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葛藤ミキサー
四
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「……その、大丈夫?」
見つめたままでは不自然だろうと思い話しかけるが、彼女は大袈裟に悲鳴を上げ、後ずさって尻餅をついた。
「だ、だ、大丈夫です、その……頭がおかしいとか、そういうことでは……」
何の話をしているのだろう。彼女に手を差し出しながらミルビーへ視線を向けると彼はキャップを外して臆することなく身体を滑り込ませ、落ちた。
その途端、彼の胸の内側が光り出し、光の中から風船が数個生み出される。おお、とくぐもった声が聞こえた。
「これが前回買ってきた風船です。これと彼を混ぜます」
歌うようにチルギは言ってボタンを押した。中のミルビーと風船が回り始める。私はようやく差し出した手を握られて彼女を引っ張り上げた。
見つめたままでは不自然だろうと思い話しかけるが、彼女は大袈裟に悲鳴を上げ、後ずさって尻餅をついた。
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「これが前回買ってきた風船です。これと彼を混ぜます」
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