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怖い人だけど
四
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夕方になって駅へ向かう帰り道、ユウカを撒いた交差点へ戻った。そこには人の集団と、パトカーが出来ていたのだ。
あたしは野次の間を割り込んで事件の中心に到達した。
燃えた車と、車の破片、ガラスの欠片が飛び散り、黒煙が立ち込めていた。警察は、危ないから、とあたしを下げようとする。白線と道路に血痕が見え、そこはちょうど追いかけられ、振り向いた時に見たユウカの位置だった。
「可哀想にねえ、まだ高校生だったんでしょ?」
「ああ、そうそう。誰かを追いかけてたみたいだけど」
その言葉が聞こえた途端、あたしは駅まで全力疾走をしていた。あたしは悪くない。悪くない。なのに、交差点の真ん中でユウカが立っていた。あたしの方を見て、怒って、責めた目をしていた。
駅に着くと慌てて切符を買って急いで改札を抜けて電車に乗ったが座ることも怖くて、例えば横にユウカが座ってきそうで、あたしは電車内をひっきりなしに動いていた。怖い、怖い、怖い、死を見つめ、誘ってきたユウカがまだそこにいたのだ。
あたしは野次の間を割り込んで事件の中心に到達した。
燃えた車と、車の破片、ガラスの欠片が飛び散り、黒煙が立ち込めていた。警察は、危ないから、とあたしを下げようとする。白線と道路に血痕が見え、そこはちょうど追いかけられ、振り向いた時に見たユウカの位置だった。
「可哀想にねえ、まだ高校生だったんでしょ?」
「ああ、そうそう。誰かを追いかけてたみたいだけど」
その言葉が聞こえた途端、あたしは駅まで全力疾走をしていた。あたしは悪くない。悪くない。なのに、交差点の真ん中でユウカが立っていた。あたしの方を見て、怒って、責めた目をしていた。
駅に着くと慌てて切符を買って急いで改札を抜けて電車に乗ったが座ることも怖くて、例えば横にユウカが座ってきそうで、あたしは電車内をひっきりなしに動いていた。怖い、怖い、怖い、死を見つめ、誘ってきたユウカがまだそこにいたのだ。
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