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鬼ごっこ
五
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「危ない!」
ソヨカに伸びる手から、彼女を私に引き寄せる。あっ、と彼女の大きな声に振り向くと同じように私の後ろにいた影が手を伸ばしてきていた。
私たちは慌てて走り出した。拍子に一瞬お互いの手が離れたがもう一度掴んで走った。しばらくしてから振り向けば手だけではなく、影そのものが追いかけてきていてスピードを早める。
葛藤ミキサーで血を見たから自然に忘れていた。私たちには影なんかないことを。初めから始まっていたのだ、鬼ごっこは。
「くそ!」
横のドアノブに手をかけ、開くことを確かめてから滑り込んだ。ソヨカも入ってきたのを確認して慌ててドアを閉め、抑えるために、もたれこんだ。
背中越しに激しいノックの振動が伝わってくる。怖い。真っ暗な部屋ではノック音が獣の唸り声みたいに聞こえてくる。
「ソヨカさん、ちゃんと! ……あれ?」
ソヨカに伸びる手から、彼女を私に引き寄せる。あっ、と彼女の大きな声に振り向くと同じように私の後ろにいた影が手を伸ばしてきていた。
私たちは慌てて走り出した。拍子に一瞬お互いの手が離れたがもう一度掴んで走った。しばらくしてから振り向けば手だけではなく、影そのものが追いかけてきていてスピードを早める。
葛藤ミキサーで血を見たから自然に忘れていた。私たちには影なんかないことを。初めから始まっていたのだ、鬼ごっこは。
「くそ!」
横のドアノブに手をかけ、開くことを確かめてから滑り込んだ。ソヨカも入ってきたのを確認して慌ててドアを閉め、抑えるために、もたれこんだ。
背中越しに激しいノックの振動が伝わってくる。怖い。真っ暗な部屋ではノック音が獣の唸り声みたいに聞こえてくる。
「ソヨカさん、ちゃんと! ……あれ?」
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