魂選塔

中釡 あゆむ

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答え

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顔を上げると父の影がぼんやりと映っていた。表情はやはり悲しそうで、そういえば父が笑ったのを、買った記憶の中では見たことがないことを思い出す。そして私が覚えているものはせいぜい買った記憶だけなのだと思い立った。


私は離れない包丁を握り締め、前に突く。


影の前で、止まる。包丁をポケットに仕舞うと、次第に回転は止んできて外の景色が見え始めた。魂たちの顔をそれぞれ見渡してからキャップを外して身体を上げ、外へ落ちるとチルギを筆頭に拍手が沸き起こる。あまりの静けさと視界の安定に、私はここが魂選塔だったことを思い出した。


ミルビーの横へ向かうとウインクをされる。どこからか、かっこいい、という声が聞こえてきた。


チルギが仕切り直すと、私とミルビーが入ったのを見て僅かに警戒心が解けたのか次の希望者たちがそろそろと手を上げた。
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