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11.望まぬ縁談
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(そーっと、そーっと……)
アイリスは外套を着たまま、かつて母の部屋を出た。
後ろ手にドアを閉め、木製の小さな階段を一階の酒場へと降りて行く。
「…………」
ざわざわとした独特の空気。軽快な音楽と、人の笑い声。美味しそうな食べ物の匂いと、酒の匂い。
いつもならば公爵令嬢である自分が、こんなに遅くなるまで外出をすることは無い。当然、この宿屋には泊まったことも無い。
それなのに、何故、今日は許されたのかって?
それは――
(……逃げ出してきたからよ)
そう。私は、エーディス公爵家を飛び出して来たのだ。
(わ、私だって、我慢しようと思ったわよ! でも、駄目。今回は、本当に駄目……元はと言えば、父上が悪いのよっ)
「父上の……馬鹿……」
小さく呟いた声は、外套を羽織っているせいで誰にも拾われることは無かった。
――事の起こりは、この日の朝である。
アイリスはいつも通り起床し、朝食を食べた後、日課である領地管理の手伝いに行く為、動きやすい服装に着替えていた。
男性が着るような生成り色のシャツと黒いズボンに革製の長靴。邪魔にならないように長い髪を紺色のリボンで縛り、その上から若草色のマントを羽織ると、邸の裏手にある馬舎に向かって歩いて行く。
背後からは私について来る同じような格好の黒髪の青年は、寡黙な侍従のロイス。
……いつも、振り回してごめんね。ロイス。
あ。貴族の令嬢らしからぬ格好で失礼を。
私は、じっと部屋の中に閉じこもってられないタイプなのよね。
念の為に言っておくけれど、きちんと語学やダンスのような未婚の貴族令嬢に必要な教養全般は、常に勉強しているのよ。私は父上の血をひいている娘ですから、それなりに勉強全般は得意だったりもする。
だから、これはサボタージュでは無いの。
本来なら嫡男であるレナードが公爵家の領地管理に関しても父上に師事していくのだけど、しっかりしてはいても、弟はまだ十三歳。……年若過ぎる。その上、普段は彼はここには居ない。
先日の宮廷舞踏会の頃は、たまたま寄宿学校の冬の長期休暇と重なっていて帰って来ていたのだ。
父上は現在も辺境騎士団を率いる立場にある為、邸は留守がちだ。だから、弟レナードが寄宿学校を卒業して帰って来て、エーディス公爵家の嫡男として動けるようになるまでは、私が自主的に領地管理の手伝いをしている。
具体的には、農産物の出来具合だとか日頃目に届かない地域の治水の見回りだとか、そんな感じ。
アルディア王国は大国で、しかも、その公爵家のものだから、領地はそれなりに広い。その全部を女である私が、しかも公爵令嬢である傍らに回るのはやはり無理がある。それで、実際に私が領地管理のお手伝いを出来ているのは、王都の周辺の地域だけなのだけど。
昔は父上が書類や税の類いの管理以外にも直々に見回ったりもしていたのだけれど、年々忙しくなって、全てを見回るのが難しくなってしまったのよ。
最初は、私が領地管理に首を突っ込むことを渋っていた父上も、最近は黙認してくれている。
父上が内心どう思っているかわからないけれど、これが私には結構性に合っていたりするのよね。
領地を見て回って、時折土を弄らせて貰って……一緒に汗を垂らして働くのも悪く無い。
(こんなことしてるから嫁の貰い手が無いのだとか、余計なお世話よ)
よく言わない人も居るけれど、身体を動かさずに邸の中でお勉強ばっかりして、ボーっとしているよりは、私は好きだ。
まぁ……時折、作業に夢中になり過ぎて、日に焼けて肌が赤くなってしまったりするのは、年頃の娘としては悩むところだけれど。
「アイリス様、今日は朝早くからせいが出ますね」
ここは、エーディス公爵家の領地の北側にあるコールと言う小さな町。
王都からはほど近く、すぐ隣りに位置する町だけれど、その割には山が近いせいか、水が豊かで質の良い農作物が豊富にとれる。その為、安価で取り引き出来る市場などを目当てに、商人達が王都の飲食店向けに農産物や食品の買い付けに来ることも多く、小さな町ながら結構賑わっている。
声をかけて来たのは、このコールの町で一番美味しいと評判のパン屋の看板娘ティナ。ここのパンは焼き加減が絶妙で、種類も豊富で味も勿論美味しい。外は香ばしくカリッと、中はもちもちふわふわのパンはアイリスも大好きだ。
「ちょっと前から気になっていたの。この辺りの水質。最近濁り水が出るようになったって聞いて……昼前には終わりそうだから、早く終わったらティナのお店に寄らせて貰って良いかしら? この前食べさせて貰った塩パン、すごく美味しかったからまた食べたいの!」
赤毛のパン屋の娘に手を振り、私は小川の上流にある水門のある池に向かっていた。
ロイスも私の後ろを黙ってついて来ている。アルディアは、比較的治安が良い国だ。しかし、だからと言って女が一人……しかも、貴族の娘がふらふらと出歩くのは、不用心だし、好ましいことでは無い。彼は若いが、自らも国きっての剣の使い手である父上が信用して、私の警護を任せているからには、相当腕が立つのだと思う。
「……おや? アイリス嬢ではありませんか。その様な格好で、何をしているのです?」
小川の濁った原因を確認する為に、町外れまで来た時、あの男と遭遇した。
「クラウス……さま……」
私はドレス姿では無いので、膝を軽く折って挨拶を交わすくらいしかできない。
何……?
何故、この人……ここに居るの?
「……アイリス様」
背後からロイスが出て来て、さりげなく隣りに控えてくれる。彼が前まで出ようとするのを手で制していると、クラウス様が笑う気配があった。
「ははは。いや、驚いた。お転婆だとは聞いていたが、まさか男の格好をしているとは」
「…………」
「領地管理は領主の仕事。女の仕事ではありませんでしょうに」
せせら笑うような彼の声にカチンときて、うっかりその馬鹿にしたような話ぶりに言い返そうとした時――
「そんな様子では困りますね。私の妻に相応しい人になって頂かなくては」
え?
この人、何言ってるの?
「おやおや。まだ聞いていませんでしたか? アイリス嬢は私と結婚する予定で、お父上とは話を進めているのですよ」
「……は?」
(私、そんなの……聞いてないわよ?! 大体、父上……こないだ断ったって……)
隣に居るロイスを見ると、彼もまた首を振る。
(父上に確かめなくては!)
その後、またクラウス様のどうでも良い会話が始まると思ったのだけれど、今日はあっさりと身を引いた。そのことに少なからず不信感を感じながら、その後はうわの空で帰路に着き、その足で父上のおられる本館の執務室へ向かう。
思わず、廊下を歩くにもドタドタと音を立ててしまったけれど、今はそれどころでは無いの。使用人達が呆気に取られて、こちらを見ていたけど、いいの。今は構ってられないし!
コン、コン!
「父上!」
ノックをして、父上の応答がある前に執務室のドアを開けた。
「……来たか……」
「父上! クラウス様との結婚のお話はお断りしたのではなかったのですか?!」
息を切らしている私の前で、父上は書きかけていた書類とペンを静かに置いた。
執務室の机の背後からは、午後の日差しが照らし、父上の表情が逆光でよく見えない。
「クラウス殿との縁談……こちらから断りはしたのだが、彼はまだ諦めきれぬと言ってね」
「そんな……っ」
「……お前も二十歳を超えた。嫁ぎ先を決めねばならぬと先日も言ったはずだが」
「でもっ……だからと言って、あの人になんてっ」
「わかっている……お前が乗り気で無いことは。しかし、相手は辺境伯だ。私であっても、何度も打診されれば無碍には出来ぬ」
「そんな……」
「必ず、私が何とかする。正式な結婚が決まる前にな……だから、アイリス。お前は……何も心配するな」
アイリスは外套を着たまま、かつて母の部屋を出た。
後ろ手にドアを閉め、木製の小さな階段を一階の酒場へと降りて行く。
「…………」
ざわざわとした独特の空気。軽快な音楽と、人の笑い声。美味しそうな食べ物の匂いと、酒の匂い。
いつもならば公爵令嬢である自分が、こんなに遅くなるまで外出をすることは無い。当然、この宿屋には泊まったことも無い。
それなのに、何故、今日は許されたのかって?
それは――
(……逃げ出してきたからよ)
そう。私は、エーディス公爵家を飛び出して来たのだ。
(わ、私だって、我慢しようと思ったわよ! でも、駄目。今回は、本当に駄目……元はと言えば、父上が悪いのよっ)
「父上の……馬鹿……」
小さく呟いた声は、外套を羽織っているせいで誰にも拾われることは無かった。
――事の起こりは、この日の朝である。
アイリスはいつも通り起床し、朝食を食べた後、日課である領地管理の手伝いに行く為、動きやすい服装に着替えていた。
男性が着るような生成り色のシャツと黒いズボンに革製の長靴。邪魔にならないように長い髪を紺色のリボンで縛り、その上から若草色のマントを羽織ると、邸の裏手にある馬舎に向かって歩いて行く。
背後からは私について来る同じような格好の黒髪の青年は、寡黙な侍従のロイス。
……いつも、振り回してごめんね。ロイス。
あ。貴族の令嬢らしからぬ格好で失礼を。
私は、じっと部屋の中に閉じこもってられないタイプなのよね。
念の為に言っておくけれど、きちんと語学やダンスのような未婚の貴族令嬢に必要な教養全般は、常に勉強しているのよ。私は父上の血をひいている娘ですから、それなりに勉強全般は得意だったりもする。
だから、これはサボタージュでは無いの。
本来なら嫡男であるレナードが公爵家の領地管理に関しても父上に師事していくのだけど、しっかりしてはいても、弟はまだ十三歳。……年若過ぎる。その上、普段は彼はここには居ない。
先日の宮廷舞踏会の頃は、たまたま寄宿学校の冬の長期休暇と重なっていて帰って来ていたのだ。
父上は現在も辺境騎士団を率いる立場にある為、邸は留守がちだ。だから、弟レナードが寄宿学校を卒業して帰って来て、エーディス公爵家の嫡男として動けるようになるまでは、私が自主的に領地管理の手伝いをしている。
具体的には、農産物の出来具合だとか日頃目に届かない地域の治水の見回りだとか、そんな感じ。
アルディア王国は大国で、しかも、その公爵家のものだから、領地はそれなりに広い。その全部を女である私が、しかも公爵令嬢である傍らに回るのはやはり無理がある。それで、実際に私が領地管理のお手伝いを出来ているのは、王都の周辺の地域だけなのだけど。
昔は父上が書類や税の類いの管理以外にも直々に見回ったりもしていたのだけれど、年々忙しくなって、全てを見回るのが難しくなってしまったのよ。
最初は、私が領地管理に首を突っ込むことを渋っていた父上も、最近は黙認してくれている。
父上が内心どう思っているかわからないけれど、これが私には結構性に合っていたりするのよね。
領地を見て回って、時折土を弄らせて貰って……一緒に汗を垂らして働くのも悪く無い。
(こんなことしてるから嫁の貰い手が無いのだとか、余計なお世話よ)
よく言わない人も居るけれど、身体を動かさずに邸の中でお勉強ばっかりして、ボーっとしているよりは、私は好きだ。
まぁ……時折、作業に夢中になり過ぎて、日に焼けて肌が赤くなってしまったりするのは、年頃の娘としては悩むところだけれど。
「アイリス様、今日は朝早くからせいが出ますね」
ここは、エーディス公爵家の領地の北側にあるコールと言う小さな町。
王都からはほど近く、すぐ隣りに位置する町だけれど、その割には山が近いせいか、水が豊かで質の良い農作物が豊富にとれる。その為、安価で取り引き出来る市場などを目当てに、商人達が王都の飲食店向けに農産物や食品の買い付けに来ることも多く、小さな町ながら結構賑わっている。
声をかけて来たのは、このコールの町で一番美味しいと評判のパン屋の看板娘ティナ。ここのパンは焼き加減が絶妙で、種類も豊富で味も勿論美味しい。外は香ばしくカリッと、中はもちもちふわふわのパンはアイリスも大好きだ。
「ちょっと前から気になっていたの。この辺りの水質。最近濁り水が出るようになったって聞いて……昼前には終わりそうだから、早く終わったらティナのお店に寄らせて貰って良いかしら? この前食べさせて貰った塩パン、すごく美味しかったからまた食べたいの!」
赤毛のパン屋の娘に手を振り、私は小川の上流にある水門のある池に向かっていた。
ロイスも私の後ろを黙ってついて来ている。アルディアは、比較的治安が良い国だ。しかし、だからと言って女が一人……しかも、貴族の娘がふらふらと出歩くのは、不用心だし、好ましいことでは無い。彼は若いが、自らも国きっての剣の使い手である父上が信用して、私の警護を任せているからには、相当腕が立つのだと思う。
「……おや? アイリス嬢ではありませんか。その様な格好で、何をしているのです?」
小川の濁った原因を確認する為に、町外れまで来た時、あの男と遭遇した。
「クラウス……さま……」
私はドレス姿では無いので、膝を軽く折って挨拶を交わすくらいしかできない。
何……?
何故、この人……ここに居るの?
「……アイリス様」
背後からロイスが出て来て、さりげなく隣りに控えてくれる。彼が前まで出ようとするのを手で制していると、クラウス様が笑う気配があった。
「ははは。いや、驚いた。お転婆だとは聞いていたが、まさか男の格好をしているとは」
「…………」
「領地管理は領主の仕事。女の仕事ではありませんでしょうに」
せせら笑うような彼の声にカチンときて、うっかりその馬鹿にしたような話ぶりに言い返そうとした時――
「そんな様子では困りますね。私の妻に相応しい人になって頂かなくては」
え?
この人、何言ってるの?
「おやおや。まだ聞いていませんでしたか? アイリス嬢は私と結婚する予定で、お父上とは話を進めているのですよ」
「……は?」
(私、そんなの……聞いてないわよ?! 大体、父上……こないだ断ったって……)
隣に居るロイスを見ると、彼もまた首を振る。
(父上に確かめなくては!)
その後、またクラウス様のどうでも良い会話が始まると思ったのだけれど、今日はあっさりと身を引いた。そのことに少なからず不信感を感じながら、その後はうわの空で帰路に着き、その足で父上のおられる本館の執務室へ向かう。
思わず、廊下を歩くにもドタドタと音を立ててしまったけれど、今はそれどころでは無いの。使用人達が呆気に取られて、こちらを見ていたけど、いいの。今は構ってられないし!
コン、コン!
「父上!」
ノックをして、父上の応答がある前に執務室のドアを開けた。
「……来たか……」
「父上! クラウス様との結婚のお話はお断りしたのではなかったのですか?!」
息を切らしている私の前で、父上は書きかけていた書類とペンを静かに置いた。
執務室の机の背後からは、午後の日差しが照らし、父上の表情が逆光でよく見えない。
「クラウス殿との縁談……こちらから断りはしたのだが、彼はまだ諦めきれぬと言ってね」
「そんな……っ」
「……お前も二十歳を超えた。嫁ぎ先を決めねばならぬと先日も言ったはずだが」
「でもっ……だからと言って、あの人になんてっ」
「わかっている……お前が乗り気で無いことは。しかし、相手は辺境伯だ。私であっても、何度も打診されれば無碍には出来ぬ」
「そんな……」
「必ず、私が何とかする。正式な結婚が決まる前にな……だから、アイリス。お前は……何も心配するな」
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