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21.違和感
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あれから数日経っている。
アイリスはカーテンを寄せ、はめ殺しの窓から外を感情も無く眺めていた。
窓から見える外の景色は真っ白で、その下から枯れた枝木が覗いている。
そんな真っ白な世界で、一輪だけ雪を物ともせず、鮮やかな赤い花が咲いている。
赤い、赤い花。
(まるで血みたい……って、おかしいな。綺麗に咲いているのに……疲れてるのかしら)
アイリスは窓から手を離して室内へと振り返った。
手入れの行き届いた調度品に、女性を迎える部屋にしては少々古い、年季の入った家具や渋い色あいの部屋の内装。
部屋も内装も全てがやや古めかしいのに、何故か部屋ぬきクローゼットにかけてあるのは、最近の流行に合わせて仕立てられた真新しそうなドレス。アイリスはそのことに違和感を感じながらも、ずっと同じドレスを着ているのには耐えられず、この数日、その中の何着かを拝借して身につけさせてもらっている。
勝手に衣装を借りるのもどうかと思ったが、理由も分からぬまま外から鍵をかけられ、ここに閉じ込められている以上、部屋の中のものを多少は好きに使うことを許して欲しい。
……と、言うか、ここへ来てから誰にも会っていないのだから、不作法だとは思うけれど、勝手にそうするしかない。
なるべくシンプルな若草色のドレスを借りて身につけてみれば、アイリスにぴったりのサイズで誂えられており、心底驚いて、次に少し怖くなった。
壁に備え付けられた暖炉には火が入り、どんよりと薄曇りの空のせいで暗く寒い室内に、仄かな明かるさと暖かさを齎してくれているのが、不安と考え事に暗く沈む心を少し救ってくれる。
アイリスは暖炉の前の長椅子に座り、暖炉の火がパチパチと音を立てて爆ぜるのを見ていた。
「……ここ、一体どこなのかしら?」
洞窟のような、地下室のような暗い、じめじめとした場所で一度目を覚ました時には、誰かに会ってすぐに薬か何かで眠らされたようで、その後の記憶が無い。元々暗い場所で見たその相手は、外套を目深に被り、顔もよく見えなかった気がする。
そして、再び目を覚ました時には、既にこの部屋の寝台に寝かされていた。
いずれも着衣に乱れも無く、ただそこに寝かされただけで、その後も人に会うことも無く、寝ている間に食事や身の回りのことを世話されているようだった。
誰にも会わないのに、人の気配がするこの気味の悪い部屋で、アイリスは幾度目かの夜を迎えていた。
(アルディアに雪がこんなに降るご領地は聞いたことが無いわ……だとすれば、ファルマール? まさかティバリーじゃあ……無いわよね……)
もし、仮にティバリーだとすれば、状況はかなり悪い。
如何にアルディア国内でも力あるエーディス公爵家でも、国境を越えては容易に手を出せないからだ。
ましてや、ティバリーであれば。
アイリスの実家エーディス公爵家は特殊な家柄で、代々当主には魔術を扱う力がある――と、言うのは表向きの話で、内密にはある方法で人工的に魔術を扱う人間を作るのだと、伝え聞いている。アイリスが知っているのは、それくらいだ。後は、当主とその後継者……つまり、現在であれば嫡子であるレナードにしか詳細は伝えられない。
アルディアには魔術師がほとんど居ない為、国防に必要な魔術は当家が管理することになる。
これが示すことは、つまり……
(足手まといだわ……)
アイリスは溜め息を吐いて両手で顔を覆った。
(なんて馬鹿なマネをしたんだろう……)
家を飛び出して、コーウェンなら私を受け入れてくれるなんて、勝手に思い込んで。
私はアイリスである前に、エーディス公爵家の令嬢だと言うのに。
私は……王弟であり、エーディス公爵ユーリの娘。
父は、大国アルディア国防を担う辺境騎士団長でもあるが、魔術師でもある。
必然的に、対魔術師の要はエーディス公爵家となるのだ。それなりに狙われることがあることぐらい、誰でも予想出来るでは無いか。
その危険を何度も幼い頃から父に言い含められていたのに、用心を怠り、ほんの少しの外出だと甘く見ていたのは、私。
「父上、ごめんなさい……私は、本当に愚かな娘だわ……」
後悔してもしきれない。
父上は、だから、恐らく私を助けには来ない。
こんなことになっているなんて、父上だって、コーウェンだって……今頃、気づいて探してくれてはいるかもしれないけれど、もしも、国を跨いで私が他国に連れて来られていて、ここが本当に魔術師の国ティバリーであるならば、父上は確実に私では無く国防を優先することになる。
……私を見捨てるだろう。
(こんなことになるのならば、父上から話があった縁談を素直に受けてクラウス様の元へ嫁ぎ、後継ぎとなる子を産んで、多少なりとて公爵家の為に生きれば、少しは親孝行出来たのかもしれない)
父と母の顔を思い浮かべると、自然に涙が溢れてくる。
両親への悔恨の思い、それから、考えが浅かった自分自身への怒りで胸が苦しい。
本当に、自分が情け無くて泣けてきた。
「……父上、母上……」
それから、コーウェン。
アイリスの唇が音にはならない名を呼んだ途端に、鳴咽が漏れる。
(――ごめんなさい)
顔を覆った指の隙間から、ぽたりと透明な雫が溢れ落ちて床に敷かれた絨毯に染みを作っていく。
泣いたって状況が変わる訳じゃ無い。アイリスは無闇に泣く女が嫌いだし、自分は大抵のことでは泣かないと思っていた。
公爵令嬢である立場を弁え、自分自身に誇りを持っていたからだ。それが、どうだ? 今の自分は完全にお荷物だ。
今の状況は――自分が一方的に周囲に迷惑をかけている。それどころか、アイリスがここに居ることで、父の足を引っ張ってしまう可能性の方が高い。
(拉致され、連れて来られたこの邸で、私は何をやっているんだろう? これから、私はどうなるんだろう?)
アイリスは声を堪えて泣いた。
愚かな自分自身に向けて。
――ひと頻り泣いて、頭の奥がずんと重く、ズキズキと痛み始めた頃、漸くアイリスは顔を上げた。
腫れぼったくなった目を瞬かせ、辺りを見回すと、部屋はすっかり暗くなり、部屋の暖炉の火は小さくなって、肌寒い。
泣き疲れた自分は、そのまま少し眠っていたのかもしれない。くしゅん、と小さなくしゃみをして身動ぎすると、自分の肩に掛けられていたらしいショールがするりと落ちた。
「……これ……?」
暖かな厚手の素材で織られたショールを手に取ると、仄かに知っている香りが鼻を掠めた気がして、そっと周囲を見回す。
「ロイス……?」
ロイスはエーディス公爵家の侍従で、父上の命令を受け、主な仕事としてアイリスの警護を請け負っている男だ。寡黙で、必要最低限の言葉しか交わしたことは無いが、やや無鉄砲な所のあるアイリスを心配し、いつも側に控えてくれていた。
邸を飛び出して来た時に上手く撒いた気になっていたが、それきりだった。
だが、よく考えてみたら、妙では無いか?
あの、よく気付く男が私が邸を出る際に気付かないだなんて。
(いつもなら、すぐに気付いて私をすぐに追って来るのに……)
本当に気付かなかったのだろうか?
(気付いていたのに、見逃した……って可能性は……無いかしら?)
彼がここに居るはず無い。しかし、このショールがはらりと落ちた時に漂った嗅いだことのあるウッディーな香りは、ロイスが好んでつけていたものに似ている。
洒落込むようなタイプの男では無かったから、意外に感じたので良く覚えている。
残り香らしきそれは微かだが、間違い無い。
「ロイス、なの?」
「…………」
やや時間を置いて、男は姿を現した。
「…………」
いつもながら、言葉は無い。ただ、ひっそりと音も無く彼女の居る部屋の外から鍵をかけられていたはずの扉が開き、彼は場にそぐわぬ礼をとる。
黒髪の寡黙な青年。
「…………どういう、ことなの?」
「……アイリス様、私は貴女をお慕いしていました。ですが、貴女は……って、もう、こんな三文芝居をする必要はありませんね」
顔を上げたロイスは、無表情にアイリスを見つめた。
最早、アイリスの知っている寡黙で優しい彼の表情では無い。
「私はロイスではありません。“メンフィス”ですよ。お嬢様」
にんまりと口を歪める青年は、アイリスが知っているロイスでは無かった。
アイリスはカーテンを寄せ、はめ殺しの窓から外を感情も無く眺めていた。
窓から見える外の景色は真っ白で、その下から枯れた枝木が覗いている。
そんな真っ白な世界で、一輪だけ雪を物ともせず、鮮やかな赤い花が咲いている。
赤い、赤い花。
(まるで血みたい……って、おかしいな。綺麗に咲いているのに……疲れてるのかしら)
アイリスは窓から手を離して室内へと振り返った。
手入れの行き届いた調度品に、女性を迎える部屋にしては少々古い、年季の入った家具や渋い色あいの部屋の内装。
部屋も内装も全てがやや古めかしいのに、何故か部屋ぬきクローゼットにかけてあるのは、最近の流行に合わせて仕立てられた真新しそうなドレス。アイリスはそのことに違和感を感じながらも、ずっと同じドレスを着ているのには耐えられず、この数日、その中の何着かを拝借して身につけさせてもらっている。
勝手に衣装を借りるのもどうかと思ったが、理由も分からぬまま外から鍵をかけられ、ここに閉じ込められている以上、部屋の中のものを多少は好きに使うことを許して欲しい。
……と、言うか、ここへ来てから誰にも会っていないのだから、不作法だとは思うけれど、勝手にそうするしかない。
なるべくシンプルな若草色のドレスを借りて身につけてみれば、アイリスにぴったりのサイズで誂えられており、心底驚いて、次に少し怖くなった。
壁に備え付けられた暖炉には火が入り、どんよりと薄曇りの空のせいで暗く寒い室内に、仄かな明かるさと暖かさを齎してくれているのが、不安と考え事に暗く沈む心を少し救ってくれる。
アイリスは暖炉の前の長椅子に座り、暖炉の火がパチパチと音を立てて爆ぜるのを見ていた。
「……ここ、一体どこなのかしら?」
洞窟のような、地下室のような暗い、じめじめとした場所で一度目を覚ました時には、誰かに会ってすぐに薬か何かで眠らされたようで、その後の記憶が無い。元々暗い場所で見たその相手は、外套を目深に被り、顔もよく見えなかった気がする。
そして、再び目を覚ました時には、既にこの部屋の寝台に寝かされていた。
いずれも着衣に乱れも無く、ただそこに寝かされただけで、その後も人に会うことも無く、寝ている間に食事や身の回りのことを世話されているようだった。
誰にも会わないのに、人の気配がするこの気味の悪い部屋で、アイリスは幾度目かの夜を迎えていた。
(アルディアに雪がこんなに降るご領地は聞いたことが無いわ……だとすれば、ファルマール? まさかティバリーじゃあ……無いわよね……)
もし、仮にティバリーだとすれば、状況はかなり悪い。
如何にアルディア国内でも力あるエーディス公爵家でも、国境を越えては容易に手を出せないからだ。
ましてや、ティバリーであれば。
アイリスの実家エーディス公爵家は特殊な家柄で、代々当主には魔術を扱う力がある――と、言うのは表向きの話で、内密にはある方法で人工的に魔術を扱う人間を作るのだと、伝え聞いている。アイリスが知っているのは、それくらいだ。後は、当主とその後継者……つまり、現在であれば嫡子であるレナードにしか詳細は伝えられない。
アルディアには魔術師がほとんど居ない為、国防に必要な魔術は当家が管理することになる。
これが示すことは、つまり……
(足手まといだわ……)
アイリスは溜め息を吐いて両手で顔を覆った。
(なんて馬鹿なマネをしたんだろう……)
家を飛び出して、コーウェンなら私を受け入れてくれるなんて、勝手に思い込んで。
私はアイリスである前に、エーディス公爵家の令嬢だと言うのに。
私は……王弟であり、エーディス公爵ユーリの娘。
父は、大国アルディア国防を担う辺境騎士団長でもあるが、魔術師でもある。
必然的に、対魔術師の要はエーディス公爵家となるのだ。それなりに狙われることがあることぐらい、誰でも予想出来るでは無いか。
その危険を何度も幼い頃から父に言い含められていたのに、用心を怠り、ほんの少しの外出だと甘く見ていたのは、私。
「父上、ごめんなさい……私は、本当に愚かな娘だわ……」
後悔してもしきれない。
父上は、だから、恐らく私を助けには来ない。
こんなことになっているなんて、父上だって、コーウェンだって……今頃、気づいて探してくれてはいるかもしれないけれど、もしも、国を跨いで私が他国に連れて来られていて、ここが本当に魔術師の国ティバリーであるならば、父上は確実に私では無く国防を優先することになる。
……私を見捨てるだろう。
(こんなことになるのならば、父上から話があった縁談を素直に受けてクラウス様の元へ嫁ぎ、後継ぎとなる子を産んで、多少なりとて公爵家の為に生きれば、少しは親孝行出来たのかもしれない)
父と母の顔を思い浮かべると、自然に涙が溢れてくる。
両親への悔恨の思い、それから、考えが浅かった自分自身への怒りで胸が苦しい。
本当に、自分が情け無くて泣けてきた。
「……父上、母上……」
それから、コーウェン。
アイリスの唇が音にはならない名を呼んだ途端に、鳴咽が漏れる。
(――ごめんなさい)
顔を覆った指の隙間から、ぽたりと透明な雫が溢れ落ちて床に敷かれた絨毯に染みを作っていく。
泣いたって状況が変わる訳じゃ無い。アイリスは無闇に泣く女が嫌いだし、自分は大抵のことでは泣かないと思っていた。
公爵令嬢である立場を弁え、自分自身に誇りを持っていたからだ。それが、どうだ? 今の自分は完全にお荷物だ。
今の状況は――自分が一方的に周囲に迷惑をかけている。それどころか、アイリスがここに居ることで、父の足を引っ張ってしまう可能性の方が高い。
(拉致され、連れて来られたこの邸で、私は何をやっているんだろう? これから、私はどうなるんだろう?)
アイリスは声を堪えて泣いた。
愚かな自分自身に向けて。
――ひと頻り泣いて、頭の奥がずんと重く、ズキズキと痛み始めた頃、漸くアイリスは顔を上げた。
腫れぼったくなった目を瞬かせ、辺りを見回すと、部屋はすっかり暗くなり、部屋の暖炉の火は小さくなって、肌寒い。
泣き疲れた自分は、そのまま少し眠っていたのかもしれない。くしゅん、と小さなくしゃみをして身動ぎすると、自分の肩に掛けられていたらしいショールがするりと落ちた。
「……これ……?」
暖かな厚手の素材で織られたショールを手に取ると、仄かに知っている香りが鼻を掠めた気がして、そっと周囲を見回す。
「ロイス……?」
ロイスはエーディス公爵家の侍従で、父上の命令を受け、主な仕事としてアイリスの警護を請け負っている男だ。寡黙で、必要最低限の言葉しか交わしたことは無いが、やや無鉄砲な所のあるアイリスを心配し、いつも側に控えてくれていた。
邸を飛び出して来た時に上手く撒いた気になっていたが、それきりだった。
だが、よく考えてみたら、妙では無いか?
あの、よく気付く男が私が邸を出る際に気付かないだなんて。
(いつもなら、すぐに気付いて私をすぐに追って来るのに……)
本当に気付かなかったのだろうか?
(気付いていたのに、見逃した……って可能性は……無いかしら?)
彼がここに居るはず無い。しかし、このショールがはらりと落ちた時に漂った嗅いだことのあるウッディーな香りは、ロイスが好んでつけていたものに似ている。
洒落込むようなタイプの男では無かったから、意外に感じたので良く覚えている。
残り香らしきそれは微かだが、間違い無い。
「ロイス、なの?」
「…………」
やや時間を置いて、男は姿を現した。
「…………」
いつもながら、言葉は無い。ただ、ひっそりと音も無く彼女の居る部屋の外から鍵をかけられていたはずの扉が開き、彼は場にそぐわぬ礼をとる。
黒髪の寡黙な青年。
「…………どういう、ことなの?」
「……アイリス様、私は貴女をお慕いしていました。ですが、貴女は……って、もう、こんな三文芝居をする必要はありませんね」
顔を上げたロイスは、無表情にアイリスを見つめた。
最早、アイリスの知っている寡黙で優しい彼の表情では無い。
「私はロイスではありません。“メンフィス”ですよ。お嬢様」
にんまりと口を歪める青年は、アイリスが知っているロイスでは無かった。
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