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34.……美味しく頂かれました。★

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「……っく、美月……締め過ぎ……っ」
 ピクピクと身体を軽く痙攣しながら果てる彼女の中が、ぎゅうぎゅうとレオンハルトの欲を締め上げて搾り取るようにうねる。キツく吸い付く中の感触も相まって、吐精感が込み上がってくるのを振り切るようにして腰をふりたくった。肉茎が抽挿される度に、先端の張り出た部分が美月の好きな場所を擦り上げてくる。
「……ぁ、ふぁ……っ、ア……今……まだ、イッてる、ッう……イッ、てるか、ら……ぁ――っ」
「……っはぁ……いい、です……君の、中……もっと……もっと感じて……」
 もう、これ以上無いくらい感じているのに、更に高みへと彼は追い立てて来る。

 ぱちゅんぱちゅんっと激しく肉のぶつかる音に混じって、結合部分が泡立ち、互いの蜜が絡み合った粘着質な交接音が交じる。
 普段、静寂に包まれているレオンハルトの寝室は、激しい息遣いと美月の嬌声と卑猥な音に満たされている。

 まだ先ほどイってしまったばかりの身体が、レオンハルトの動きに徐々に再び高く追い上げられていく。
「だ、めぇ……っ、あッ……やぁ…………ッらめだか、らぁ……んんっ」
「……ダメ、じゃないでしょう? こんなに締め付けて来て……ッ、もっと、して欲しいって、君のここは僕を欲しがってますよ……」

(だめ、だめ、だめっ……気持ちいい。気持ちいいよ……彼が好き……好き過ぎて苦しい。苦しいのに……っもう、何にも考えられない……)

 レオンハルトが耳元で囁く度に身体の奥がきゅんきゅんと切なくなった。最早意味を成さない舌ったらずな喘ぎ声。止め処なく溢れる蜜を纏って下半身はもうぐちゃぐちゃだ。しかも、レオンハルトは美月が悦ぶ場所ばかりを的確に擦り上げて抽挿を繰り返すのだから性質タチが悪い。散々中を何度も慣らされてから、やっとその質量を与えられた美月の身体は、レオンハルトの肉茎を飢えて欲しがり、与えられれば与えられるほど、その快楽に染められていった。 

「……ぁ……ひっ……ぃ、あ……ッん、れ、レオん……ッんぅ……も、らめっ……またイッちゃ……あああっ」
 纏まらない思考の狭間で熱に浮かされたように、ただただ喘ぎ続ける美月の柔らかな身体を、自分の硬い身体で押し潰すようにして何度も深く突き上げる。硬く勃ちあがった乳首と柔らかな乳房の吸い付くような素肌がレオンハルトの身体と擦れ合い、更に欲が膨らみ、快感が増していく。
 もっともっと彼女を追い詰めるつもりだったのに、思いのほか気持ち良すぎる膣内の締めつけに耐え、レオンハルトは汗を垂らしながら彼女の肌を味わった。自らの欲望を穿ち、どこか甘い芳香を放つ彼女の肌に舌を這わせる。首筋、鎖骨、乳首のコロコロとした感触を味わいながら抽挿すると中が収縮して気持ちいい。中が収縮していると言うことは、彼女も感じていると言うことだ。自らの欲望が彼女を求めて痛いほど勃ちあがり、膣内で膨らみ、吐け口を求めて脈打っている。
 そろそろ限界が近い。
(この、愛しい人の胎の中に自分の子種を思いっきり注いで、満たしてやりたい)
 そう考えた瞬間――激しく込み上げる吐精感にぶるりと身震いをして、そっと美月の唇に自らのそれを押し付け、吸いながらレオンハルトは腰に触れた手を下へ伸ばす。
「――ッく、ぅ……!!」
 彼女の蜜口の上にある赤く充血した花芽を押し潰すと、急激に締まる膣内の圧力にレオンハルトは低く呻きながらその細く括れた腰を思いっきり引き寄せ、狭くて熱い最奥へ深く深く突き上げる。


 ――そうして、やっと……彼は精を解放した。

「――――ッあ、……ぁ」
 びゅうびゅうと勢いよく身体の最奥に吐き出される熱を感じ、子宮が悦んでいるかのように打ち震えた。注がれる子種を全て受け止めようとする女のさがなのか、レオンハルトの腰に無意識に脚を巻き付け、美月の身体はビクビクと跳ねた。
 やがて、レオンハルトが腰を捏ねくり回し、最後の一滴まで注ぎ切ると、どっと重力がかかるように重くなった二人の身体から力が抜ける。

 瞼の裏側がちかちかする。

 はぁはぁと吐く息は一向に落ち着かず、心臓はばくばくと飛び出そうなほど早鐘を打っている。
 ぬるりと糸を引いて出て行くレオンハルトを名残惜しそうに追い縋る蜜壷から、大量に吐き出されたばかりの白く濁った液体が溢れて垂れていくのを感じていた。しかし、正直、今はそれも、何もかもがどうでもいい。

 それくらい疲れて、それでいて満たされた気持ちになっていた。
(……終わっ……たの?)
 全てが億劫になるほど、思うように動かない身体は重さを感じる。けれど、それでいて、ある種の満たされた幸福感を強く感じている。それは、美月が今まで感じたことの無い感覚だ。

 美月はとろとろと急激に押し寄せる眠気に、今度こそ意識を手放した。












 ◇









 なんかお腹空いたなぁ……

 眠いし。
 身体痛いし。
 なんかさっきからお腹の奥、痛い。……前に月のものが来たのいつだっけ?

 そんなことを考えながらそっと息を吐いて、まだ重い瞼を押し上げると、ぼんやりした視界の中で薄っすらと誰か自分以外の人が居る気配を感じる。

「…………」


「……起きた?」
 それでもぼうっとしていると、声をかけられて目を見開いく。

「おはよう。美月」
 目の前に自分の顔を覗き込むようにして、レオンハルトがこちらが擽ったくなるような甘い笑みを浮かべ、愛おしそうに美月を見ていた。

「お、おおおおおはようございます?」
 ずざっ!! と、本能的に後ろに退いた美月に罪は無い。
「あれ? ……何で逃げてるの?」
 美月が退いた分だけ、彼は間合いを詰めて近づく。
「……え、えっと……」

「昨夜はご馳走さまでした……すごく……美味しかったですよ」
 えっと……これは、何の感想かな?
 そもそも、何で私、彼とベッドに眠ってるんだっけ?
 何か既視感のある状況だ。
 
「美月が可愛くて、最後の方は手加減無しに抱いてしまいましたけど、身体は大丈夫ですか?」
「!!」
(だ、抱いたとか……そっ……そんな言い方っ……)
 直接的な表現に美月の頰が瞬時に紅潮した。
 昨夜のことが走馬灯のように脳裏に甦って来る。

「あ……う……」
 彼に煽られて、我を忘れてはしたない嬌声を上げ、快楽に溺れて晒した自分の痴態のあれやこれやが、じわじわと思い出されて脳内再生される。
 身体は清められている気がするが、下半身に違和感がある。ずっと何かが挟まっているような……と、そこまで考えて自分が昨夜彼に執拗に愛されたことのあらましを思い出した。
 肌寒さを感じ、ふと我が身を顧みれば、まだ自分が一糸纏わぬ姿であることに気づく。

「――っ!!」
 慌てふためいて身体を隠しながら顔を真っ赤にしたかと思うと、今度は冷や汗を浮かべ真っ青にするという器用な芸当を見せて、美月はレオンハルトの胸に片手をそっと突っ張って、やんわりと離れようとした。しかし、それは彼自身によって逆に捕まえられ、今度は逆に引き寄せられようとしている。
(……な、何か分からないけど、身の危険を感じるっ――)

「……だ、大丈夫っ……大丈夫だから、あの……は、離して? ……っ!!」
 グググッと無言で抵抗しながら答えた美月に、レオンハルトは「大丈夫」だと答えを聞いた瞬間、力を込めた。

「……そう、ですか。ねぇ、美月……気持ち良かったんですよね?」

「え、何の――――ッえっ?」
 レオンハルトは美月よりも年下である。
 普段は理知的で落ち着いている様子でも、二十歳になったばかりの健康的な男子である。

 美月がオロオロしている間に、身体を隠すその手をベッドに押し付けられ組み敷かれていた。


「美月……あまりにも美味しかったので、もう少し頂きますね」





 ――そんなことをのたまわれ、この後まさかのおかわりをされました。

 体調を崩して心配していたはずの年下の宰相様は、朝から元気過ぎる程元気でした……。


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