魂選塔

中釡 あゆむ

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「幼なじみだとか言って、彼女の私より優先させようとするんです。彼も困りきっている……そう思って、私は彼に何度もはっきりと突き放すよう言いました」


唐突に目を厳しくして流暢に話し始めるソヨカに私は驚いてしまう。むしろ早口で、今も怒っているらしかった。


遠くでは悲鳴が弾けた。ミキサーカップに血が付着していたからだ。不思議なことに、次の魂が入って回転を始めると前回の魂の血も風船の残骸も上塗りされるように無くなる。どこへ消えてしまっているのか皆目見当もつかない。それが「消失」なのだと思い知る。


「でも優しい彼にはそんなこと出来ない……そう思っていました。死ぬまでは。何はともあれ、堪忍袋の緒が切れた私は、女を殺そうと考えました。まだ未成年、捕まっても少年院行き、それが終われば私たちの愛は永遠に紡がれる、と思ってました。だからその計画を彼に話したんです、彼は私が少年院に行くのを嫌がり、終えたら二人で死のうと言ってくれました。はっきり出来ない俺にも責任はあるから、と」


眉を顰め、忌々しそうに続けた。
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