魂選塔

中釡 あゆむ

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お値段ゲーム

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私は俯いて、認めてみた。心が軽くなった気がして、待っていたかのように自然と口が言葉を紡いだ。


「私なんて一円の価値もない。なのに両親は莫大なお金をかけてた。本当に無駄なお金だった。こんなことなら、あなたたちの誰かに命を……」


あげればよかった。


その言葉を、吐き出せずに止めてしまう。言いたくないと口を噤ませた。自然と紡いでいたのに、それだけは拒否をした。あげたいなんてちっとも思っていないことに気付かされる。


どうしてこんなに強欲なのだろう。


「贅沢な子よ!」


「自殺者め!」


「命があるだけありがたいと思え!」


ぬいぐるみたちは私の告白に怒ってしまったようだった。下から怒声が聞こえてきて、それはやがて、私の評価を下げていった。
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