親友と同時に死んで異世界転生したけど立場が違いすぎてお嫁さんにされちゃった話

gina

文字の大きさ
上 下
3 / 8

3

しおりを挟む

 という訳で、俺はそれから変わった。今まで見向きもしなかった家業である酒造りをイチから覚え、身体中を果汁まみれにした。

 サボりがちだった数学文学中等院(日本で言う中学ね)にも毎日通うようになり、学校が休みの日は、酒造りを手伝った。

 生まれ変わったように勤勉になった俺を、母親はあの日落馬して頭でも打ったんだとお医者さんに何度も診せに行ったけど、父親と、兄貴は歓迎してくれた。

 いくら顔が良くたって、勉強出来なくて仕事もできなくちゃ、お嫁に行くしかなかったから……そう、俺が生きてるこの世界では、男も嫁に行く。
 
 ついでに妊娠も出来る。俺が勤勉になったのは、最初はただひたすら申し訳ないって気持ちが十割だったけど、そのことを思い出してハッとして、冗談じゃねえやと思ったのが、今は十割だ。

 何故なら、この世界の常識と前世の常識に照らし合わせて見れば、俺は肉屋のマックスにロックオンされてる。マックスは幼馴染で、誰よりもやわらかい雪石を俺に投げ、俺が一生懸命固めたガチガチの雪石に、ワザと当たりに来て俺の「つーかまえた」をやられたがってた奴だからだ。

 さすがに16歳になった今は雪石遊びはやらないけど、用もなくやって来て俺の苦手な力仕事を代わってくれたりするのだ。怖い。今、俺はすげえ怖い。いつマックスに告られるか、「そういう気配」を感じる度ぬるっとかわすのに神経使ってる。あんまり露骨に避けるとマックスが苛立って急に押し倒したりしてくるかもしんないから。男と結婚なんてキモすぎる、まっぴらごめんだ。俺はこの世界で真面目に酒屋をやって、お城や街の皆様を楽しい気分にさせて前世の償いをして一生を過ごすつもりだ……ったんだけど。

 その事件は、宝石商が王冠作り終わったあと血吐いて倒れたって噂の立派な戴冠式が終わった翌日に訪れた。

「ちょっと、ちょっとちょっと! アンタ、ファビアン、アンタ一体何をしたの!」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

元執着ヤンデレ夫だったので警戒しています。

くまだった
BL
 新入生の歓迎会で壇上に立つアーサー アグレンを見た時に、記憶がざっと戻った。  金髪金目のこの才色兼備の男はおれの元執着ヤンデレ夫だ。絶対この男とは関わらない!とおれは決めた。 貴族金髪金目 元執着ヤンデレ夫 先輩攻め→→→茶髪黒目童顔平凡受け ムーンさんで先行投稿してます。 感想頂けたら嬉しいです!

美貌の騎士候補生は、愛する人を快楽漬けにして飼い慣らす〜僕から逃げないで愛させて〜

飛鷹
BL
騎士養成学校に在席しているパスティには秘密がある。 でも、それを誰かに言うつもりはなく、目的を達成したら静かに自国に戻るつもりだった。 しかし美貌の騎士候補生に捕まり、快楽漬けにされ、甘く喘がされてしまう。 秘密を抱えたまま、パスティは幸せになれるのか。 美貌の騎士候補生のカーディアスは何を考えてパスティに付きまとうのか……。 秘密を抱えた二人が幸せになるまでのお話。

お荷物な俺、独り立ちしようとしたら押し倒されていた

やまくる実
BL
異世界ファンタジー、ゲーム内の様な世界観。 俺は幼なじみのロイの事が好きだった。だけど俺は能力が低く、アイツのお荷物にしかなっていない。 独り立ちしようとして執着激しい攻めにガッツリ押し倒されてしまう話。 好きな相手に冷たくしてしまう拗らせ執着攻め✖️自己肯定感の低い鈍感受け ムーンライトノベルズにも掲載しています。

獣のような男が入浴しているところに落っこちた結果

ひづき
BL
異界に落ちたら、獣のような男が入浴しているところだった。 そのまま美味しく頂かれて、流されるまま愛でられる。 2023/04/06 後日談追加

異世界転生先でアホのふりしてたら執着された俺の話

深山恐竜
BL
俺はよくあるBL魔法学園ゲームの世界に異世界転生したらしい。よりにもよって、役どころは作中最悪の悪役令息だ。何重にも張られた没落エンドフラグをへし折る日々……なんてまっぴらごめんなので、前世のスキル(引きこもり)を最大限活用して平和を勝ち取る! ……はずだったのだが、どういうわけか俺の従者が「坊ちゃんの足すべすべ~」なんて言い出して!?

ゲーム世界の貴族A(=俺)

猫宮乾
BL
 妹に頼み込まれてBLゲームの戦闘部分を手伝っていた主人公。完璧に内容が頭に入った状態で、気がつけばそのゲームの世界にトリップしていた。脇役の貴族Aに成り代わっていたが、魔法が使えて楽しすぎた! が、BLゲームの世界だって事を忘れていた。

頭の上に現れた数字が平凡な俺で抜いた数って冗談ですよね?

いぶぷろふぇ
BL
 ある日突然頭の上に謎の数字が見えるようになったごくごく普通の高校生、佐藤栄司。何やら規則性があるらしい数字だが、その意味は分からないまま。  ところが、数字が頭上にある事にも慣れたある日、クラス替えによって隣の席になった学年一のイケメン白田慶は数字に何やら心当たりがあるようで……?   頭上の数字を発端に、普通のはずの高校生がヤンデレ達の愛に巻き込まれていく!? 「白田君!? っていうか、和真も!? 慎吾まで!? ちょ、やめて! そんな目で見つめてこないで!」 美形ヤンデレ攻め×平凡受け ※この作品は以前ぷらいべったーに載せた作品を改題・改稿したものです ※物語は高校生から始まりますが、主人公が成人する後半まで性描写はありません

屈強な男が借金のカタに後宮に入れられたら

信号六
BL
後宮のどの美女にも美少年にも手を出さなかった美青年王アズと、その対策にダメ元で連れてこられた屈強男性妃イルドルの短いお話です。屈強男性受け!以前Twitterで載せた作品の短編小説版です。 (ムーンライトノベルズ、pixivにも載せています)

処理中です...