魂選塔

中釡 あゆむ

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怖い人だけど

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「メロルに何か用なのか……? あの子、ソヨカって子を探してるみたいなんだけど、途中で出会った坊主を追いかけていった」


「そうなんだ。他人に興味ないフリをしてるけど、やっぱり誰よりも他人が気になるメロルらしいね」


うんうんと頷くとミルビーは立ち上がり、あたしを見下ろした。


「さ、退いて。ボク、メロルを見つけなきゃいけないんだ」


冷たい瞳だった。まるでゴミを見つめるような黒目と、ただ期待に満ちただけのパステルブルーの目。二つは対照的で、より惹き付けられるその黒目にあたしは立ち上がった。


こいつの目は、メロルを消したがっている目をしている。


「あたしも、行く」


「なんだって?」


危ない男なのは分かっている。しかし逆に言えば、この男ほど味方につければ強い男はいないのではないだろうか。あたしはあえてふんぞり返った。


「メロルに会いに、あたしも行くんだ」
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