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4巻
4-2
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「それでは、よろしくお願いしますね」
「はいっ!」
「…………」
最後にダルディーさんに挨拶しているうちに、カオツさんが先に無言でお店を出てしまったので、慌てて追いかける。
「あ、カオツさん!? えっと……すみません、それじゃあ行ってきます!」
外に出ると、待機していたハーネとライが、僕の姿を見て駆け寄ってきた。
そんな二匹の頭を撫でつつ、カオツさんの背に声をかける。
「あの、カオツさん……いったいどこに」
「あ?」
「いや、あの……」
ただどこに行くのか聞いただけなのに、振り返ったカオツさんにすごまれてしまった。
ビクつく僕を見たカオツさんは、舌打ちしつつもちゃんと答えてくれる。
「これから行くダンジョンはそれなりに離れた場所にあるから、馬車に乗って移動するんだよ」
「あ……そうなんですね」
ちゃんと答えてくれたことにビックリしてしまう。
「おい」
「は、はぃっ?」
急に呼ばれて声が裏返ってしまった僕を、カオツさんは変な顔で見ていた。
そしてそのまま、はぁっと溜息を吐いたと思えば、「あれに乗っていくぞ」と、ある方向に指を向けた。
その先には、二、三人くらいの小人数の客を乗せて走る小馬車という乗り物が停まっている。
乗せる人数が少ないためスピードが出て、その分、移動時間が短縮出来る便利な乗り物で、ちょっと人力車に似ているかもしれない。
僕を置いてさっさと小馬車に乗ってしまうカオツさんの後を、再び慌てて追いかけて乗車する。
カオツさんの向かいに座ると、馬車が動き出した。
「…………」
「…………」
ガタゴトと揺れる馬車の中、狭い室内で、僕とカオツさんの間に会話はない。
声をかけようにもかけられない重苦しい空気が漂っていた。
いや、ハーネとライは相変わらずペチャクチャと喋っていたけど……
チラリと視線だけカオツさんに向ければ、足と腕を組みつつ、眉間に皺をよせながら目を閉じてジッとしていた。
うぅぅっ、辛いよぅ!
やることもないし暇なので、僕はタブレットを取り出す。
タブレットを取り出す時の物音に気付いたのか、僕に一瞬だけカオツさんは視線を向けたが、タブレットは僕以外の人の目には本を持っているように見えているので問題ない。
カオツさんはそのままフンッと鼻を鳴らして再び目を閉じた。
内心で苦笑しながら、僕はタブレットへと視線を落とす。
ここ最近いろいろなことがあって収入が増えたのと、デイリーボーナスをチマチマと貯めていたのもあって、ついこの前、アプリのレベルを全部3にしたんだよね。
そしたら、新しいアプリが表示されたんだけど……
「う~ん」
タブレットの画面を見て僕は唸る。
まだそのアプリは『■■』という表示で、内容が見られない状態だった。
なぜ早くポイントを使用して使える状態にしないのかと言えば、以前アプリを確認した時に【ロックの解除には300000ポイントが必要です。ロックを解除しますか?】と出たからだ。
最初のうちはアプリを解除するのに五万ポイントくらいで良かったのに、急に三十万ポイントに跳ね上がったんだよ!?
ロックの解除だけでそれなら、レベルアップにはどれほどの金額が必要なのか……恐ろしいと思ったものだ。
そんなわけで、このアプリのロック解除はポイントに余裕が出るまで待とうと思っていたんだ。
でも、今は事情が違う。
使えるアプリは多い方がいいし、何より今が手持無沙汰でこの重苦しい空気に耐えられない!
そういう理由から気を紛らわせる意味も込めて、このタイミングでロックを解除しようと思い至ったのだ。
【300000ポイントを使いますか?】
『はい』を押す。
ロックが解除され、見えないアプリをタップすると、いつものように時計マークが出てきた。
そして、それが消えるまでしばらく待つと、新しいアプリが表示される。
【新しいアプリが使用出来るようになりました】
【New! 『覗き見 Lv1』】
【『覗き見』――タブレット使用者以外の『過去』や『未来』の一部が見られます】
【※アプリのレベルが上がれば上がるほど長く鮮明に見られるようになり、表示出来る人数や範囲も広がります】
【※Lv1ですと一日に一回だけ使用可能。レベルが上がれば回数を増やすことが出来ます】
ロック解除のポイントが高かった割に、制限が多い。
ケチだ! と心の中で思いながら新しいアプリをタップする。
すると、画面には僕以外の人物――カオツさんとハーネとライ、それにこの馬車の御者さんの顔が表示された。
どうやらLv1だと僕の半径二~三メートル内くらいにいる人物しか使えないようだ。
そして、見られる人物の下に消費魔力が表示されている。おそらく、対象のレベルが高いと、消費魔力も上がるみたいだ。
その数値は、御者さんが『15』でハーネとライが『35』、そしてカオツさんが『40』だった。
あれ……カオツさんが一番高い。
失礼かもしれないが、カオツさんよりもハーネ達の方が消費する魔力は高いと勝手に思っていた。
だって結構前にグレイシスさんに『アホなAランクパーティ』と言われていたから、そんなに強くないのかなって思ったんだけど……
だけど数字が高いってことは、もしかしてカオツさんはかなりの実力者だったりするのだろうか。
そんなことを思いながら、誰を見ようかと考える。
「…………」
いまだに不機嫌そうな表情を崩さないカオツさんをチラリと確認し――一瞬悩んだが、彼を『覗き見』しようと決める。
あんまり親しくないから勝手に覗くのもどうかと思ったが、好奇心に負けてしまった。
そうと決まれば、タブレットに表示されたカオツさんのアイコンをタップする。
「――えっ?」
直後、一瞬にして、周囲の光景が切り替わった。
ひと昔前のテレビの受信状況が悪い時みたいな灰色の砂嵐が視界に映り、僕の四方を囲んでいるようだ。
ザーッという音も聞こえてくる。
てっきりタブレットの画面に映ると思っていたのに、まさか使用者の周りに投影されるシステムだったなんて!
なんだこれ? と目を細めると、目の前に誰かが立っているのがうっすらと見えた。
「……これは……カオツ、さん?」
砂嵐が酷くてあまりよく見えないが、誰か……髪の長い女性と一緒にいるらしいカオツさんが見える。
しかしその光景はすぐに切り替わり、ザザッ、ザザザッ、というノイズの音と共に数秒ごとに次々と場面が映し出された。
そして本当に……本当に一瞬だったんだけど、僕とカオツさんが楽しそうに笑っているのが見えて――プチッとテレビの電源を消すように砂嵐が消える。
「……ん!?」
今見た光景にビックリしたせいで大きめの声が出て、カオツさんに睨まれてしまった。
ペコペコ頭を下げて、タブレットで顔を隠す。
え、えぇ? 今の何? 僕とカオツさん、楽しそうに笑い合ってませんでした!?
もう衝撃的過ぎて言葉が出てこない。
今まで舌打ちされるか睨まれるか怒られるかしかなかったので、あれは未来の出来事……なのかな?
たとえ未来であったとしても、カオツさんとあんなに仲良く出来る日が来るなんて、想像も出来ないんですがっ!?
「……なんか、疲れちゃった」
あまりに驚愕の内容だったため、精神的な疲労が来てしまった。
僕はタブレットを腕輪に戻してから、ダンジョンに着くまで寝ようと目を閉じたのであった。
【虫喰いの森】の探索
しばらくして目を覚ますと、ダンジョンの入り口近くの村まで来ていた。
ハーネ達に聞いたら、五時間くらい移動していたらしい。
僕達が目指すダンジョンは、村からさらに歩いて一時間ほどのところにある。
でも、そこへ行くまでの道が舗装されていないため、途中から徒歩で移動しなきゃならないのだ。
ハーネかライに大きくなってもらって移動すれば早いんだけど、その方法は使わない方がいいとフェリスさんに言われている。
特に、暁以外の冒険者と動く時は気を付けてとのことだった。
多分僕を心配してのことだと思うんだけどね。
ともかく、馬車を降りてお金を支払い、この後の動きを相談しようとカオツさんに話しかけようとしたが……
「準備が整っているのならさっさとダンジョンに行くぞ」
そう言って、ズンズン進んでいってしまった。
引き離されないよう後を追いながら、ここに来る前にクルゥ君とした話を思い出す。
実は、【虫喰いの森】について、どんなところなのかと事前に聞いていたのだ。
この森の魔獣には、ハーネやライのような獣系よりもレーヌやエクエスのような虫系が多く、それを主食とする魔草がたくさん生息しているらしい。そこから【虫喰いの森】と言われてるんだって。
それらの魔草はいろんな状態異常を引き起こす成分を持っていたり、自分の意思で動いたりするそうだ。
もちろん危険な魔獣も出現するみたいだけど、このダンジョンでは魔獣よりも魔草にも注意しなければいけないと、クルゥ君は教えてくれた。
自分の意思で動く木々といえば、ランク昇級試験の時のことが頭を過った。
確か『揺れ木の枝』という魔草を討伐しようとして近付いたら、長い枝に打たれて、吹っ飛ばされたんだよね……
あれは痛かったな~と、その時のダメージを思い出しお腹を撫でる。
そんなことを考えながら歩いていくうちに、ダンジョン入り口までもうすぐというところまで来ていた。
僕より少し前を歩くカオツさんを見ると、干し肉のような携帯食を食べている。
ダンジョンの中に入ったらいつ食事が出来るか分からないからね。食べられるうちに食べておいた方がいいということだろう。
カオツさんに倣って、昨夜準備していたおにぎりをハーネとライにも食べさせてあげながら、その後に自分も口に入れてお腹を満たしておく。
カオツさんは僕達をチラリと見たが、何かを言うわけでもなく、無言で歩き続けていた。
軽く食事を済ませてから少しすると、ダンジョンの入り口まで辿り着く。
ダンジョン内は、比較的歩きやすい感じだった。
以前暁の皆と一緒に行ったダンジョンは、足元が苔に覆われ滑りやすいところだったけど、ここの地面は少し背丈の高い草が生えているのだ。
「カオツさん、これからどこに行きますか?」
少し前にカオツさんから手渡されていたダンジョン内のマップ――必要な魔獣や魔草の生息地が示されている地図を見ながら尋ねる。
「今いるところから近い地点に魔草が群生しているから、まずはそこへ行く」
カオツさんはぶっきらぼうにそう言って歩き出してしまった。
その後ろを付いて行きながら、僕は辺りを見回す。
移動中は、横ではライが鼻をヒク付かせながら辺りを警戒し、上空でハーネが周囲に敵がいないか目を光らせてくれているので安心だ。
しばらく歩いていると、地面の一か所が光っているのが視界に入った。
「カ、カオツさん!」
それに気付いた僕はその方向を見ながら、カオツさんを慌てて呼び止める。
「あ?」
不機嫌そうな顔でカオツさんには振り向かれたけれども、僕は「すぐに済むので!」と言って、光っている場所へと走った。
光っているものの正体――それは、キノコの傘がキラキラと輝いている、『てくきらキノコ』であった。
以前採取した素早く移動するキノコ――『てくてくキノコ』と同じような魔草であるが、こちらは傘が光っているのと、ゆっくりとしか歩けないという違いがある。
そして何より、このキノコ……タブレットの記述によれば匂いや味、食感がまるで松茸と同じらしい。予てより僕が食べてみたいと思っていた食材の一つでもあった。
まぁ、魔法薬の材料としてはあまり価値がないし、採れる場所も限られているため、この世界の住人にはあまり見向きもされていないみたいだけど……
僕がキノコの前でしゃがむと、てくきらキノコは土から『よっこいしょ~』とでも言ってそうな鈍い動きで抜け出し、ポテポテポテ……とどこかへと歩いていこうとする。
すかさず僕は腰に佩いていた剣でスパッと斬って、キノコ達を収穫していく。
全てのキノコを収穫した僕は、ホクホクした顔でカオツさんの元に戻った。
そんな僕の様子を、カオツさんは変なモノでも見るような目で見ていた。
まぁ、お金にもならず、この世界では食べられないとされているモノを採って嬉しそうな顔をしていたら、変にも思うよね。
「……行くぞ」
すぐに前を見たカオツさんは、そのまま何も言わずに再び歩き出した。
僕もそれに続いたんだけど……今まで手に入れることが出来なかったダンジョン内の魔草を前に我慢が出来ず、その後も珍しいものを見付けるたびに目を輝かせて採取を始めた。
「あ、あんなところにケルティ草が!」
「…………」
「あぁっ!? あっちにはミグリクズの実がある!」
「…………っ」
「ちょっといいですか、カオツさん! あそこにあるオエルギィを採って来ます!」
「…………っ!」
「ほわぁーっ!? タケノッコンの新芽まである!」
「…………おい」
これで食材が足らずに作れなかったタブレットの『レシピ』内のメニューも作れるようになるぞと僕は思わず浮かれる。
カオツさんは、相変わらず少し怖い目をしながら、その都度黙って歩みを止めてくれていたのだが……
「わわわっ、ヒピットの実も! すみません、カオツさ――」
「おぃ、テメェはいったい何しにここに来たんだ? あ?」
五回目に呼び止めようとした時、ついにカオツさんがキレた。
ガシッと僕の顔を鷲掴みにしながら、額に青筋を浮かべたカオツさんが僕を無表情で見下ろす。
「いいか? 欲しい魔草があるんなら、依頼を終えてから自分でここに来い。テメェのせいで早く終わるものも終われねーだろうがよ!」
ミシミシという音が鳴るくらい強く顔を掴まれ、僕はすぐさま「ごめんなさい!」と謝った。
「ったく……」
少し呆れた表情を浮かべながらも、意外にもあっさりカオツさんは手を放してくれた。
あれ、もっと怒鳴られるかと思ったんだけど……
「行くぞ」と歩みを再開したカオツさんの後を慌てて付いて行きながら、僕はしゅんと項垂れた。
と、同時にいつも暁のメンバーと行動する時のように振る舞っていたことに対して反省する。
暁の皆は自分達が食べる食材を採取しているという意図を知っていたけど、カオツさんからすれば依頼と全く関係ない行動だ。
こんなことをしていたら、カオツさんに限らず、違う他の冒険者の人と一緒に仕事をする場合でも、同じように怒られるのは目に見えている。
下手をしたら冒険者としての評価も下がるかもしれない。
僕を見ていないのは分かっていたけど、無言で前を進むカオツさんに、もう一度頭を下げた。
「カオツさん、本当にすみませんでした。これ以降は、カオツさんの足手まといにならないよう……しっかり働きます」
「…………」
前方でカオツさんが僕をチラリと見た気配がした。
顔を上げると、カオツさんはぼそっと呟く。
「お前の働きなんてはなっから期待なんてしてねーよ」
「……うぐっ」
「俺の足手まといにならなけりゃ、なんでもいい」
そう言って進むカオツさんの後ろ姿を見ながら、僕は挽回することを心の中で誓う。
――それからの僕は、一心不乱に仕事に励んだ。
途中現れる魔獣をハーネとライの力を使いつつ、時には自分で剣を使って倒す。
また依頼書にあった魔獣や魔草を手に入れる時は、怪我をしないように注意深く辺りを警戒したり、カオツさんに傷付けて欲しくない部位を的確に伝えたりして、サポートした。
最初のうちは僕が「カオツさん、その魔草は酸攻撃をしてくるので気をつけてください!」のようなアドバイスを伝えても、嫌な顔をされることが多かった。
時には舌打ちされることもあったけど、回数をこなすうちに次第にそれはなくなっていき、今では僕の言葉をちゃんと聞いてくれていた。
まぁ、返事は一切ないけどね。
「まっ、今日はこんなもんでいいだろう」
カマキリに似た巨大な魔獣の胴体を斬り落とした後、カオツさんは剣に付着した液体を払って鞘に収めると、そう言った。
空を見れば、いつの間にかうっすらと暗くなっていた。
僕はカオツさんが倒した魔獣の触角を頭から切り落とし、虹色に透き通った羽も綺麗に体から取り分けて収納用の袋に入れながら、カオツさんに尋ねる。
「カオツさん、どこで野営しますか?」
地図を見ながら、ここから少し先に川が流れている場所があるとカオツさんが言ったので、そこに向かって歩き出す。
ハーネに僕達の行き先を告げ、先に行って危険はないか確認してくれるようお願いした。
僕達が目的地に向かっている途中で、ハーネが体の水滴を振るい落としながら戻ってくる。
そして、危険はないことと、川には魚はいるけど魔獣は存在しないことを教えてくれた。
ハーネの体がびしょ濡れになっていたのは、どうやら川の中に潜って確かめてくれたことが理由だったらしい。
そんなハーネの言葉をカオツさんに伝えたところ、僕より使役獣の言葉が信頼出来るらしく、素直に「あぁ、分かった」と頷いてくれたのだった。
それから川まで来た僕達は、草があまり生えていない平らな場所で野営の準備を始めた。
まずカオツさんは地面にしゃがむと、虫系魔獣・魔草避けのお香が入った香炉を地面に置いた。
そして、それに手を翳し、魔法で火をつけて焚く。
僕達の周りに、あまり嗅いだことがないような不思議な香りが漂った。
聞けば、このお香を焚いている間は特定の魔獣達が近寄ってこられなくなるらしい。
ただ、万能というわけでなく、獣系の魔獣や人間には効かない。
そのことを知った僕は、万が一に備え、それらが近寄ってきた場合はハーネとライにすぐに教えてほしいと頼んだ。
「それにしても、不思議な匂いですね」
香炉からユラユラと空気中へ浮かぶ煙を見ながら、クンクンと鼻を鳴らす。
お香と言えば、噎せるくらいキツイ匂いのモノもあるけど、これは仄かに香る感じだ。
嗅覚が良いハーネとライも嫌な顔をしていない。
火をつけ終えたカオツさんは立ち上がると、クンッと右手を上げた。
すると、カオツさんを中心に緩やかな風が巻き起こる。
その風は香炉から出る煙を巻き込みながら僕達の周囲をクルクルと回り、カオツさんが指をクルリと回すと、煙を含んだ風が僕達に巻き付くように当たる。
まるで団扇で扇がれたような心地よい風が体全体に通り抜けたと思ったら、カオツさんは僕達の周囲に起こしていた風を止めた。
「はいっ!」
「…………」
最後にダルディーさんに挨拶しているうちに、カオツさんが先に無言でお店を出てしまったので、慌てて追いかける。
「あ、カオツさん!? えっと……すみません、それじゃあ行ってきます!」
外に出ると、待機していたハーネとライが、僕の姿を見て駆け寄ってきた。
そんな二匹の頭を撫でつつ、カオツさんの背に声をかける。
「あの、カオツさん……いったいどこに」
「あ?」
「いや、あの……」
ただどこに行くのか聞いただけなのに、振り返ったカオツさんにすごまれてしまった。
ビクつく僕を見たカオツさんは、舌打ちしつつもちゃんと答えてくれる。
「これから行くダンジョンはそれなりに離れた場所にあるから、馬車に乗って移動するんだよ」
「あ……そうなんですね」
ちゃんと答えてくれたことにビックリしてしまう。
「おい」
「は、はぃっ?」
急に呼ばれて声が裏返ってしまった僕を、カオツさんは変な顔で見ていた。
そしてそのまま、はぁっと溜息を吐いたと思えば、「あれに乗っていくぞ」と、ある方向に指を向けた。
その先には、二、三人くらいの小人数の客を乗せて走る小馬車という乗り物が停まっている。
乗せる人数が少ないためスピードが出て、その分、移動時間が短縮出来る便利な乗り物で、ちょっと人力車に似ているかもしれない。
僕を置いてさっさと小馬車に乗ってしまうカオツさんの後を、再び慌てて追いかけて乗車する。
カオツさんの向かいに座ると、馬車が動き出した。
「…………」
「…………」
ガタゴトと揺れる馬車の中、狭い室内で、僕とカオツさんの間に会話はない。
声をかけようにもかけられない重苦しい空気が漂っていた。
いや、ハーネとライは相変わらずペチャクチャと喋っていたけど……
チラリと視線だけカオツさんに向ければ、足と腕を組みつつ、眉間に皺をよせながら目を閉じてジッとしていた。
うぅぅっ、辛いよぅ!
やることもないし暇なので、僕はタブレットを取り出す。
タブレットを取り出す時の物音に気付いたのか、僕に一瞬だけカオツさんは視線を向けたが、タブレットは僕以外の人の目には本を持っているように見えているので問題ない。
カオツさんはそのままフンッと鼻を鳴らして再び目を閉じた。
内心で苦笑しながら、僕はタブレットへと視線を落とす。
ここ最近いろいろなことがあって収入が増えたのと、デイリーボーナスをチマチマと貯めていたのもあって、ついこの前、アプリのレベルを全部3にしたんだよね。
そしたら、新しいアプリが表示されたんだけど……
「う~ん」
タブレットの画面を見て僕は唸る。
まだそのアプリは『■■』という表示で、内容が見られない状態だった。
なぜ早くポイントを使用して使える状態にしないのかと言えば、以前アプリを確認した時に【ロックの解除には300000ポイントが必要です。ロックを解除しますか?】と出たからだ。
最初のうちはアプリを解除するのに五万ポイントくらいで良かったのに、急に三十万ポイントに跳ね上がったんだよ!?
ロックの解除だけでそれなら、レベルアップにはどれほどの金額が必要なのか……恐ろしいと思ったものだ。
そんなわけで、このアプリのロック解除はポイントに余裕が出るまで待とうと思っていたんだ。
でも、今は事情が違う。
使えるアプリは多い方がいいし、何より今が手持無沙汰でこの重苦しい空気に耐えられない!
そういう理由から気を紛らわせる意味も込めて、このタイミングでロックを解除しようと思い至ったのだ。
【300000ポイントを使いますか?】
『はい』を押す。
ロックが解除され、見えないアプリをタップすると、いつものように時計マークが出てきた。
そして、それが消えるまでしばらく待つと、新しいアプリが表示される。
【新しいアプリが使用出来るようになりました】
【New! 『覗き見 Lv1』】
【『覗き見』――タブレット使用者以外の『過去』や『未来』の一部が見られます】
【※アプリのレベルが上がれば上がるほど長く鮮明に見られるようになり、表示出来る人数や範囲も広がります】
【※Lv1ですと一日に一回だけ使用可能。レベルが上がれば回数を増やすことが出来ます】
ロック解除のポイントが高かった割に、制限が多い。
ケチだ! と心の中で思いながら新しいアプリをタップする。
すると、画面には僕以外の人物――カオツさんとハーネとライ、それにこの馬車の御者さんの顔が表示された。
どうやらLv1だと僕の半径二~三メートル内くらいにいる人物しか使えないようだ。
そして、見られる人物の下に消費魔力が表示されている。おそらく、対象のレベルが高いと、消費魔力も上がるみたいだ。
その数値は、御者さんが『15』でハーネとライが『35』、そしてカオツさんが『40』だった。
あれ……カオツさんが一番高い。
失礼かもしれないが、カオツさんよりもハーネ達の方が消費する魔力は高いと勝手に思っていた。
だって結構前にグレイシスさんに『アホなAランクパーティ』と言われていたから、そんなに強くないのかなって思ったんだけど……
だけど数字が高いってことは、もしかしてカオツさんはかなりの実力者だったりするのだろうか。
そんなことを思いながら、誰を見ようかと考える。
「…………」
いまだに不機嫌そうな表情を崩さないカオツさんをチラリと確認し――一瞬悩んだが、彼を『覗き見』しようと決める。
あんまり親しくないから勝手に覗くのもどうかと思ったが、好奇心に負けてしまった。
そうと決まれば、タブレットに表示されたカオツさんのアイコンをタップする。
「――えっ?」
直後、一瞬にして、周囲の光景が切り替わった。
ひと昔前のテレビの受信状況が悪い時みたいな灰色の砂嵐が視界に映り、僕の四方を囲んでいるようだ。
ザーッという音も聞こえてくる。
てっきりタブレットの画面に映ると思っていたのに、まさか使用者の周りに投影されるシステムだったなんて!
なんだこれ? と目を細めると、目の前に誰かが立っているのがうっすらと見えた。
「……これは……カオツ、さん?」
砂嵐が酷くてあまりよく見えないが、誰か……髪の長い女性と一緒にいるらしいカオツさんが見える。
しかしその光景はすぐに切り替わり、ザザッ、ザザザッ、というノイズの音と共に数秒ごとに次々と場面が映し出された。
そして本当に……本当に一瞬だったんだけど、僕とカオツさんが楽しそうに笑っているのが見えて――プチッとテレビの電源を消すように砂嵐が消える。
「……ん!?」
今見た光景にビックリしたせいで大きめの声が出て、カオツさんに睨まれてしまった。
ペコペコ頭を下げて、タブレットで顔を隠す。
え、えぇ? 今の何? 僕とカオツさん、楽しそうに笑い合ってませんでした!?
もう衝撃的過ぎて言葉が出てこない。
今まで舌打ちされるか睨まれるか怒られるかしかなかったので、あれは未来の出来事……なのかな?
たとえ未来であったとしても、カオツさんとあんなに仲良く出来る日が来るなんて、想像も出来ないんですがっ!?
「……なんか、疲れちゃった」
あまりに驚愕の内容だったため、精神的な疲労が来てしまった。
僕はタブレットを腕輪に戻してから、ダンジョンに着くまで寝ようと目を閉じたのであった。
【虫喰いの森】の探索
しばらくして目を覚ますと、ダンジョンの入り口近くの村まで来ていた。
ハーネ達に聞いたら、五時間くらい移動していたらしい。
僕達が目指すダンジョンは、村からさらに歩いて一時間ほどのところにある。
でも、そこへ行くまでの道が舗装されていないため、途中から徒歩で移動しなきゃならないのだ。
ハーネかライに大きくなってもらって移動すれば早いんだけど、その方法は使わない方がいいとフェリスさんに言われている。
特に、暁以外の冒険者と動く時は気を付けてとのことだった。
多分僕を心配してのことだと思うんだけどね。
ともかく、馬車を降りてお金を支払い、この後の動きを相談しようとカオツさんに話しかけようとしたが……
「準備が整っているのならさっさとダンジョンに行くぞ」
そう言って、ズンズン進んでいってしまった。
引き離されないよう後を追いながら、ここに来る前にクルゥ君とした話を思い出す。
実は、【虫喰いの森】について、どんなところなのかと事前に聞いていたのだ。
この森の魔獣には、ハーネやライのような獣系よりもレーヌやエクエスのような虫系が多く、それを主食とする魔草がたくさん生息しているらしい。そこから【虫喰いの森】と言われてるんだって。
それらの魔草はいろんな状態異常を引き起こす成分を持っていたり、自分の意思で動いたりするそうだ。
もちろん危険な魔獣も出現するみたいだけど、このダンジョンでは魔獣よりも魔草にも注意しなければいけないと、クルゥ君は教えてくれた。
自分の意思で動く木々といえば、ランク昇級試験の時のことが頭を過った。
確か『揺れ木の枝』という魔草を討伐しようとして近付いたら、長い枝に打たれて、吹っ飛ばされたんだよね……
あれは痛かったな~と、その時のダメージを思い出しお腹を撫でる。
そんなことを考えながら歩いていくうちに、ダンジョン入り口までもうすぐというところまで来ていた。
僕より少し前を歩くカオツさんを見ると、干し肉のような携帯食を食べている。
ダンジョンの中に入ったらいつ食事が出来るか分からないからね。食べられるうちに食べておいた方がいいということだろう。
カオツさんに倣って、昨夜準備していたおにぎりをハーネとライにも食べさせてあげながら、その後に自分も口に入れてお腹を満たしておく。
カオツさんは僕達をチラリと見たが、何かを言うわけでもなく、無言で歩き続けていた。
軽く食事を済ませてから少しすると、ダンジョンの入り口まで辿り着く。
ダンジョン内は、比較的歩きやすい感じだった。
以前暁の皆と一緒に行ったダンジョンは、足元が苔に覆われ滑りやすいところだったけど、ここの地面は少し背丈の高い草が生えているのだ。
「カオツさん、これからどこに行きますか?」
少し前にカオツさんから手渡されていたダンジョン内のマップ――必要な魔獣や魔草の生息地が示されている地図を見ながら尋ねる。
「今いるところから近い地点に魔草が群生しているから、まずはそこへ行く」
カオツさんはぶっきらぼうにそう言って歩き出してしまった。
その後ろを付いて行きながら、僕は辺りを見回す。
移動中は、横ではライが鼻をヒク付かせながら辺りを警戒し、上空でハーネが周囲に敵がいないか目を光らせてくれているので安心だ。
しばらく歩いていると、地面の一か所が光っているのが視界に入った。
「カ、カオツさん!」
それに気付いた僕はその方向を見ながら、カオツさんを慌てて呼び止める。
「あ?」
不機嫌そうな顔でカオツさんには振り向かれたけれども、僕は「すぐに済むので!」と言って、光っている場所へと走った。
光っているものの正体――それは、キノコの傘がキラキラと輝いている、『てくきらキノコ』であった。
以前採取した素早く移動するキノコ――『てくてくキノコ』と同じような魔草であるが、こちらは傘が光っているのと、ゆっくりとしか歩けないという違いがある。
そして何より、このキノコ……タブレットの記述によれば匂いや味、食感がまるで松茸と同じらしい。予てより僕が食べてみたいと思っていた食材の一つでもあった。
まぁ、魔法薬の材料としてはあまり価値がないし、採れる場所も限られているため、この世界の住人にはあまり見向きもされていないみたいだけど……
僕がキノコの前でしゃがむと、てくきらキノコは土から『よっこいしょ~』とでも言ってそうな鈍い動きで抜け出し、ポテポテポテ……とどこかへと歩いていこうとする。
すかさず僕は腰に佩いていた剣でスパッと斬って、キノコ達を収穫していく。
全てのキノコを収穫した僕は、ホクホクした顔でカオツさんの元に戻った。
そんな僕の様子を、カオツさんは変なモノでも見るような目で見ていた。
まぁ、お金にもならず、この世界では食べられないとされているモノを採って嬉しそうな顔をしていたら、変にも思うよね。
「……行くぞ」
すぐに前を見たカオツさんは、そのまま何も言わずに再び歩き出した。
僕もそれに続いたんだけど……今まで手に入れることが出来なかったダンジョン内の魔草を前に我慢が出来ず、その後も珍しいものを見付けるたびに目を輝かせて採取を始めた。
「あ、あんなところにケルティ草が!」
「…………」
「あぁっ!? あっちにはミグリクズの実がある!」
「…………っ」
「ちょっといいですか、カオツさん! あそこにあるオエルギィを採って来ます!」
「…………っ!」
「ほわぁーっ!? タケノッコンの新芽まである!」
「…………おい」
これで食材が足らずに作れなかったタブレットの『レシピ』内のメニューも作れるようになるぞと僕は思わず浮かれる。
カオツさんは、相変わらず少し怖い目をしながら、その都度黙って歩みを止めてくれていたのだが……
「わわわっ、ヒピットの実も! すみません、カオツさ――」
「おぃ、テメェはいったい何しにここに来たんだ? あ?」
五回目に呼び止めようとした時、ついにカオツさんがキレた。
ガシッと僕の顔を鷲掴みにしながら、額に青筋を浮かべたカオツさんが僕を無表情で見下ろす。
「いいか? 欲しい魔草があるんなら、依頼を終えてから自分でここに来い。テメェのせいで早く終わるものも終われねーだろうがよ!」
ミシミシという音が鳴るくらい強く顔を掴まれ、僕はすぐさま「ごめんなさい!」と謝った。
「ったく……」
少し呆れた表情を浮かべながらも、意外にもあっさりカオツさんは手を放してくれた。
あれ、もっと怒鳴られるかと思ったんだけど……
「行くぞ」と歩みを再開したカオツさんの後を慌てて付いて行きながら、僕はしゅんと項垂れた。
と、同時にいつも暁のメンバーと行動する時のように振る舞っていたことに対して反省する。
暁の皆は自分達が食べる食材を採取しているという意図を知っていたけど、カオツさんからすれば依頼と全く関係ない行動だ。
こんなことをしていたら、カオツさんに限らず、違う他の冒険者の人と一緒に仕事をする場合でも、同じように怒られるのは目に見えている。
下手をしたら冒険者としての評価も下がるかもしれない。
僕を見ていないのは分かっていたけど、無言で前を進むカオツさんに、もう一度頭を下げた。
「カオツさん、本当にすみませんでした。これ以降は、カオツさんの足手まといにならないよう……しっかり働きます」
「…………」
前方でカオツさんが僕をチラリと見た気配がした。
顔を上げると、カオツさんはぼそっと呟く。
「お前の働きなんてはなっから期待なんてしてねーよ」
「……うぐっ」
「俺の足手まといにならなけりゃ、なんでもいい」
そう言って進むカオツさんの後ろ姿を見ながら、僕は挽回することを心の中で誓う。
――それからの僕は、一心不乱に仕事に励んだ。
途中現れる魔獣をハーネとライの力を使いつつ、時には自分で剣を使って倒す。
また依頼書にあった魔獣や魔草を手に入れる時は、怪我をしないように注意深く辺りを警戒したり、カオツさんに傷付けて欲しくない部位を的確に伝えたりして、サポートした。
最初のうちは僕が「カオツさん、その魔草は酸攻撃をしてくるので気をつけてください!」のようなアドバイスを伝えても、嫌な顔をされることが多かった。
時には舌打ちされることもあったけど、回数をこなすうちに次第にそれはなくなっていき、今では僕の言葉をちゃんと聞いてくれていた。
まぁ、返事は一切ないけどね。
「まっ、今日はこんなもんでいいだろう」
カマキリに似た巨大な魔獣の胴体を斬り落とした後、カオツさんは剣に付着した液体を払って鞘に収めると、そう言った。
空を見れば、いつの間にかうっすらと暗くなっていた。
僕はカオツさんが倒した魔獣の触角を頭から切り落とし、虹色に透き通った羽も綺麗に体から取り分けて収納用の袋に入れながら、カオツさんに尋ねる。
「カオツさん、どこで野営しますか?」
地図を見ながら、ここから少し先に川が流れている場所があるとカオツさんが言ったので、そこに向かって歩き出す。
ハーネに僕達の行き先を告げ、先に行って危険はないか確認してくれるようお願いした。
僕達が目的地に向かっている途中で、ハーネが体の水滴を振るい落としながら戻ってくる。
そして、危険はないことと、川には魚はいるけど魔獣は存在しないことを教えてくれた。
ハーネの体がびしょ濡れになっていたのは、どうやら川の中に潜って確かめてくれたことが理由だったらしい。
そんなハーネの言葉をカオツさんに伝えたところ、僕より使役獣の言葉が信頼出来るらしく、素直に「あぁ、分かった」と頷いてくれたのだった。
それから川まで来た僕達は、草があまり生えていない平らな場所で野営の準備を始めた。
まずカオツさんは地面にしゃがむと、虫系魔獣・魔草避けのお香が入った香炉を地面に置いた。
そして、それに手を翳し、魔法で火をつけて焚く。
僕達の周りに、あまり嗅いだことがないような不思議な香りが漂った。
聞けば、このお香を焚いている間は特定の魔獣達が近寄ってこられなくなるらしい。
ただ、万能というわけでなく、獣系の魔獣や人間には効かない。
そのことを知った僕は、万が一に備え、それらが近寄ってきた場合はハーネとライにすぐに教えてほしいと頼んだ。
「それにしても、不思議な匂いですね」
香炉からユラユラと空気中へ浮かぶ煙を見ながら、クンクンと鼻を鳴らす。
お香と言えば、噎せるくらいキツイ匂いのモノもあるけど、これは仄かに香る感じだ。
嗅覚が良いハーネとライも嫌な顔をしていない。
火をつけ終えたカオツさんは立ち上がると、クンッと右手を上げた。
すると、カオツさんを中心に緩やかな風が巻き起こる。
その風は香炉から出る煙を巻き込みながら僕達の周囲をクルクルと回り、カオツさんが指をクルリと回すと、煙を含んだ風が僕達に巻き付くように当たる。
まるで団扇で扇がれたような心地よい風が体全体に通り抜けたと思ったら、カオツさんは僕達の周囲に起こしていた風を止めた。
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旧版を基に再編集しています。
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