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特別試練
三
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「ここは魂を選ぶ場所だ。お前らは通常選ばれなかったイレギュラーだ。だから拷問にかけてでも謎を暴いたあと、消すつもりだったが……気が変わった。お前と言い、あの男と言い、面白いじゃないか。それならこの塔のルールに従ったっていいと思ってな」
私か、ミルビーか。つい考えてしまう。
男は言い終えたあと、私に背を向けて楽しそうに鼻歌を歌い、人形たちの元へ軽い足取りで向かった。
それから一言二言、それぞれに話し始める。どうやら私の特別試練は始まっているらしく、見向きもせずに、手をひらひらと泳がせた。それが私に向けられたものだとわかると、包丁をポケットに入れてから部屋を後にした。
聞きたいことはあったが歩き出す。ミルビーがイレギュラーなのは分かるが、どうして私もなのだろうか。何もしていない。
チルギに逆らったミルビーを庇ったから、とは考えられないだろうか。いや、と思い直す。私たちの謎を暴く、と彼は言っていたのだ。
謎とは何だろう。
私か、ミルビーか。つい考えてしまう。
男は言い終えたあと、私に背を向けて楽しそうに鼻歌を歌い、人形たちの元へ軽い足取りで向かった。
それから一言二言、それぞれに話し始める。どうやら私の特別試練は始まっているらしく、見向きもせずに、手をひらひらと泳がせた。それが私に向けられたものだとわかると、包丁をポケットに入れてから部屋を後にした。
聞きたいことはあったが歩き出す。ミルビーがイレギュラーなのは分かるが、どうして私もなのだろうか。何もしていない。
チルギに逆らったミルビーを庇ったから、とは考えられないだろうか。いや、と思い直す。私たちの謎を暴く、と彼は言っていたのだ。
謎とは何だろう。
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