魂選塔

中釡 あゆむ

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葛藤ミキサー

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「……私、恋人と……心中しちゃって……だから、この葛藤ミキサーで、消えちゃうかも……そういう人が、いたらいいなって……」


負のオーラが漂っている。苦笑いを零した。


「消えちゃうかもって、どうしてそう思うの?」


「……葛藤……自分の心と戦うこと、を……言うんでしょう? だから……」


下を向いてもぞもぞと呟かれる。どうしてか、ムキになって言い返していた。


「負けるか、なんてわからないじゃん」


「負けますよ……どうせ、私なんて」


俯いて、口を噤まれた。じんわりと、彼女の言葉は毒ガスのように私の内側を侵食しようとしていた。私なんて……母に対して、私だってそう思っていた。
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