魂選塔

中釡 あゆむ

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鬼は誰

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さっきとは打って変わって強気な顔だ。武器を手に入れた気でいるらしく、私は慌ててそれを取り上げ、リスリに睨まれてしまう。


「なに?」


「いや、なんか……失ってしまうような気がするんだよね、鬼に、突き付けたら……」


これは、どうしてか失いたくない。私は帽子を抱きしめた。出会ってから帽子に愛着が湧き続けていた。穴を掘り続け、湧き水を発見し、とめどなく溢れてくる水に感動するような、そんな愛着を帽子に感じ続けていた。


「まあ、わかった……」


「え? いいの?」


「自分のものを見つけたらいいし」


照れくさそうにそっぽを向いて諦めてくれた。内心安堵しながら被るとやはりすっぽりはまる。このまま帽子からなにか流れてきそうな気がするが、そんなことはない。


こんなに意地を張ったって、ただの帽子かもしれないのに。


「あれ? あんた……」
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