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23.閑話 宰相様のご執心
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「……馬鹿なことをしたものだ」
昨日の夜の雨が嘘のようにあがった青空の見える庭を見下ろし、ルーデンボルグの別荘の居室で窓の外を見ながらぽつりと独言るのは、誰あろう、このオーレリア王国の歴代最年少で宰相を務めるレオンハルトだ。
頭脳明晰で、天才の誉れ高い彼が自分を馬鹿だと罵りたくなるほど想う相手など、一人しか居ない。
「……全く、堪え性のない」
昨日、ローウェルに渡された報告書とレオンハルト宛ての王太子からの急ぎの書類を捲っていたが、どうにも集中出来なくなって椅子を立った。
窓の外には美しいポルトレバースの自然が昨夜の雨露に濡れ、光を反射してきらきらしている。
その光景とはまるで正反対の自らの気分は……もちろん、最悪だ。
(……きっと今度は時間があるのだから、もっとゆっくり彼女との距離を詰めるつもりだったのに……)
彼女に何の心の準備も無いまま、触れてしまったのは失敗だった。
――初めて出会った時の彼女の心は、この世界の理から外れているせいか自由で、その陽だまりのような穏やかな笑みにどれほど救われたか分からない。
あの頃のレオンハルトはまだ父から爵位を継ぐ前で、自らの足場を固めつつある、まさにその最中だった。
父の子だからだとか、ルーデンボルグ家の嫡子であることは関係無く、今後の自らの力で立てる足場を固め無ければ、幾ら宰相に出世したとて虎視眈々とその肩書きを狙うものに隙を作ってしまう。だからこそ、彼は死にもの狂いで宰相である父の背中を追いかけ、学んでいた。
そんな時だ。彼女に出会ったのは。
ある日、ベルンシュタインに旅の行商がやって来て、珍しいものがあるから是非見て欲しいのだと訪れた。旅の行商が邸に訪れることは然程珍しくは無い。初めは彼のいつものやり方で、適当にあしらって帰らせるつもりだった。
しかし、気まぐれに見せられたある一枚の絵を見た時、どうしようもなく、欲しくなってしまったのだ。
見たことも無い澄んだ青い不思議な色合いの背景に、黒髪の女性が一糸纏わぬ姿でこちらへ真っ白な背中と、か細い腰を晒して横座りをし、視線をこちらへ向けて振り返っているように見える。
美しい人――レオンハルトがその絵の人物を見て、最初の感想だ。
その人物がまだ若い女性であったから、初めは娼婦を描いているのかと思ったが、素肌を晒しているのにいやらしく無く、ただ、その白い肌と青の対比が妙に印象的だった。
顔をまじまじと見ると、異国の人間なのか見た事の無い顔立ちをしている。このオーレリア王国のある大陸では、少なくとも黒髪はオーレリアの王の血族だけ――その瞳が黒や茶色の人間など聞いたことがない。薄く茶色みがかったその黒目がちな瞳は切れ長だがキツくは無く、穏やかにこちらを見ていた。
今思えば、普段美術品や高価なものに無頓着で興味の薄い彼が、その絵にだけ執着を示した――その時には、もう、彼女に惚れていたのかもしれない。
絵を買い取り、それから自室に飾り、毎日眺めた。
その絵を見ていると、その内、絵の中の人物に会ってみたい衝動に駆られるようになり、ついには、絵を描いた人物を探し始めてしまった。
正直、自分でもこの執着心は異常だと思っていた。
それでも、何故会ったことの無いこの女性に惹かれるのか、会ってみたら分かるかもしれないとも……思ったのだ。
やがて、ひと月と半ほど過ぎた頃、諦めきれずに方々探し回って行き着いた画家の男。
彼こそが美月の師であったヘリオスである。
娘を失くした彼にとっても、この絵の娘は大事な存在となっていた。何度も交渉して、時には忙殺されそうな程忙しい身でレオンハルト自らも彼に会いに行き、何とか説得して。
そうして、やっと……絵では無く、生身の人間である彼女に出会った。
レオンハルトやルーデンボルグ家の立場やその地位に執着のある、薄汚い周囲の大人とはどこか違う彼女に、彼が恋をしたのも必然だったと言えよう。
(もう絶対に、離すつもりは無い)
一度は逃してしまった彼女を、再び己れの手の届かない場所へと逃すつもりは毛頭無い。
一度は知ってしまった彼女と言う安らぎを失くした後に味わった、彼女の居ない世界の息苦しさも、例えようの無い虚しさを抱えた三年半も、もう懲り懲りだ。目まぐるしい程の仕事を詰め込んで、彼女の面影を忘れようと努力もした。
でも、結局は駄目だった。
彼女の代わりはどこにも居ないのだと再確認しただけだ。
だから、一度は自らの幼さが原因で手離してしまったその手が、自分の手に掴めるのなら――離すつもりは無い。
いずれ、彼女を自分のものにするつもりだったのだとしても――今回は少々、事を急ぎ過ぎた。
柔らかな身体を抱き締め、甘い唇から漏れる蜜のような吐息交じりの声を聞いてしまったなら、理性がすっかり飛んでしまった。
(失態だ……)
抵抗も無くレオンハルトの腕の中に収まる美月は、可愛いらしかった。
彼の中の譲れない課題がある。それは、彼女自身がレオンハルトを彼が居ないと駄目なくらいに好きになってくれるかどうか、ということ。
ルーデンボルグ家の嫡男として生まれたからには、いずれ政略結婚でもするのだろうと幼い頃から漠然と思っていた。
後継ぎのこともあり、成人する前から既にいくつかの縁談はあったが、彼女と出会ってからは全て断っている。
彼女が手に入るなら、それは必要無いからだ。
その甘いマスクと均整のとれた上背。優れた頭脳も、公爵の爵位を持つルーデンボルグ家と言う家名も、宰相と言う肩書きでさえ、女性にとっては魅力的だろう。だが、それに釣られるような女性なら、彼が嫌う権力や外見に捕らわれた人々と変わらない。
貴族や肩書きと言う枠に捕らわれない彼女だからこそ、レオンハルトは惹かれたのだ。
(すっかり警戒させてしまった……)
これは計算外だ。
しかし、計算通りに行かないのが美月と言う人間だ。
折角、心を開いてこちらへ歩を進めてくれていたのに、一歩退がってしまったように感じる。しかし、それは逆にレオンハルトの中で彼女に対する恋着を強めるだけになったことには、彼女は気づいて居ないだろう。
彼女は近づけば逃げてしまう。
それならば、彼女から近づいて来てくれるようにすれば良いのでは無いだろうか?
どうしたら、彼女は自分に囚われてくれるだろうか?
少々度が過ぎた自身の彼女への想いに、誰かに薄気味悪いと言われても、願わくば、彼女が自分に依存するくらい好きになって欲しいと、レオンハルトは望んでいる。
きっと、嫌われてはいない。
寧ろ、好かれていると感じている。
どうやって距離を詰めたなら、彼女は僕を求めてくれるようになるだろうか。
最近は、そればかりを考えている。
庭先に小鳥が降りたち、ピチピチと愛らしく囀っているのを静かに見つめると、レオンハルトはそっと窓から離れた。
昨日の夜の雨が嘘のようにあがった青空の見える庭を見下ろし、ルーデンボルグの別荘の居室で窓の外を見ながらぽつりと独言るのは、誰あろう、このオーレリア王国の歴代最年少で宰相を務めるレオンハルトだ。
頭脳明晰で、天才の誉れ高い彼が自分を馬鹿だと罵りたくなるほど想う相手など、一人しか居ない。
「……全く、堪え性のない」
昨日、ローウェルに渡された報告書とレオンハルト宛ての王太子からの急ぎの書類を捲っていたが、どうにも集中出来なくなって椅子を立った。
窓の外には美しいポルトレバースの自然が昨夜の雨露に濡れ、光を反射してきらきらしている。
その光景とはまるで正反対の自らの気分は……もちろん、最悪だ。
(……きっと今度は時間があるのだから、もっとゆっくり彼女との距離を詰めるつもりだったのに……)
彼女に何の心の準備も無いまま、触れてしまったのは失敗だった。
――初めて出会った時の彼女の心は、この世界の理から外れているせいか自由で、その陽だまりのような穏やかな笑みにどれほど救われたか分からない。
あの頃のレオンハルトはまだ父から爵位を継ぐ前で、自らの足場を固めつつある、まさにその最中だった。
父の子だからだとか、ルーデンボルグ家の嫡子であることは関係無く、今後の自らの力で立てる足場を固め無ければ、幾ら宰相に出世したとて虎視眈々とその肩書きを狙うものに隙を作ってしまう。だからこそ、彼は死にもの狂いで宰相である父の背中を追いかけ、学んでいた。
そんな時だ。彼女に出会ったのは。
ある日、ベルンシュタインに旅の行商がやって来て、珍しいものがあるから是非見て欲しいのだと訪れた。旅の行商が邸に訪れることは然程珍しくは無い。初めは彼のいつものやり方で、適当にあしらって帰らせるつもりだった。
しかし、気まぐれに見せられたある一枚の絵を見た時、どうしようもなく、欲しくなってしまったのだ。
見たことも無い澄んだ青い不思議な色合いの背景に、黒髪の女性が一糸纏わぬ姿でこちらへ真っ白な背中と、か細い腰を晒して横座りをし、視線をこちらへ向けて振り返っているように見える。
美しい人――レオンハルトがその絵の人物を見て、最初の感想だ。
その人物がまだ若い女性であったから、初めは娼婦を描いているのかと思ったが、素肌を晒しているのにいやらしく無く、ただ、その白い肌と青の対比が妙に印象的だった。
顔をまじまじと見ると、異国の人間なのか見た事の無い顔立ちをしている。このオーレリア王国のある大陸では、少なくとも黒髪はオーレリアの王の血族だけ――その瞳が黒や茶色の人間など聞いたことがない。薄く茶色みがかったその黒目がちな瞳は切れ長だがキツくは無く、穏やかにこちらを見ていた。
今思えば、普段美術品や高価なものに無頓着で興味の薄い彼が、その絵にだけ執着を示した――その時には、もう、彼女に惚れていたのかもしれない。
絵を買い取り、それから自室に飾り、毎日眺めた。
その絵を見ていると、その内、絵の中の人物に会ってみたい衝動に駆られるようになり、ついには、絵を描いた人物を探し始めてしまった。
正直、自分でもこの執着心は異常だと思っていた。
それでも、何故会ったことの無いこの女性に惹かれるのか、会ってみたら分かるかもしれないとも……思ったのだ。
やがて、ひと月と半ほど過ぎた頃、諦めきれずに方々探し回って行き着いた画家の男。
彼こそが美月の師であったヘリオスである。
娘を失くした彼にとっても、この絵の娘は大事な存在となっていた。何度も交渉して、時には忙殺されそうな程忙しい身でレオンハルト自らも彼に会いに行き、何とか説得して。
そうして、やっと……絵では無く、生身の人間である彼女に出会った。
レオンハルトやルーデンボルグ家の立場やその地位に執着のある、薄汚い周囲の大人とはどこか違う彼女に、彼が恋をしたのも必然だったと言えよう。
(もう絶対に、離すつもりは無い)
一度は逃してしまった彼女を、再び己れの手の届かない場所へと逃すつもりは毛頭無い。
一度は知ってしまった彼女と言う安らぎを失くした後に味わった、彼女の居ない世界の息苦しさも、例えようの無い虚しさを抱えた三年半も、もう懲り懲りだ。目まぐるしい程の仕事を詰め込んで、彼女の面影を忘れようと努力もした。
でも、結局は駄目だった。
彼女の代わりはどこにも居ないのだと再確認しただけだ。
だから、一度は自らの幼さが原因で手離してしまったその手が、自分の手に掴めるのなら――離すつもりは無い。
いずれ、彼女を自分のものにするつもりだったのだとしても――今回は少々、事を急ぎ過ぎた。
柔らかな身体を抱き締め、甘い唇から漏れる蜜のような吐息交じりの声を聞いてしまったなら、理性がすっかり飛んでしまった。
(失態だ……)
抵抗も無くレオンハルトの腕の中に収まる美月は、可愛いらしかった。
彼の中の譲れない課題がある。それは、彼女自身がレオンハルトを彼が居ないと駄目なくらいに好きになってくれるかどうか、ということ。
ルーデンボルグ家の嫡男として生まれたからには、いずれ政略結婚でもするのだろうと幼い頃から漠然と思っていた。
後継ぎのこともあり、成人する前から既にいくつかの縁談はあったが、彼女と出会ってからは全て断っている。
彼女が手に入るなら、それは必要無いからだ。
その甘いマスクと均整のとれた上背。優れた頭脳も、公爵の爵位を持つルーデンボルグ家と言う家名も、宰相と言う肩書きでさえ、女性にとっては魅力的だろう。だが、それに釣られるような女性なら、彼が嫌う権力や外見に捕らわれた人々と変わらない。
貴族や肩書きと言う枠に捕らわれない彼女だからこそ、レオンハルトは惹かれたのだ。
(すっかり警戒させてしまった……)
これは計算外だ。
しかし、計算通りに行かないのが美月と言う人間だ。
折角、心を開いてこちらへ歩を進めてくれていたのに、一歩退がってしまったように感じる。しかし、それは逆にレオンハルトの中で彼女に対する恋着を強めるだけになったことには、彼女は気づいて居ないだろう。
彼女は近づけば逃げてしまう。
それならば、彼女から近づいて来てくれるようにすれば良いのでは無いだろうか?
どうしたら、彼女は自分に囚われてくれるだろうか?
少々度が過ぎた自身の彼女への想いに、誰かに薄気味悪いと言われても、願わくば、彼女が自分に依存するくらい好きになって欲しいと、レオンハルトは望んでいる。
きっと、嫌われてはいない。
寧ろ、好かれていると感じている。
どうやって距離を詰めたなら、彼女は僕を求めてくれるようになるだろうか。
最近は、そればかりを考えている。
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