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予想外
七
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彼の、金髪と左右対称に黒くなった髪に触れる。肩まであった髪は耳上まで切られている。肌の色は相変わらず白いが、少しだけ開いた左目は、右目とは違って黒かった。
右だけ今までのミルビーで、左だけ違う人間が住んでいるよう。
「ミルビー……」
ミルビーが、自分の名前をぽつりと呟く。声まで変わってなくて安心した。私はカツギからミルビーを奪って彼の目を覗き込んだ。目の大きさも変わってなくて安心した。
「ミルビー、しっかりして。……この通り彼はここに戻ってきました」
彼を立たせてからチルギにはっきりと言い渡した。しかしチルギは私の言葉など聞いていないように無視をして近付いてミルビーをじっと見つめた。
「君、やはり……他殺者でしょう?
どうしてここにいるのですか? カツギ」
はっ、とカツギが短く返事をして、ミルビーの両腕を後ろに捉える。私は驚いて声を出せなかった。
右だけ今までのミルビーで、左だけ違う人間が住んでいるよう。
「ミルビー……」
ミルビーが、自分の名前をぽつりと呟く。声まで変わってなくて安心した。私はカツギからミルビーを奪って彼の目を覗き込んだ。目の大きさも変わってなくて安心した。
「ミルビー、しっかりして。……この通り彼はここに戻ってきました」
彼を立たせてからチルギにはっきりと言い渡した。しかしチルギは私の言葉など聞いていないように無視をして近付いてミルビーをじっと見つめた。
「君、やはり……他殺者でしょう?
どうしてここにいるのですか? カツギ」
はっ、とカツギが短く返事をして、ミルビーの両腕を後ろに捉える。私は驚いて声を出せなかった。
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