163 / 246
お値段ゲーム
二
しおりを挟む
「結論づけるのは早いんじゃない?」
ムロルが私を庇うように言ってくれた。確かに、とうさぎのぬいぐるみが頷き、私を見た。
「お嬢さん、どうして自殺をしたんだい?」
「えっと、両親に……迷惑かけると思ったから」
「どうして?」
「私は……病気がちで、入院をずっとしていたの。家よりも病院が我が家のようなものだった。だから私が入院をしているせいで、お金がかかりすぎてた。母は日に日にやつれていった。……そう、初めて思い出を買って見たものが、父が、会社が倒産したと言ってきた思い出だった。私のことを心配したのもあるんだろうけれど、母は更に仕事を増やして疲弊していった。だから、死んだの。あの二人に迷惑をかけたくなくて」
父が私をいらないと思っている、とも思っていたが言わなかった。
倒産はしていたが入院費がなければ、父は愛する妻と貧しくも幸せに生きていけると考えているのでは、と思っていた。心配をかけないでくれ、が「迷惑だ」に私には聞こえたのだ。
ムロルが私を庇うように言ってくれた。確かに、とうさぎのぬいぐるみが頷き、私を見た。
「お嬢さん、どうして自殺をしたんだい?」
「えっと、両親に……迷惑かけると思ったから」
「どうして?」
「私は……病気がちで、入院をずっとしていたの。家よりも病院が我が家のようなものだった。だから私が入院をしているせいで、お金がかかりすぎてた。母は日に日にやつれていった。……そう、初めて思い出を買って見たものが、父が、会社が倒産したと言ってきた思い出だった。私のことを心配したのもあるんだろうけれど、母は更に仕事を増やして疲弊していった。だから、死んだの。あの二人に迷惑をかけたくなくて」
父が私をいらないと思っている、とも思っていたが言わなかった。
倒産はしていたが入院費がなければ、父は愛する妻と貧しくも幸せに生きていけると考えているのでは、と思っていた。心配をかけないでくれ、が「迷惑だ」に私には聞こえたのだ。
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説
二人称・ホラー小説 『あなた』 短編集
シルヴァ・レイシオン
ホラー
※このシリーズ、短編ホラー・二人称小説『あなた』は、色んな視点のホラーを書きます。
様々な「死」「痛み」「苦しみ」「悲しみ」「因果」などを描きますので本当に苦手な方、なんらかのトラウマ、偏見などがある人はご遠慮下さい。
小説としては珍しい「二人称」視点をベースにしていきますので、例えば洗脳されやすいような方もご観覧注意下さい。
君は妾の子だから、次男がちょうどいい
月山 歩
恋愛
侯爵家のマリアは婚約中だが、彼は王都に住み、彼女は片田舎で遠いため会ったことはなかった。でもある時、マリアは妾の子であると知られる。そんな娘は大事な子息とは結婚させられないと、病気療養中の次男との婚約に一方的に変えさせられる。そして次の日には、迎えの馬車がやって来た。

甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。
海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。
ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。
「案外、本当に君以外いないかも」
「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」
「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」
そのドクターの甘さは手加減を知らない。
【登場人物】
末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。
恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる?
田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い?
【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】
後宮の棘
香月みまり
キャラ文芸
蔑ろにされ婚期をのがした25歳皇女がついに輿入り!相手は敵国の禁軍将軍。冷めた姫vs堅物男のチグハグな夫婦は帝国内の騒乱に巻き込まれていく。
☆完結しました☆
スピンオフ「孤児が皇后陛下と呼ばれるまで」の進捗と合わせて番外編を不定期に公開していきます。
第13回ファンタジー大賞特別賞受賞!
ありがとうございました!!
無能な陰陽師
もちっぱち
ホラー
警視庁の詛呪対策本部に所属する無能な陰陽師と呼ばれる土御門迅はある仕事を任せられていた。
スマホ名前登録『鬼』の上司とともに
次々と起こる事件を解決していく物語
※とてもグロテスク表現入れております
お食事中や苦手な方はご遠慮ください
こちらの作品は、
実在する名前と人物とは
一切関係ありません
すべてフィクションとなっております。
※R指定※
表紙イラスト:名無死 様
独裁者・武田信玄
いずもカリーシ
歴史・時代
歴史の本とは別の視点で武田信玄という人間を描きます!
平和な時代に、戦争の素人が娯楽[エンターテイメント]の一貫で歴史の本を書いたことで、歴史はただ暗記するだけの詰まらないものと化してしまいました。
『事実は小説よりも奇なり』
この言葉の通り、事実の方が好奇心をそそるものであるのに……
歴史の本が単純で薄い内容であるせいで、フィクションの方が面白く、深い内容になっていることが残念でなりません。
過去の出来事ではありますが、独裁国家が民主国家を数で上回り、戦争が相次いで起こる『現代』だからこそ、この歴史物語はどこかに通じるものがあるかもしれません。
【第壱章 独裁者への階段】 国を一つにできない弱く愚かな支配者は、必ず滅ぶのが戦国乱世の習い
【第弐章 川中島合戦】 戦争の勝利に必要な条件は第一に補給、第二に地形
【第参章 戦いの黒幕】 人の持つ欲を煽って争いの種を撒き、愚かな者を操って戦争へと発展させる武器商人
【第肆章 織田信長の愛娘】 人間の生きる価値は、誰かの役に立つ生き方のみにこそある
【最終章 西上作戦】 人々を一つにするには、敵が絶対に必要である
この小説は『大罪人の娘』を補完するものでもあります。
(前編が執筆終了していますが、後編の執筆に向けて修正中です)
夜通しアンアン
戸影絵麻
ホラー
ある日、僕の前に忽然と姿を現した謎の美少女、アンアン。魔界から家出してきた王女と名乗るその少女は、強引に僕の家に住みついてしまう。アンアンを我が物にせんと、次から次へと現れる悪魔たちに、町は大混乱。僕は、ご先祖様から授かったなけなしの”超能力”で、アンアンとともに魔界の貴族たちからの侵略に立ち向かうのだったが…。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる