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鬼ごっこ
十
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「帽子だね」
目をつぶっていると、不用心に少年が覗き込んで報告してくれた。それを取り出して被ってみるもぶかぶからしく目が見えなくなる。
「私のものかな?」
少年からキャップ帽を取り、自分の目の前に持っていった。全体的に黒いが、ツバの上に不規則にプリントされた色とりどりの三角がプリントされている。
「あ、おれ、その模様知ってる。クラスの女子が好きだったなあ」
少年は三角を指して、何かのアニメのキャラクターのマークなんだけどなんだっけ、と悩み始めた。見たところ小学三年生だ。この帽子に妙な懐かしさを感じたが、私のものではないのだろうか。あるいは小学生が好むものを私も好きだったのだろうか。
首を傾げてからそれを被ってみると、すっぽりと入ってしまう。
「ちょうどいい……」
「じゃあおねーちゃんのものなんだ! おねーちゃん、それが好きだったんだね!」
少年の肯定に私は首を傾げた。そもそも帽子を被るほど活発に外は出ていなかったはずだ。懐かしさはあっても好意は持てないし、不思議に思いながらも、帽子を手放す気にはなれなかった。
目をつぶっていると、不用心に少年が覗き込んで報告してくれた。それを取り出して被ってみるもぶかぶからしく目が見えなくなる。
「私のものかな?」
少年からキャップ帽を取り、自分の目の前に持っていった。全体的に黒いが、ツバの上に不規則にプリントされた色とりどりの三角がプリントされている。
「あ、おれ、その模様知ってる。クラスの女子が好きだったなあ」
少年は三角を指して、何かのアニメのキャラクターのマークなんだけどなんだっけ、と悩み始めた。見たところ小学三年生だ。この帽子に妙な懐かしさを感じたが、私のものではないのだろうか。あるいは小学生が好むものを私も好きだったのだろうか。
首を傾げてからそれを被ってみると、すっぽりと入ってしまう。
「ちょうどいい……」
「じゃあおねーちゃんのものなんだ! おねーちゃん、それが好きだったんだね!」
少年の肯定に私は首を傾げた。そもそも帽子を被るほど活発に外は出ていなかったはずだ。懐かしさはあっても好意は持てないし、不思議に思いながらも、帽子を手放す気にはなれなかった。
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