親友と同時に死んで異世界転生したけど立場が違いすぎてお嫁さんにされちゃった話

gina

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 イルム歴205年。空の月13太陽日。

 今日も俺は一家総出でファーデン酒の仕込みで大忙しだ。

 なにせ御年189歳で崩御されたイルム3世の跡継ぎが正式に決まり──揉めに揉めていたのだ──戴冠式が明後日に迫っているからだ。お陰で、大変なことになった。城に酒を納めてる我が家はまさか明後日だなんて思ってなかった。だって、明後日は16太陽日。太陽の方角「良」だからだ。「大良」の32太陽日になるに決まってるって、俺達酒屋だけじゃなく、肉屋も魚屋も、宝石商だって思ってた。果たして、戴冠用の王冠が間に合うか。今、城下街ではそれが賭けの対象になってる……なんて、俺も本気でこっちに慣れたもんだ。

 というか、前世思い出してから整理ついたもんだ。

 俺は、前世では地球の日本の東京で高校生やってた。

「天才顔」って影で言われてるぐらい美形で、同じく「天から10物」って言われてた親友と好き放題チャラけて思いきり人生謳歌してた。

 ところがだ、やや貧血気味だった俺は、工事中で狭くなってた地下鉄のホームでよろけ、丁度入り込んで来た電車とぶつかっちゃった。約三万五千人に迷惑かけて死んだ……んじゃない。

 三万五千と、一人に迷惑かけて、死んだ。よろけた俺を支えようと身を乗り出した「天から10物」も一緒に電車の前に落っことして、死んじゃったから。

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