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怖い人だけど
六
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死ぬしかなかった。この悪夢から逃げるには、それしかない。決してユウカのためではないのに、窓に立ったユウカ。あたしは近寄り、窓を開けて立ち尽くした。
青い空が広がっていた。果てない青は死なんか知らないような顔をして、なのに熟知した寛大さをあたしに向けてきていた。
受け止めてほしいと思った。そこに神がいる気がして。だからあたしは、身を乗り出し、飛び降りた。
落ちる直前に見た視界にはどこにもユウカはいなかった。初めからいなかったのだ、と気付く。あたしは、自殺した。
死んでから魂になっても、ふとした時にユウカの影に怯えた。死んで終わりではなかった。ぶつかろうとしてくるユウカ似の人、話しかけてこようとするユウカ似の人、もちろんそれらはあたしではなくて、あたしの後ろや横にいた人に向けられたものだ。誰にもあたしは見えない、そのことを忘れてつい怖がってしまっていた。
「メロルはすごいな」
青い空が広がっていた。果てない青は死なんか知らないような顔をして、なのに熟知した寛大さをあたしに向けてきていた。
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「メロルはすごいな」
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