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見たもの
二
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ミルビーが困ったように私に視線を向けてきた。仕方なく私は、ソヨカの肩に手を置いて、ごめんね、と囁いた。
「この人、好奇心旺盛なの。だから許してあげて」
「は、はい……」
明らかに彼はのときとは違った、安堵に満ちた返事だった。それで、と尚も囁く。
「あ、見たものですよね……確かに記憶としては残ってなかったんですけど、葛藤ミキサー内で、私の想いで作られたのか、葛藤として出てきて……それで、見たものを思い出したんです。……えっと、先に……どうして死んだのか、言いますね」
歯切れが悪い、とでも言いたそうにミルビーが顔を顰めたのを腕で小突いた。本人は私たちの動きなど見ていなく、落ち着ききっていた。
「彼氏がいたんです……誰にでも優しくて……かっこよくて……。そんな彼に、付きまとう女がいました」
ソヨカは思い出したのか怖い顔で続けた。
「この人、好奇心旺盛なの。だから許してあげて」
「は、はい……」
明らかに彼はのときとは違った、安堵に満ちた返事だった。それで、と尚も囁く。
「あ、見たものですよね……確かに記憶としては残ってなかったんですけど、葛藤ミキサー内で、私の想いで作られたのか、葛藤として出てきて……それで、見たものを思い出したんです。……えっと、先に……どうして死んだのか、言いますね」
歯切れが悪い、とでも言いたそうにミルビーが顔を顰めたのを腕で小突いた。本人は私たちの動きなど見ていなく、落ち着ききっていた。
「彼氏がいたんです……誰にでも優しくて……かっこよくて……。そんな彼に、付きまとう女がいました」
ソヨカは思い出したのか怖い顔で続けた。
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