魂選塔

中釡 あゆむ

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ヒーロー

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痛みが唐突に止み、代わりに大きな音が床に振動した。恐る恐る目を開ける。


「やあ、ハールト! 結局君も哀れな自殺者だったんだね」


金髪男が俺に笑顔を向けながら雪成を蹴っていた。今度は父に殴りかかって笑い声を上げる。


俺は慌てて母に駆け寄り、座らせ、顔を見合わせて金髪男に視線を向けた。


「誰……?」


力をなくしていく父と雪成を蹴り続ける狂った男。知らないのに、ふとパステルブルーの瞳に目が行く。


彼は手を広げ、空中から包丁を出し、ついに二人を刺した。動かないことを確認すると今度は俺の前に来て、前屈みで爽やかな笑みを浮かべた。
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