魂選塔

中釡 あゆむ

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葛藤ミキサー

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「はっ?」


思わず素っ頓狂な声が出てしまう。怯えさせてしまうがそれでも彼女は私から視線を逸らさず、見つめ続ける。やがて私は首を横に振った。


「違うよ。ここに来て、初めて知り合った」


「そうなんですか……」


悲しそうに眉を顰めて何故か落胆させてしまう。


初めて出会ったのだ。なのにどうして私は消されなかったのだろう。無差別に消しているように見えてたから勘違いしていたが、理由を聞くこと、それが彼にとって大切なことなのだろうか。だとしたら私を残したのにも納得がいく。


しかしもう一つ腑に落ちない。頭を振って彼女に笑いかけた。


「えと、恋人であってほしかった?」
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