167 / 246
お値段ゲーム
六
しおりを挟む
私は俯いて、認めてみた。心が軽くなった気がして、待っていたかのように自然と口が言葉を紡いだ。
「私なんて一円の価値もない。なのに両親は莫大なお金をかけてた。本当に無駄なお金だった。こんなことなら、あなたたちの誰かに命を……」
あげればよかった。
その言葉を、吐き出せずに止めてしまう。言いたくないと口を噤ませた。自然と紡いでいたのに、それだけは拒否をした。あげたいなんてちっとも思っていないことに気付かされる。
どうしてこんなに強欲なのだろう。
「贅沢な子よ!」
「自殺者め!」
「命があるだけありがたいと思え!」
ぬいぐるみたちは私の告白に怒ってしまったようだった。下から怒声が聞こえてきて、それはやがて、私の評価を下げていった。
「私なんて一円の価値もない。なのに両親は莫大なお金をかけてた。本当に無駄なお金だった。こんなことなら、あなたたちの誰かに命を……」
あげればよかった。
その言葉を、吐き出せずに止めてしまう。言いたくないと口を噤ませた。自然と紡いでいたのに、それだけは拒否をした。あげたいなんてちっとも思っていないことに気付かされる。
どうしてこんなに強欲なのだろう。
「贅沢な子よ!」
「自殺者め!」
「命があるだけありがたいと思え!」
ぬいぐるみたちは私の告白に怒ってしまったようだった。下から怒声が聞こえてきて、それはやがて、私の評価を下げていった。
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
[全15話完結済]ゾクッ彼女の怪談は不思議な野花を咲かせる
野花マリオ
ホラー
※この作品は彼女の怪異談は不思議な野花を咲かせるシリーズの続編にあたります。この作品は前作を読まなくても繋がりはほぼ薄いのでこちらから先に読んでいただいても大丈夫です。
あらすじ
架空上の石山県野花市の住人小石麻紀はその地に伝聞する怪談を語ると彼女が現れると聞いて実際に友人達の前に披露する。その時に彼女が現れる名はーー。
※この作品はフィクションです。実在する人物、団体、企業、名称などは一切関係ありません。
ゾクッ全15怪談。毎日午前6時1話更新です。
餅太郎の恐怖箱
坂本餅太郎
ホラー
坂本餅太郎が贈る、掌編ホラーの珠玉の詰め合わせ――。
不意に開かれた扉の向こうには、日常が反転する恐怖の世界が待っています。
見知らぬ町に迷い込んだ男が遭遇する不可解な住人たち。
古びた鏡に映る自分ではない“何か”。
誰もいないはずの家から聞こえる足音の正体……。
「餅太郎の恐怖箱」には、短いながらも心に深く爪痕を残す物語が詰め込まれています。
あなたの隣にも潜むかもしれない“日常の中の異界”を、ぜひその目で確かめてください。
一度開いたら、二度と元には戻れない――これは、あなたに向けた恐怖の招待状です。
---
読み切りホラー掌編集です。
毎晩20:20更新!(予定)
病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない
月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。
人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。
2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事)
。
誰も俺に気付いてはくれない。そう。
2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。
もう、全部どうでもよく感じた。
傘華 -黒き糸-
時谷 創
ホラー
これまでも人のSOSを感じ取り、怪異を祓ってきたが、
友人宅を訪れる際も近くの別荘でSOSを感じ取った。
そこで出会ったのは「執事服の少年」と「着物姿の少女」。
2人が抱える仄暗い「秘密」を今回も祓う事はできるだろうか?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる