの子、ソヨカって子を探してるみたいなんだけど、途中で出会った坊主を追いかけていった」
「そうなんだ。他人に興味ないフリをしてるけど、やっぱり誰よりも他人が気になるメロルらしいね」
うんうんと頷くとミルビーは立ち上がり、あたしを見下ろした。
「さ、退いて。ボク、メロルを見つけなきゃいけないんだ」
冷たい瞳だった。まるでゴミを見つめるような黒目と、ただ期待に満ちただけのパステルブルーの目。二つは対照的で、より惹き付けられるその黒目にあたしは立ち上がった。
こいつの目は、メロルを消したがっている目をしている。
「あたしも、行く」
「なんだって?」
危ない男なのは分かっている。しかし逆に言えば、この男ほど味方につければ強い男はいないのではないだろうか。あたしはあえてふんぞり返った。
「メロルに会いに、あたしも行くんだ」
「そうなんだ。他人に興味ないフリをしてるけど、やっぱり誰よりも他人が気になるメロルらしいね」
うんうんと頷くとミルビーは立ち上がり、あたしを見下ろした。
「さ、退いて。ボク、メロルを見つけなきゃいけないんだ」
冷たい瞳だった。まるでゴミを見つめるような黒目と、ただ期待に満ちただけのパステルブルーの目。二つは対照的で、より惹き付けられるその黒目にあたしは立ち上がった。
こいつの目は、メロルを消したがっている目をしている。
「あたしも、行く」
「なんだって?」
危ない男なのは分かっている。しかし逆に言えば、この男ほど味方につければ強い男はいないのではないだろうか。あたしはあえてふんぞり返った。
「メロルに会いに、あたしも行くんだ」
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説
BLUE DEMON
有村凜咲
ホラー
ずっと平和だった街に突然見たことのない巨大な化け物が現れた。その化け物は人間を食べるという、あまりにも恐ろしい化け物である。次々と人間を襲う化け物。私の大切な人まで奪われ、全滅の危機。悪夢の世界が、今、始まろうとする
【 追記 】
まさか、あの人気のゲーム「青鬼」が始まったのはここから生まれたのか!?

【完結】愛も信頼も壊れて消えた
miniko
恋愛
「悪女だって噂はどうやら本当だったようね」
王女殿下は私の婚約者の腕にベッタリと絡み付き、嘲笑を浮かべながら私を貶めた。
無表情で吊り目がちな私は、子供の頃から他人に誤解される事が多かった。
だからと言って、悪女呼ばわりされる筋合いなどないのだが・・・。
婚約者は私を庇う事も、王女殿下を振り払うこともせず、困った様な顔をしている。
私は彼の事が好きだった。
優しい人だと思っていた。
だけど───。
彼の態度を見ている内に、私の心の奥で何か大切な物が音を立てて壊れた気がした。
※感想欄はネタバレ配慮しておりません。ご注意下さい。

【完結】限界離婚
仲 奈華 (nakanaka)
大衆娯楽
もう限界だ。
「離婚してください」
丸田広一は妻にそう告げた。妻は激怒し、言い争いになる。広一は頭に鈍器で殴られたような衝撃を受け床に倒れ伏せた。振り返るとそこには妻がいた。広一はそのまま意識を失った。
丸田広一の息子の嫁、鈴奈はもう耐える事ができなかった。体調を崩し病院へ行く。医師に告げられた言葉にショックを受け、夫に連絡しようとするが、SNSが既読にならず、電話も繋がらない。もう諦め離婚届だけを置いて実家に帰った。
丸田広一の妻、京香は手足の違和感を感じていた。自分が家族から嫌われている事は知っている。高齢な姑、離婚を仄めかす夫、可愛くない嫁、誰かが私を害そうとしている気がする。渡されていた離婚届に署名をして役所に提出した。もう私は自由の身だ。あの人の所へ向かった。
広一の母、文は途方にくれた。大事な物が無くなっていく。今日は通帳が無くなった。いくら探しても見つからない。まさかとは思うが最近様子が可笑しいあの女が盗んだのかもしれない。衰えた体を動かして、家の中を探し回った。
出張からかえってきた広一の息子、良は家につき愕然とした。信じていた安心できる場所がガラガラと崩れ落ちる。後始末に追われ、いなくなった妻の元へ向かう。妻に頭を下げて別れたくないと懇願した。
平和だった丸田家に襲い掛かる不幸。どんどん倒れる家族。
信じていた家族の形が崩れていく。
倒されたのは誰のせい?
倒れた達磨は再び起き上がる。
丸田家の危機と、それを克服するまでの物語。
丸田 広一…65歳。定年退職したばかり。
丸田 京香…66歳。半年前に退職した。
丸田 良…38歳。営業職。出張が多い。
丸田 鈴奈…33歳。
丸田 勇太…3歳。
丸田 文…82歳。専業主婦。
麗奈…広一が定期的に会っている女。
※7月13日初回完結
※7月14日深夜 忘れたはずの思い~エピローグまでを加筆修正して投稿しました。話数も増やしています。
※7月15日【裏】登場人物紹介追記しました。
※7月22日第2章完結。
※カクヨムにも投稿しています。

やってはいけない危険な遊びに手を出した少年のお話
山本 淳一
ホラー
あるところに「やってはいけない危険な儀式・遊び」に興味を持った少年がいました。
彼は好奇心のままに多くの儀式や遊びを試し、何が起こるかを検証していました。
その後彼はどのような人生を送っていくのか......
初投稿の長編小説になります。
登場人物
田中浩一:主人公
田中美恵子:主人公の母
西藤昭人:浩一の高校時代の友人
長岡雄二(ながおか ゆうじ):経営学部3年、オカルト研究会の部長
秋山逢(あきやま あい):人文学部2年、オカルト研究会の副部長
佐藤影夫(さとうかげお)社会学部2年、オカルト研究会の部員
鈴木幽也(すずきゆうや):人文学部1年、オカルト研究会の部員
餅太郎の恐怖箱
坂本餅太郎
ホラー
坂本餅太郎が贈る、掌編ホラーの珠玉の詰め合わせ――。
不意に開かれた扉の向こうには、日常が反転する恐怖の世界が待っています。
見知らぬ町に迷い込んだ男が遭遇する不可解な住人たち。
古びた鏡に映る自分ではない“何か”。
誰もいないはずの家から聞こえる足音の正体……。
「餅太郎の恐怖箱」には、短いながらも心に深く爪痕を残す物語が詰め込まれています。
あなたの隣にも潜むかもしれない“日常の中の異界”を、ぜひその目で確かめてください。
一度開いたら、二度と元には戻れない――これは、あなたに向けた恐怖の招待状です。
---
読み切りホラー掌編集です。
毎晩20:20更新!(予定)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる