魂選塔

中釡 あゆむ

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ヒーロー

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「あれ、もしかして、ハルト?」


背中を叩かれ、振り向くと長身で金髪の男がいた。目はパステルブルーで、肌はクリーム色のように柔らかそうだ。黒パーカーと白のスキニーパンツで身を包んでいる。


俺は首を傾げ、ボクだよ、と言われ、ようやくその声で気付く。


「ミルビー?」


「そうだよ、また会えてよかった! ちんまりしててキュートだね、ハルト」


両手を重ね合わせて喜ぶミルビーに俺は思わず呆れた。


「そっちがでかいんだ。それにキュートって……。ミルビーは本当に外国人だったんだな」


「え、違うよ。そうだ、思い出を他にも買おうよ」


否定され、聞こうとするとミルビーは俺の手を引っ張って風船を手に取り始めた。選んでいく彼に釣られ、俺も恐る恐る選び始める。


さっきのものが青かったからいけないのだ。今度は黄色の風船を手に取り、店員に差し出そうとするも手を止めた。


雪成が、人を殺した。俺は共犯者だ。事実が重く心にのしかかった。


「んー? ハルト、早く買いなよ」


後ろからミルビーの声がし、振り向くと赤い風船を持っていて、俺は自分の風船に視線を移した。選んだ黄色の風船はミルビーのように陽気な色をしている。大丈夫。きっといい思い出だ。


「……これを」


「まいどあり」
 

とりあえず全部の通貨も店員に手渡すと卑屈に笑われ、怯えてしまうがそれも一瞬のことでまたもや風船が俺を取り込んで黄色はどんどん分厚くなり、視界を占領した。
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