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鬼ごっこ
九
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「だめなんだね、わかった。……なんかおねーちゃん、おれのおねーちゃんみたい」
彼は俯いて呟き、私はつい顔を覗きこんだ。
「……お姉さんが、いたの?」
お姉さんも死んだの、その言葉を飲み込む。少年は顔を上げると笑った。
「うん! いつもだめだめ言うんだけど、それも優しいからなんだ。きっとおねーちゃんもそうなんだよね」
良心が痛むとはこのことだろう、私は無邪気な笑みから顔を逸らす。
ふと、テーブルに置かれた白い箱を見つける。この部屋は殺風景で、それ以外置かれていないのだ。私は近付くと、箱を持ち、振ってみた。中から微かに音が聞こえるが、自ら動いてるわけではないらしく、上下にぶつかっている。物は軽い。
箱を置き、恐る恐る、腰を引きながら、開けた。
彼は俯いて呟き、私はつい顔を覗きこんだ。
「……お姉さんが、いたの?」
お姉さんも死んだの、その言葉を飲み込む。少年は顔を上げると笑った。
「うん! いつもだめだめ言うんだけど、それも優しいからなんだ。きっとおねーちゃんもそうなんだよね」
良心が痛むとはこのことだろう、私は無邪気な笑みから顔を逸らす。
ふと、テーブルに置かれた白い箱を見つける。この部屋は殺風景で、それ以外置かれていないのだ。私は近付くと、箱を持ち、振ってみた。中から微かに音が聞こえるが、自ら動いてるわけではないらしく、上下にぶつかっている。物は軽い。
箱を置き、恐る恐る、腰を引きながら、開けた。
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