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鬼ごっこ
二
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私が一番大切にしていたもの……この言い方からして、武器になるものだろうか。私はミルビーに渡しそびれた包丁をポケットに隠したまま、握りしめた。
「……あの、鬼は?」
他の魂が恐る恐る聞く。ミルビーがいなくなった今、みんなの表情はどこか暗いものに満ちていて、本来のあるべき雰囲気に戻っていた。
「鬼は、死にたくなかったのに死んでしまった者たちです。あなたたちとは相容れない存在ですよ」
あなたたち、の部分をチルギは強調して吐き捨てた。私たちに明らかな嫌悪感があるのは分かっていたが、今この状況では余計に暗くなる一方で、みんな俯いてしまう。
「チルギ様、ただいま戻りました」
カツギが階段から降りてきて、分かっていたことだがそこにミルビーがいないことに不安になってしまう。チルギは頷くと、両腕を広げた。
「さあ、始めましょう! 鬼ごっこを!」
「……あの、鬼は?」
他の魂が恐る恐る聞く。ミルビーがいなくなった今、みんなの表情はどこか暗いものに満ちていて、本来のあるべき雰囲気に戻っていた。
「鬼は、死にたくなかったのに死んでしまった者たちです。あなたたちとは相容れない存在ですよ」
あなたたち、の部分をチルギは強調して吐き捨てた。私たちに明らかな嫌悪感があるのは分かっていたが、今この状況では余計に暗くなる一方で、みんな俯いてしまう。
「チルギ様、ただいま戻りました」
カツギが階段から降りてきて、分かっていたことだがそこにミルビーがいないことに不安になってしまう。チルギは頷くと、両腕を広げた。
「さあ、始めましょう! 鬼ごっこを!」
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