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3巻
3-2
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「あ、僕ここのお店に入ってみたいかも」
歩いている最中、『世界の香辛料』という看板を掲げたお店を見付けた僕は、クルゥ君達に声をかける。
「もし二人で違う店に行きたいなら、別行動でも大丈夫だよ?」
僕がそう言うなり、クリスティアナさんが目を輝かせる。
「あらそう? それなら私はお兄様と――」
「いや、ボクはどこかに行きたいとかないから一緒に入るよ。あぁ、クリスティアナはどこか行きたいところがあるなら行ってきたら?」
「……一緒に行きます」
「あははは……じゃあ、行きますか」
僕はそんな二人のやり取りに苦笑して、お店の方へと向かう。
カランコロンと鐘の音を鳴らしながらドアを押すと――スパイス独特の匂いが漂ってきた。
「いらっしゃいませ」
中に入れば、ちょっとヨボヨボした狐の獣人さんがカウンターから顔を覗かせていた。見た目は完全に後ろ足で立つ普通の狐みたいだな。
「こんにちは、ちょっと聞きたいことがあるんですが――」
僕は狐の獣人のおじいちゃんに、ここで取り扱っているスパイスの使い方などを聞いてみることにした。
山のものや海のものにはどういった香辛料が相性がいいのか、魔獣の臭みを取るにはどれがいいのか、この国ではどのような味付けが一般的で、隠し味にはどれが使われているのか……などなど。
タブレットの『レシピ』の通りに作れば、確かに美味しいご飯が出来上がるけど、その他にもいろいろなことを知っておくのも悪くないはず。
それにちょっとくらいのアレンジを加えても、美味しく出来上がるのだ。
料理の研究をして、皆にもっと美味しいご飯を作って喜んでもらいたいからね。
そんな僕の気持ちが伝わったのか、おじいちゃんは嬉しそうにいろいろ説明してくれる。
「――それじゃあ、いろいろとありがとうございました!」
「ほほほ、またのお越しをお待ちしております」
おじいちゃんお勧めの香辛料を数種類購入した僕は、ホクホクしてお店から出る。
次はどこに行こうかとウキウキしながら、クルゥ君と僕でガイドマップを見つつ大通りを進んでいく。
「ケント、他に行きたいところはある?」
「ん~、他に何があるかな? クルゥ君が行きたいところは?」
「ボクはね――」
そんな話をしながら、連続で六軒以上のお店を渡り歩いていたんだけど――
「――んもぅ、疲れましたわ!」
今まで大人しく付いて来ていたクリスティアナさんがついにキレた。
女の子を連れ歩いてるのに、休憩の一つもしてなかったっけ。流石に申し訳なく思ってしまった。
「あ、そろそろお昼の時間にもなるよね、休憩ついでにご飯でも食べに行く?」
「そうだね。お昼は何を食べたい、クリスティアナ?」
クルゥ君もちょっとクリスティアナさんが可哀想だと思ったのだろう、これまでとは打って変わって優しく問いかける。
「……確か、この国の名物は海の幸と言われていますわ」
「それじゃあ、お店を探して行ってみようか」
僕達はガイドマップを見ながら、今この国で一番流行っていると噂されているお店に行くことにしたのであった。
流行りの店というだけあって、お店はそれなりに混んでいるようだった。
ただ、昼食には少し遅い時間帯だったためか、スムーズに入店することが出来た。
「へぇ~、結構中は広いんだな」
お店の中を案内されながら観察してみれば、カウンター以外は全て半個室になっている。
レースのカーテンを閉めると、中にいる人物は見えるが、話している内容は聞こえなくなるといった、防音効果が施されているのも人気の一つなんだとか。
店員さんに通された個室へと入り、クリスティアナさんが当然のようにクルゥ君の隣に座ったので、僕は二人の向かい側の席へと腰を落ち着かせる。
海鮮系に力を入れているメニューから各々好きなものを選び、テーブルの上に置いてあったベルを使って店員さんを呼んで注文する。
それから、ここに来るまでに入ったお店の感想なんかを話して時間を過ごしていると、思っていたより早く、頼んだメニューが運ばれてきた。
テーブルの上に並べられたお皿には、新鮮な海の幸が溢れるほど盛られていて、僕達の食欲を刺激する。
僕が頼んだものは、ベーグルに似たパンと、採れたて野菜にタコとサーモンっぽい魚介の載ったカルパッチョ。
クルゥ君は大きな魚を豪快に一匹使った煮魚メニュー。
クリスティアナさんは、野菜スティックと白身魚のフライみたいな食べ物を注文していた。
どれも見た目や匂いは凄く美味しそうだ。
僕達はさっそく「いただきます!」と言ってから食べ始めたんだけど……
「――ぶふっ!?」
「うえぇぇ……っ」
口に入れた瞬間に広がる強烈な生臭さとヘドロのような臭いに、僕は口に一度入れたものを皿に盛大に吐き出してしまった。
クルゥ君はといえば、口から吐き出すことはなかったが、呑み込むことを体が拒絶しているのか、口を開けて呻いている。
「ちょ、なんなんですのっ!? 口に入れたものを出すなんて汚らしいですわ!」
そんな僕達を見ていたクリスティアナさんが、顔を引き攣らせながら怒る。
「ま、マズ!」
「うぅぅ……こんなに美味しくないもの、久し振りに食べたんだけど」
「そんなまさか……このお店は美食家も通う有名店ですのよ?」
顔を青くしながら呻く僕達を見ながら、クリスティアナさんが訝しげに自分が頼んだ食べ物を口に入れ――「どこが不味いんですの? 悪くない味ですわ」と首を傾げて言った。
「……ちょっと一口貰ってもいい?」
クルゥ君はそう許可を貰ってから、クリスティアナさんの目の前のフライを口に運ぶが、再度「おぇっ!」と呻く。
クルゥ君は慌てて水で口の中にあるものを呑み込むと、涙目で叫んだ。
「どこが悪くない味なんだよ!」
防音効果がある部屋で良かったと思いつつ、全くの同感だった僕もクルゥ君の言葉に頷いた。
昨日のフィッシュアンドチップスは普通に食べられたのに……なんだろう、このお店の魚の保管方法が悪いのかな?
でもクリスティアナさんが普通に食べてるってことは、この匂い、というか臭いがこの店のウリなのかと思ってしまう。
するとクルゥ君が、涙目のまま僕の方を見る。
「……ケント、もう限界。ケントが作る料理が食べたい」
「……うん、そうしようか」
僕とクルゥ君は立ち上がると、個室から出て店員さんに急な用事が出来たと伝え、食べ物を残して帰ることを詫びてからお金を払い、店を出た。
「ちょっとお兄様! せっかく入ったお店をなぜ出るのです!?」
「クリスティアナ……これから、『本当に美味しい食べ物』とはどんなものなのか、教えてあげるよ」
「本当に美味しい食べ物……ですか?」
意味が分からないと、頭の上にはてなマークを飛ばしているクリスティアナさん。
クルゥ君はそんな彼女から視線を外して聞いてきた。
「何を作るの?」
「う~ん、せっかく海の幸が豊富な国に来たんだから、出来れば海鮮系が食べたいよね……さっきも一応海鮮系ではあったけど」
「確かに」
「じゃあさ、鮮魚とか売っているお店に行ってみたいんだけど」
「ちょっと待って……あぁ、ここから少し歩いた場所に魚屋があるみたいだよ」
「よし、そこに行ってみよう!」
目を白黒させるクリスティアナさんを尻目に、僕達は早速移動し始める。
目的の魚屋は、思っていたよりも近くにあった。
どうやらこの周辺の飲食店へ魚を卸しているお店らしく、かなり大きな店舗みたいだ。
そこで、僕はさっきのマリネに載っていたタコとサーモンっぽいもの、それから初めて見る白身魚を食べやすい大きさにカットしてもらい、購入する。
この国では家庭でも生の魚を食べるらしく、腐らないように保存魔法を無料でかけてくれたのはとても助かった。
生魚を購入した後、僕達は大きな広場がある緑豊かな公園へと移動した。
ホテルにキッチンがあるわけでもないので、広いところで簡単な調理をしようと思ったのだ。
ここに来る途中にタブレットに入っている『レシピ』のアプリで何を作るか決めていたので、あとは準備をするだけだ。
少し陽も射していたので、木陰がある場所を選ぶ。
まず、クルゥ君が収納機能付きの腕輪の中から、防水シートを取り出して地面へ敷く。
その上に靴を脱いで僕とクルゥ君が上がるも、クリスティアナさんは靴を脱ぐのは遠慮すると言ったので、足だけ地面へ投げ出す形でシートの上へ座っていた。
そんなわけで一息ついたところで、早速調理に取りかかる。
まず、ここでたくさんの調理道具を出すわけにもいかないから、あまり手の込んだものは作れない。
なので、『簡単シーフードサラダ』を作って、それをパンに挟んで食べようと思う!
僕はクルゥ君にガラスボウルを出してもらうと、マリネ用のドレッシングから作っていく。
腕輪から取り出したマヨネーズとマスタード、すり下ろしたニンニク、醤油、塩、最初に入ったお店で買った黒コショウを入れて混ぜてから、さらにオリーブオイルを加える。
その中に先ほど購入した生魚などを投入。
最後に腕輪の中に入れていたパン――食べやすいように切れ目を入れておいたホットドッグロールを取り出し、ドレッシングに漬け込んだ具材を挟めば、シーフードサラダパンの完成である。
クルゥ君とクリスティアナさんに渡すと、クルゥ君がすかさず大きな口を開けてかぶり付いた。
「――うっまぁ~! やっぱり、ケントが作るものが一番だよね」
「へへへ、ありがとう」
僕も一緒になって一口、出来立てシーフードサラダパンにかぶり付く。
生臭さは全くなく、新鮮でぷりぷりな魚の旨味が口の中いっぱいに広がる。
調味料のせいなのか魚の保存方法のせいなのか、はたまた調理方法のせいなのかは分からないけど、さっきの店とは大違いだ。
ガツガツ貪るように食べる僕達の姿を、しばらく呆然と見ていたクリスティアナさんであったが、意を決したようにパンを食べ――ぱああぁっ! とその表情が明るくなった。
どうやら彼女は、「美味い!」「最高!」「お代わりー!」と豪快に食べてお代わりを叫ぶ暁の皆さんとは違って、黙々とお上品に食べるタイプらしく、無言でパンを食べていく。
そうして僕達が二個目のパンを食べ終わった頃に、ようやく食べ終えたクリスティアナさんは、持っていた布巾で口元を拭いてから「美味しかったですわ」と、小さな声で言った。
「お口に合ってよかったです」
「ふ、ふん!」
照れているのか、クリスティアナさんはそっぽを向いてしまったが――今までのように、ガルガルと威嚇してくることがなくなったのであった。
ちょっとは仲良くなれたかな?
それから、僕達三人でいろいろな場所を回った。
さっきの食事以来、クリスティアナさんの僕に対する態度が凄く柔らかくなったように思える。
食べ物で釣ったみたいでちょっと複雑だけど、まぁ、三人で楽しく過ごすことが出来たのは嬉しかった。
やっぱり人間関係、良好なのが一番だよね!
「そういえばクリスティアナ」
「な~に? お兄様」
「今はどんな仕事をしているのさ。この町にいたのは偶然なんだろうけど、僕達とこんなに一緒にいて、仕事に支障はないの?」
心配そうな顔でそう言うクルゥ君。
うん、お兄ちゃんって感じだ。
「そうですわね~。今は二件の依頼を掛け持ちしていますの。一つはとある商団の護衛で、もう一つは失踪者を捜す依頼ですわ」
クリスティアナさんの話によると、いろいろな国を渡り歩く商団の護衛をしていて、また明日からは商団と一緒にこの町を出なければならないらしい。
そしてもう一つの失踪者捜索の依頼は、その商団が行く先々でついでに探しているんだそうだ。
なにせ失踪者を見付けるのはかなり難しいため、期限は設けられていないとか。
ちなみに、どんな人物捜しているのかと聞いてみても、それは教えられないと口を噤んでしまった。
それから夕方になり、僕達がホテルに戻ろうかと話している頃に、クリスティアナさんの仲間――昨日彼女と一緒にいた人が、彼女を迎えに来た。
「はぁ~……お兄様と離れたくないですわ」
「いや、仲間が迎えに来ているんだから帰りなよ」
「お兄様のいけず! でもそんなところも大好きですわ!」
「はいはい」
クリスティアナさんはクルゥ君の体にギューッと抱きついた後、しょんぼりしながら体を離す。
心なしか、ツインテールもシュンと下がっているように見えた。
「それではお兄様、ごきげんよう」
「……うん。クリスティアナも気を付けてね」
「――っ! はい、お兄様」
クリスティアナさんは僕達から離れると仲間の方へ駆け出していき――ふと、立ち止まってクルリと振り向いた。かと思えば――
「愚民! くれぐれもお兄様の足手まといにならないようにね!」
そう叫んで離れていくのだった。
「……なんか、いろいろとごめんね、ケント」
「はは、全然謝る必要なんてないよ。お兄ちゃんが大好きな妹さんで可愛いよね」
僕がそう言えば、同じ顔を持つクルゥ君は微妙な顔をしたのであった。
それでは皆さん、ごきげんよう
次の日、僕達はホテルの食堂で朝食をとっていた。
ここのホテルはリジーさんがお勧めするだけあり、食事が普通に食べられる。
味付けはかなり薄味で少し精進料理に近いけど、朝の胃には優しい感じがして意外と食が進む。
初日の屋台の話だとこの国は甘じょっぱい味付けが多いらしいけど、このホテルは外国からの客が多そうだから、薄味で調整しやすくしてるんだろうな。
「あれ、ラグラーとグレイシスがいないけど、どうしたの?」
皆でご飯を食べていると、スープを飲んでいたクルゥ君が首を傾げながらケルヴィンさんに聞いていた。
「二人は、リジー殿の護衛として付き添っている」
どうやら予定していなかった商談が急遽入ったため、早起きしていたラグラーさんとグレイシスさんの二人に、リジーさんが道中の護衛を頼んだらしい。
少し遅れて朝食を食べに来たケルヴィンさんも付いて行こうかと聞いたが、そんなに離れた場所でもないし、二人もいれば十分だと言われたんだって。
「そうそう、昨日リジーさんが言っていたんだけど、思ったよりも商談が上手くいっているみたいで、依頼延長もなく帰れそうなのよ」
ケルヴィンさんが話し終えてから、僕の隣で眠そうな顔で朝食を食べていたフェリスさんが思い出したように話し出す。
「本当ですか?」
「えぇ。昨日グレイシスがリジーさんの商談の手助けをしたらしくて、それが思っていた以上の成果を出したみたいなの。だから、早く帰れるし――もしかしたら、報酬の上乗せもあり得るかもしれないわ」
フェリスさんは今までの眠たそうな顔から、一気にキラキラと目を光らせ、元気いっぱい嬉しさ全開の笑みを浮かべた。
「うーわぁ~……目がお金になってるし」
クルゥ君の言葉に、僕は同意して苦笑するしかなかった。
朝食を終えた僕達は、もしかしたら今日のうちに帰れるかもしれないからと、部屋に戻って荷物を纏めておくことにした。
といっても、腕輪に収納機能があるから、簡単に整理するくらいであっという間に終わってしまう。
やることもなくなってしまったので、部屋の中で匂いがあまり強くない食べ物を作り、ホテルの部屋に入れず使役獣用の小屋にいるハーネとライの元へと持っていくことにする。
絶対暇を持て余してるだろうし、お腹が空いてもいるはずだから、早く行こうっと。
僕が部屋から出ようとしたら、暇だからと言って、クルゥ君も一緒にハーネ達の元へと行くことになった。
ホテルの外に出て、入口より少し離れた場所でハーネとライの名前を呼べば――
《あるじ~!》
《ごしゅじん!》
と、嬉しそうな声で駆け寄ってきた。
ほんと、いつも二匹に癒されるな。
「二人共、昨日はお利口にしてて偉かったね」
ハーネとライの頭を順番に撫でながら、二人に持ってきたビスケット――上に生ハム、チーズやジャムなどが載ったものを出すと、嬉しそうな声を出しながらペロリと食べてしまったのであった。
しばらく外でハーネやライと遊んだりブラッシングをしてあげたりしていたら、ホテルからケルヴィンさんが出てきた。
何かを捜すように辺りを見回していたケルヴィンさんは、ふと、僕と目が合うと近付いてきた。
「ここにいたのか、ケント、クルゥ」
「どうかしたんですか?」
どうやら僕達を捜していたらしい。
「ああ、先ほどリジー殿から連絡がきて、今日の夕方にはこの国を出発することになったんだ」
「帰りが早まったんですね……分かりました!」
「そこでケント、フェリスがこの国にしかない食料品で欲しい物があれば、出発までに購入しておいてくれと言っていた。これはフェリスから預かった財布だ」
ケルヴィンさんから手渡された革製の手帳のような財布を受け取って、中を確認すると……ビッチリと札束が詰まっていた。
「こ、こんな大金、必要なくないですか!?」
「どれだけお金がかかるか分からないから、と言っていたが? それと美味しい食事のためならどれほどお金がかかっても大丈夫――とのことだ」
僕は心の中で、ひょえー! と叫びながら、手に持ってて落としたら困ると、すぐに財布を腕輪の中に入れる。
うーん、結構時間があるし、たまにはケルヴィンさんと語り合いながら一緒に買い物をするのも悪くないな。
「ケルヴィンさん、これから何か用事とかありましたか?」
「いや、特には何もないが……」
「じゃあ、良かったら一緒に――」
行きませんか? と聞こうとしたところで、この二、三日で聞き慣れた声が聞こえてくる。
「お兄様~!」
声がした方へ振り向けば、フードを深くかぶったクリスティアナさんが、いつの間にかこちらに近付いてきていて、クルゥ君に抱きつこうとしていたところだった。
しかし、クルゥ君はヒョイと体を横にずらして、もはやタックルに近い抱擁を軽く躱していた。
歩いている最中、『世界の香辛料』という看板を掲げたお店を見付けた僕は、クルゥ君達に声をかける。
「もし二人で違う店に行きたいなら、別行動でも大丈夫だよ?」
僕がそう言うなり、クリスティアナさんが目を輝かせる。
「あらそう? それなら私はお兄様と――」
「いや、ボクはどこかに行きたいとかないから一緒に入るよ。あぁ、クリスティアナはどこか行きたいところがあるなら行ってきたら?」
「……一緒に行きます」
「あははは……じゃあ、行きますか」
僕はそんな二人のやり取りに苦笑して、お店の方へと向かう。
カランコロンと鐘の音を鳴らしながらドアを押すと――スパイス独特の匂いが漂ってきた。
「いらっしゃいませ」
中に入れば、ちょっとヨボヨボした狐の獣人さんがカウンターから顔を覗かせていた。見た目は完全に後ろ足で立つ普通の狐みたいだな。
「こんにちは、ちょっと聞きたいことがあるんですが――」
僕は狐の獣人のおじいちゃんに、ここで取り扱っているスパイスの使い方などを聞いてみることにした。
山のものや海のものにはどういった香辛料が相性がいいのか、魔獣の臭みを取るにはどれがいいのか、この国ではどのような味付けが一般的で、隠し味にはどれが使われているのか……などなど。
タブレットの『レシピ』の通りに作れば、確かに美味しいご飯が出来上がるけど、その他にもいろいろなことを知っておくのも悪くないはず。
それにちょっとくらいのアレンジを加えても、美味しく出来上がるのだ。
料理の研究をして、皆にもっと美味しいご飯を作って喜んでもらいたいからね。
そんな僕の気持ちが伝わったのか、おじいちゃんは嬉しそうにいろいろ説明してくれる。
「――それじゃあ、いろいろとありがとうございました!」
「ほほほ、またのお越しをお待ちしております」
おじいちゃんお勧めの香辛料を数種類購入した僕は、ホクホクしてお店から出る。
次はどこに行こうかとウキウキしながら、クルゥ君と僕でガイドマップを見つつ大通りを進んでいく。
「ケント、他に行きたいところはある?」
「ん~、他に何があるかな? クルゥ君が行きたいところは?」
「ボクはね――」
そんな話をしながら、連続で六軒以上のお店を渡り歩いていたんだけど――
「――んもぅ、疲れましたわ!」
今まで大人しく付いて来ていたクリスティアナさんがついにキレた。
女の子を連れ歩いてるのに、休憩の一つもしてなかったっけ。流石に申し訳なく思ってしまった。
「あ、そろそろお昼の時間にもなるよね、休憩ついでにご飯でも食べに行く?」
「そうだね。お昼は何を食べたい、クリスティアナ?」
クルゥ君もちょっとクリスティアナさんが可哀想だと思ったのだろう、これまでとは打って変わって優しく問いかける。
「……確か、この国の名物は海の幸と言われていますわ」
「それじゃあ、お店を探して行ってみようか」
僕達はガイドマップを見ながら、今この国で一番流行っていると噂されているお店に行くことにしたのであった。
流行りの店というだけあって、お店はそれなりに混んでいるようだった。
ただ、昼食には少し遅い時間帯だったためか、スムーズに入店することが出来た。
「へぇ~、結構中は広いんだな」
お店の中を案内されながら観察してみれば、カウンター以外は全て半個室になっている。
レースのカーテンを閉めると、中にいる人物は見えるが、話している内容は聞こえなくなるといった、防音効果が施されているのも人気の一つなんだとか。
店員さんに通された個室へと入り、クリスティアナさんが当然のようにクルゥ君の隣に座ったので、僕は二人の向かい側の席へと腰を落ち着かせる。
海鮮系に力を入れているメニューから各々好きなものを選び、テーブルの上に置いてあったベルを使って店員さんを呼んで注文する。
それから、ここに来るまでに入ったお店の感想なんかを話して時間を過ごしていると、思っていたより早く、頼んだメニューが運ばれてきた。
テーブルの上に並べられたお皿には、新鮮な海の幸が溢れるほど盛られていて、僕達の食欲を刺激する。
僕が頼んだものは、ベーグルに似たパンと、採れたて野菜にタコとサーモンっぽい魚介の載ったカルパッチョ。
クルゥ君は大きな魚を豪快に一匹使った煮魚メニュー。
クリスティアナさんは、野菜スティックと白身魚のフライみたいな食べ物を注文していた。
どれも見た目や匂いは凄く美味しそうだ。
僕達はさっそく「いただきます!」と言ってから食べ始めたんだけど……
「――ぶふっ!?」
「うえぇぇ……っ」
口に入れた瞬間に広がる強烈な生臭さとヘドロのような臭いに、僕は口に一度入れたものを皿に盛大に吐き出してしまった。
クルゥ君はといえば、口から吐き出すことはなかったが、呑み込むことを体が拒絶しているのか、口を開けて呻いている。
「ちょ、なんなんですのっ!? 口に入れたものを出すなんて汚らしいですわ!」
そんな僕達を見ていたクリスティアナさんが、顔を引き攣らせながら怒る。
「ま、マズ!」
「うぅぅ……こんなに美味しくないもの、久し振りに食べたんだけど」
「そんなまさか……このお店は美食家も通う有名店ですのよ?」
顔を青くしながら呻く僕達を見ながら、クリスティアナさんが訝しげに自分が頼んだ食べ物を口に入れ――「どこが不味いんですの? 悪くない味ですわ」と首を傾げて言った。
「……ちょっと一口貰ってもいい?」
クルゥ君はそう許可を貰ってから、クリスティアナさんの目の前のフライを口に運ぶが、再度「おぇっ!」と呻く。
クルゥ君は慌てて水で口の中にあるものを呑み込むと、涙目で叫んだ。
「どこが悪くない味なんだよ!」
防音効果がある部屋で良かったと思いつつ、全くの同感だった僕もクルゥ君の言葉に頷いた。
昨日のフィッシュアンドチップスは普通に食べられたのに……なんだろう、このお店の魚の保管方法が悪いのかな?
でもクリスティアナさんが普通に食べてるってことは、この匂い、というか臭いがこの店のウリなのかと思ってしまう。
するとクルゥ君が、涙目のまま僕の方を見る。
「……ケント、もう限界。ケントが作る料理が食べたい」
「……うん、そうしようか」
僕とクルゥ君は立ち上がると、個室から出て店員さんに急な用事が出来たと伝え、食べ物を残して帰ることを詫びてからお金を払い、店を出た。
「ちょっとお兄様! せっかく入ったお店をなぜ出るのです!?」
「クリスティアナ……これから、『本当に美味しい食べ物』とはどんなものなのか、教えてあげるよ」
「本当に美味しい食べ物……ですか?」
意味が分からないと、頭の上にはてなマークを飛ばしているクリスティアナさん。
クルゥ君はそんな彼女から視線を外して聞いてきた。
「何を作るの?」
「う~ん、せっかく海の幸が豊富な国に来たんだから、出来れば海鮮系が食べたいよね……さっきも一応海鮮系ではあったけど」
「確かに」
「じゃあさ、鮮魚とか売っているお店に行ってみたいんだけど」
「ちょっと待って……あぁ、ここから少し歩いた場所に魚屋があるみたいだよ」
「よし、そこに行ってみよう!」
目を白黒させるクリスティアナさんを尻目に、僕達は早速移動し始める。
目的の魚屋は、思っていたよりも近くにあった。
どうやらこの周辺の飲食店へ魚を卸しているお店らしく、かなり大きな店舗みたいだ。
そこで、僕はさっきのマリネに載っていたタコとサーモンっぽいもの、それから初めて見る白身魚を食べやすい大きさにカットしてもらい、購入する。
この国では家庭でも生の魚を食べるらしく、腐らないように保存魔法を無料でかけてくれたのはとても助かった。
生魚を購入した後、僕達は大きな広場がある緑豊かな公園へと移動した。
ホテルにキッチンがあるわけでもないので、広いところで簡単な調理をしようと思ったのだ。
ここに来る途中にタブレットに入っている『レシピ』のアプリで何を作るか決めていたので、あとは準備をするだけだ。
少し陽も射していたので、木陰がある場所を選ぶ。
まず、クルゥ君が収納機能付きの腕輪の中から、防水シートを取り出して地面へ敷く。
その上に靴を脱いで僕とクルゥ君が上がるも、クリスティアナさんは靴を脱ぐのは遠慮すると言ったので、足だけ地面へ投げ出す形でシートの上へ座っていた。
そんなわけで一息ついたところで、早速調理に取りかかる。
まず、ここでたくさんの調理道具を出すわけにもいかないから、あまり手の込んだものは作れない。
なので、『簡単シーフードサラダ』を作って、それをパンに挟んで食べようと思う!
僕はクルゥ君にガラスボウルを出してもらうと、マリネ用のドレッシングから作っていく。
腕輪から取り出したマヨネーズとマスタード、すり下ろしたニンニク、醤油、塩、最初に入ったお店で買った黒コショウを入れて混ぜてから、さらにオリーブオイルを加える。
その中に先ほど購入した生魚などを投入。
最後に腕輪の中に入れていたパン――食べやすいように切れ目を入れておいたホットドッグロールを取り出し、ドレッシングに漬け込んだ具材を挟めば、シーフードサラダパンの完成である。
クルゥ君とクリスティアナさんに渡すと、クルゥ君がすかさず大きな口を開けてかぶり付いた。
「――うっまぁ~! やっぱり、ケントが作るものが一番だよね」
「へへへ、ありがとう」
僕も一緒になって一口、出来立てシーフードサラダパンにかぶり付く。
生臭さは全くなく、新鮮でぷりぷりな魚の旨味が口の中いっぱいに広がる。
調味料のせいなのか魚の保存方法のせいなのか、はたまた調理方法のせいなのかは分からないけど、さっきの店とは大違いだ。
ガツガツ貪るように食べる僕達の姿を、しばらく呆然と見ていたクリスティアナさんであったが、意を決したようにパンを食べ――ぱああぁっ! とその表情が明るくなった。
どうやら彼女は、「美味い!」「最高!」「お代わりー!」と豪快に食べてお代わりを叫ぶ暁の皆さんとは違って、黙々とお上品に食べるタイプらしく、無言でパンを食べていく。
そうして僕達が二個目のパンを食べ終わった頃に、ようやく食べ終えたクリスティアナさんは、持っていた布巾で口元を拭いてから「美味しかったですわ」と、小さな声で言った。
「お口に合ってよかったです」
「ふ、ふん!」
照れているのか、クリスティアナさんはそっぽを向いてしまったが――今までのように、ガルガルと威嚇してくることがなくなったのであった。
ちょっとは仲良くなれたかな?
それから、僕達三人でいろいろな場所を回った。
さっきの食事以来、クリスティアナさんの僕に対する態度が凄く柔らかくなったように思える。
食べ物で釣ったみたいでちょっと複雑だけど、まぁ、三人で楽しく過ごすことが出来たのは嬉しかった。
やっぱり人間関係、良好なのが一番だよね!
「そういえばクリスティアナ」
「な~に? お兄様」
「今はどんな仕事をしているのさ。この町にいたのは偶然なんだろうけど、僕達とこんなに一緒にいて、仕事に支障はないの?」
心配そうな顔でそう言うクルゥ君。
うん、お兄ちゃんって感じだ。
「そうですわね~。今は二件の依頼を掛け持ちしていますの。一つはとある商団の護衛で、もう一つは失踪者を捜す依頼ですわ」
クリスティアナさんの話によると、いろいろな国を渡り歩く商団の護衛をしていて、また明日からは商団と一緒にこの町を出なければならないらしい。
そしてもう一つの失踪者捜索の依頼は、その商団が行く先々でついでに探しているんだそうだ。
なにせ失踪者を見付けるのはかなり難しいため、期限は設けられていないとか。
ちなみに、どんな人物捜しているのかと聞いてみても、それは教えられないと口を噤んでしまった。
それから夕方になり、僕達がホテルに戻ろうかと話している頃に、クリスティアナさんの仲間――昨日彼女と一緒にいた人が、彼女を迎えに来た。
「はぁ~……お兄様と離れたくないですわ」
「いや、仲間が迎えに来ているんだから帰りなよ」
「お兄様のいけず! でもそんなところも大好きですわ!」
「はいはい」
クリスティアナさんはクルゥ君の体にギューッと抱きついた後、しょんぼりしながら体を離す。
心なしか、ツインテールもシュンと下がっているように見えた。
「それではお兄様、ごきげんよう」
「……うん。クリスティアナも気を付けてね」
「――っ! はい、お兄様」
クリスティアナさんは僕達から離れると仲間の方へ駆け出していき――ふと、立ち止まってクルリと振り向いた。かと思えば――
「愚民! くれぐれもお兄様の足手まといにならないようにね!」
そう叫んで離れていくのだった。
「……なんか、いろいろとごめんね、ケント」
「はは、全然謝る必要なんてないよ。お兄ちゃんが大好きな妹さんで可愛いよね」
僕がそう言えば、同じ顔を持つクルゥ君は微妙な顔をしたのであった。
それでは皆さん、ごきげんよう
次の日、僕達はホテルの食堂で朝食をとっていた。
ここのホテルはリジーさんがお勧めするだけあり、食事が普通に食べられる。
味付けはかなり薄味で少し精進料理に近いけど、朝の胃には優しい感じがして意外と食が進む。
初日の屋台の話だとこの国は甘じょっぱい味付けが多いらしいけど、このホテルは外国からの客が多そうだから、薄味で調整しやすくしてるんだろうな。
「あれ、ラグラーとグレイシスがいないけど、どうしたの?」
皆でご飯を食べていると、スープを飲んでいたクルゥ君が首を傾げながらケルヴィンさんに聞いていた。
「二人は、リジー殿の護衛として付き添っている」
どうやら予定していなかった商談が急遽入ったため、早起きしていたラグラーさんとグレイシスさんの二人に、リジーさんが道中の護衛を頼んだらしい。
少し遅れて朝食を食べに来たケルヴィンさんも付いて行こうかと聞いたが、そんなに離れた場所でもないし、二人もいれば十分だと言われたんだって。
「そうそう、昨日リジーさんが言っていたんだけど、思ったよりも商談が上手くいっているみたいで、依頼延長もなく帰れそうなのよ」
ケルヴィンさんが話し終えてから、僕の隣で眠そうな顔で朝食を食べていたフェリスさんが思い出したように話し出す。
「本当ですか?」
「えぇ。昨日グレイシスがリジーさんの商談の手助けをしたらしくて、それが思っていた以上の成果を出したみたいなの。だから、早く帰れるし――もしかしたら、報酬の上乗せもあり得るかもしれないわ」
フェリスさんは今までの眠たそうな顔から、一気にキラキラと目を光らせ、元気いっぱい嬉しさ全開の笑みを浮かべた。
「うーわぁ~……目がお金になってるし」
クルゥ君の言葉に、僕は同意して苦笑するしかなかった。
朝食を終えた僕達は、もしかしたら今日のうちに帰れるかもしれないからと、部屋に戻って荷物を纏めておくことにした。
といっても、腕輪に収納機能があるから、簡単に整理するくらいであっという間に終わってしまう。
やることもなくなってしまったので、部屋の中で匂いがあまり強くない食べ物を作り、ホテルの部屋に入れず使役獣用の小屋にいるハーネとライの元へと持っていくことにする。
絶対暇を持て余してるだろうし、お腹が空いてもいるはずだから、早く行こうっと。
僕が部屋から出ようとしたら、暇だからと言って、クルゥ君も一緒にハーネ達の元へと行くことになった。
ホテルの外に出て、入口より少し離れた場所でハーネとライの名前を呼べば――
《あるじ~!》
《ごしゅじん!》
と、嬉しそうな声で駆け寄ってきた。
ほんと、いつも二匹に癒されるな。
「二人共、昨日はお利口にしてて偉かったね」
ハーネとライの頭を順番に撫でながら、二人に持ってきたビスケット――上に生ハム、チーズやジャムなどが載ったものを出すと、嬉しそうな声を出しながらペロリと食べてしまったのであった。
しばらく外でハーネやライと遊んだりブラッシングをしてあげたりしていたら、ホテルからケルヴィンさんが出てきた。
何かを捜すように辺りを見回していたケルヴィンさんは、ふと、僕と目が合うと近付いてきた。
「ここにいたのか、ケント、クルゥ」
「どうかしたんですか?」
どうやら僕達を捜していたらしい。
「ああ、先ほどリジー殿から連絡がきて、今日の夕方にはこの国を出発することになったんだ」
「帰りが早まったんですね……分かりました!」
「そこでケント、フェリスがこの国にしかない食料品で欲しい物があれば、出発までに購入しておいてくれと言っていた。これはフェリスから預かった財布だ」
ケルヴィンさんから手渡された革製の手帳のような財布を受け取って、中を確認すると……ビッチリと札束が詰まっていた。
「こ、こんな大金、必要なくないですか!?」
「どれだけお金がかかるか分からないから、と言っていたが? それと美味しい食事のためならどれほどお金がかかっても大丈夫――とのことだ」
僕は心の中で、ひょえー! と叫びながら、手に持ってて落としたら困ると、すぐに財布を腕輪の中に入れる。
うーん、結構時間があるし、たまにはケルヴィンさんと語り合いながら一緒に買い物をするのも悪くないな。
「ケルヴィンさん、これから何か用事とかありましたか?」
「いや、特には何もないが……」
「じゃあ、良かったら一緒に――」
行きませんか? と聞こうとしたところで、この二、三日で聞き慣れた声が聞こえてくる。
「お兄様~!」
声がした方へ振り向けば、フードを深くかぶったクリスティアナさんが、いつの間にかこちらに近付いてきていて、クルゥ君に抱きつこうとしていたところだった。
しかし、クルゥ君はヒョイと体を横にずらして、もはやタックルに近い抱擁を軽く躱していた。
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