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第4章 魔王の影を払う少女
第72話 パインの持つ力
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レオ達を乗せた馬車は法国の首都レーヴァティの北西を目指して進んでいた。
北を東西に流れる大河付近の街でパインの服を購入したために街で自由に移動が可能になり、馬車を借りることができたためだ。
今、レオの正面にはパインが姿勢正しく座っている。
体の汚れはレオの魔法により落とされ、街で売られている服を着たパインはレーヴァティの女教皇と瓜二つだった。
ただし、その目に深い深い信仰の色があることだけが、唯一にして最大の違いだが。
「これから向かうのは、帝国領だったよね?」
不意に尋ねると、隣に座るアリエスが頷いて銀色の髪が揺れるのが視界の隅に映った。
「はい、東側に存在する三つの大国のうち、最後の国ですね。
ただ、ここまで来てしまうと先生から聞いたこともほとんどなくなってしまうために、あまり帝国については説明できません……」
しょんぼりとした様子のアリエス。
以前、あまりにも大陸東側の情勢に詳しいと思ったために聞いたことがあったが、アリエスは生まれ育った村でお世話になった「先生」という人物に他の町のさまざまなことを教わっていたらしい。
「先生」は優しく聡明で、特に魔法に関しては当時ただの村娘だったアリエスから見ても格が違うと感じるほどの実力だったそうだ。
そんな「先生」からの教えも限界に達したと言う。
もうそんなになるまで西に来たのかと思う一方で、これからはアリエスの嬉しそうな解説が聞けないかと思うと少しだけ残念にレオは思った。
「アルティス帝国はどっちかというと今のレオにぴったりな国って言えるよ」
そんなレオに対してアリエスの代わりに説明を始めたのは、リベラだった。
「帝国は古くから実力主義の国で、魔物が多く出現するダビ大森林がすぐ北にあるから冒険者を重宝しているの。
法国とは真逆で、祝福はそこまで重要視されてはいないんだけどね。
ね? 冒険者で誰よりも強いレオにはぴったりの国でしょ?」
「そう……なのか?」
「もちろん皇帝や貴族はいるけど、みんな戦えるように一通りの訓練を受けるらしいよ。
だから冒険者からはすこぶる評判のいい国みたいだね。
質もかなり高いみたいで、強い人も多いって聞くよ……まぁ、レオには及ばないけどさ」
最後に付け加えるように呟いたリベラの説明を聞きながら、レオは空返事をした。
リベラの説明通りならば、王国や法国とは国の文化が根本から違いそうだ。
けれど彼女の言う通り、自分に合っている国のようにも思えた。
「それよりも、帝国の首都についたらパインの服を買わないとね。
あまり考えずに買っちゃったから、ごめんね?」
「ううん、大丈夫だよ」
これまで黙っていたパインはなんでもない様子で笑って返事をした。
彼女の身につけている服はやや小さいらしく、少し窮屈だとパインは馬車に乗った後に話していた。
服そのものも急拵えで一着しか買っていないらしく、それも服を購入したい理由の一つだろう。
ちなみにリベラから服を受け取り、眠っていたパインのボロ着を脱がせ、着替えさせたアリエスは空虚な瞳でどこか遠くを見ていたが、レオは気づかなかった。
顔も体つきもルシャと瓜二つなパイン。
かの国の女教皇は服の上からでもその魅力を隠しきれなかったことをここに記しておく。
「……そういえば、パインってたくさんの祝福を持っているみたいだけど、具体的にどんな祝福を持っているの?」
唯一の信徒仲間であるために、すぐに打ち解けたリベラは親しい雰囲気で問いかける。
パインの祝福についてはレオも気になるところだったので、視線を向けた。
レオから視線を向けられたことでパインは正しいはずの姿勢をさらに正して、まっすぐにレオの目を見つめ返した。
パインの目には恐怖も嫌悪もない。
彼女は驚いたことに、アリエスやリベラと同じくレオを正面から見つめても目を逸らさず、さらに負の感情を抱かない人物だった。
ただその目には信仰という名の狂気が見てとれるために、素直に喜ぶことはできないのだが。
「私が所持しているのは主に誰かを支援する祝福です。
他者の体力を、気力を奮い立たせる祝福や、普通ではできないくらいまで体を覚醒させる祝福、それに目や耳を良くする祝福まで種類は膨大です」
ルシャが戦闘に関する祝福を所持していたからその可能性を考えていたが、どうやら違ったらしい。
あの女教皇は他の人物からも祝福を奪っていたようだし、パインの祝福を足がかりにしてその魔の手を広げていったということだろう。
「この力で、神様の役に立ってみせます!」
気合い十分に握り拳を作るパインを見ながら、レオは無表情ながらも「期待しているよ」と返した。
実際、シェイミとの戦いでは彼女に救われた。
もしもパインがあの場に居なければ、自分は敗北していただろう。
あれから一日置いたため今は絶好調だが、いつあのような状況に陥るかはわからない。
それに仮に絶好調であっても、優位に働く力というのはありがたいものだ。
「あの…レオ様、少し相談があるのですが……」
珍しくこちらを伺うような切り出し方をしてくるアリエスを不思議に思いながら、彼女を見つめ返す。
するとアリエスは、遠慮がちに話し始めた。
「路銀についてなのですが、まだ余裕はあるもののこのままのペースでは不足する可能性が高いです。
最後に大きな依頼を受けたのはカマリの街での一本角の魔物ですし、レーヴァティでは依頼を受けている暇がなかったので……それに、人数が増えたのも理由の一つです」
「……そういえば、そうだね」
レーヴァティの街では比較的早い段階で呪いの右目が反応してしまったことと、教会のゴタゴタで依頼をろくに受けている暇がなかった。
エニフ谷まで神聖玉を作成するために同行した大きな任務があったが、パインを救出した後すぐにレーヴァティを飛び出したので、貰う余裕などなかったのだ。
まぁ、そもそも報酬を払うルシャとファイがあんな状態では貰えそうにもなかったのだが。
「エニフ谷で倒したおっきな竜の魔物の魔石は高く売れると思うけど、それでも路銀は多くて損はないからね。
備えあれば憂いなしって言うし」
「……そうだね。アルティスは冒険者を優遇しているらしいから、任務を受けてみるよ」
リベラと共に賛成の意を示し、レオは窓から外を見る。
外は晴れ渡っていて、雲ひとつない綺麗な青空が広がっていた。
北を東西に流れる大河付近の街でパインの服を購入したために街で自由に移動が可能になり、馬車を借りることができたためだ。
今、レオの正面にはパインが姿勢正しく座っている。
体の汚れはレオの魔法により落とされ、街で売られている服を着たパインはレーヴァティの女教皇と瓜二つだった。
ただし、その目に深い深い信仰の色があることだけが、唯一にして最大の違いだが。
「これから向かうのは、帝国領だったよね?」
不意に尋ねると、隣に座るアリエスが頷いて銀色の髪が揺れるのが視界の隅に映った。
「はい、東側に存在する三つの大国のうち、最後の国ですね。
ただ、ここまで来てしまうと先生から聞いたこともほとんどなくなってしまうために、あまり帝国については説明できません……」
しょんぼりとした様子のアリエス。
以前、あまりにも大陸東側の情勢に詳しいと思ったために聞いたことがあったが、アリエスは生まれ育った村でお世話になった「先生」という人物に他の町のさまざまなことを教わっていたらしい。
「先生」は優しく聡明で、特に魔法に関しては当時ただの村娘だったアリエスから見ても格が違うと感じるほどの実力だったそうだ。
そんな「先生」からの教えも限界に達したと言う。
もうそんなになるまで西に来たのかと思う一方で、これからはアリエスの嬉しそうな解説が聞けないかと思うと少しだけ残念にレオは思った。
「アルティス帝国はどっちかというと今のレオにぴったりな国って言えるよ」
そんなレオに対してアリエスの代わりに説明を始めたのは、リベラだった。
「帝国は古くから実力主義の国で、魔物が多く出現するダビ大森林がすぐ北にあるから冒険者を重宝しているの。
法国とは真逆で、祝福はそこまで重要視されてはいないんだけどね。
ね? 冒険者で誰よりも強いレオにはぴったりの国でしょ?」
「そう……なのか?」
「もちろん皇帝や貴族はいるけど、みんな戦えるように一通りの訓練を受けるらしいよ。
だから冒険者からはすこぶる評判のいい国みたいだね。
質もかなり高いみたいで、強い人も多いって聞くよ……まぁ、レオには及ばないけどさ」
最後に付け加えるように呟いたリベラの説明を聞きながら、レオは空返事をした。
リベラの説明通りならば、王国や法国とは国の文化が根本から違いそうだ。
けれど彼女の言う通り、自分に合っている国のようにも思えた。
「それよりも、帝国の首都についたらパインの服を買わないとね。
あまり考えずに買っちゃったから、ごめんね?」
「ううん、大丈夫だよ」
これまで黙っていたパインはなんでもない様子で笑って返事をした。
彼女の身につけている服はやや小さいらしく、少し窮屈だとパインは馬車に乗った後に話していた。
服そのものも急拵えで一着しか買っていないらしく、それも服を購入したい理由の一つだろう。
ちなみにリベラから服を受け取り、眠っていたパインのボロ着を脱がせ、着替えさせたアリエスは空虚な瞳でどこか遠くを見ていたが、レオは気づかなかった。
顔も体つきもルシャと瓜二つなパイン。
かの国の女教皇は服の上からでもその魅力を隠しきれなかったことをここに記しておく。
「……そういえば、パインってたくさんの祝福を持っているみたいだけど、具体的にどんな祝福を持っているの?」
唯一の信徒仲間であるために、すぐに打ち解けたリベラは親しい雰囲気で問いかける。
パインの祝福についてはレオも気になるところだったので、視線を向けた。
レオから視線を向けられたことでパインは正しいはずの姿勢をさらに正して、まっすぐにレオの目を見つめ返した。
パインの目には恐怖も嫌悪もない。
彼女は驚いたことに、アリエスやリベラと同じくレオを正面から見つめても目を逸らさず、さらに負の感情を抱かない人物だった。
ただその目には信仰という名の狂気が見てとれるために、素直に喜ぶことはできないのだが。
「私が所持しているのは主に誰かを支援する祝福です。
他者の体力を、気力を奮い立たせる祝福や、普通ではできないくらいまで体を覚醒させる祝福、それに目や耳を良くする祝福まで種類は膨大です」
ルシャが戦闘に関する祝福を所持していたからその可能性を考えていたが、どうやら違ったらしい。
あの女教皇は他の人物からも祝福を奪っていたようだし、パインの祝福を足がかりにしてその魔の手を広げていったということだろう。
「この力で、神様の役に立ってみせます!」
気合い十分に握り拳を作るパインを見ながら、レオは無表情ながらも「期待しているよ」と返した。
実際、シェイミとの戦いでは彼女に救われた。
もしもパインがあの場に居なければ、自分は敗北していただろう。
あれから一日置いたため今は絶好調だが、いつあのような状況に陥るかはわからない。
それに仮に絶好調であっても、優位に働く力というのはありがたいものだ。
「あの…レオ様、少し相談があるのですが……」
珍しくこちらを伺うような切り出し方をしてくるアリエスを不思議に思いながら、彼女を見つめ返す。
するとアリエスは、遠慮がちに話し始めた。
「路銀についてなのですが、まだ余裕はあるもののこのままのペースでは不足する可能性が高いです。
最後に大きな依頼を受けたのはカマリの街での一本角の魔物ですし、レーヴァティでは依頼を受けている暇がなかったので……それに、人数が増えたのも理由の一つです」
「……そういえば、そうだね」
レーヴァティの街では比較的早い段階で呪いの右目が反応してしまったことと、教会のゴタゴタで依頼をろくに受けている暇がなかった。
エニフ谷まで神聖玉を作成するために同行した大きな任務があったが、パインを救出した後すぐにレーヴァティを飛び出したので、貰う余裕などなかったのだ。
まぁ、そもそも報酬を払うルシャとファイがあんな状態では貰えそうにもなかったのだが。
「エニフ谷で倒したおっきな竜の魔物の魔石は高く売れると思うけど、それでも路銀は多くて損はないからね。
備えあれば憂いなしって言うし」
「……そうだね。アルティスは冒険者を優遇しているらしいから、任務を受けてみるよ」
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