チートなタブレットを持って快適異世界生活

ちびすけ

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3巻

3-1

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 妹さんはクリスティアナさんと言いまして


 僕、山崎健斗やまざきけんとはある日突然、気が付くと異世界にいた。
 どうしたものかと途方に暮れたが、なぜか持っていたタブレットに入っていた、様々なアプリのおかげで快適に過ごせそうだということが判明する。
 冒険者となった僕は、Bランクの冒険者パーティ『あかつき』に加入して、使役獣しえきじゅうを手に入れたり、魔法薬師の資格をゲットしたりと、楽しく過ごしていた。
 そんな僕達はある日、リス獣人の商人リジーさんから、隣国シェルケプトまでの護衛依頼を受けることに。
 無事に到着した町で、僕はパーティメンバーのクルゥ君、それから僕の使役獣である風葉蛇かぜはへびのハーネ、一角雷孤いっかくらいこのライと共に散策していたのが、フードを被った人物が、いきなりクルゥ君に抱きついてきた。
 フードの下から現れたのは、クルゥ君そっくりな顔の女の子。
 どうやら彼女はクルゥ君から以前聞いた、妹さんのクリスティアナさんらしい。
 とりあえず、道の真ん中で立ち話もなんだから……ということで、僕達は空いていた近くの飲食店に入ることにしたのだった。


 クルゥ君の妹さんと一緒にいた人達は、まだ他に用事があるからとどこかへ行ってしまい、カーテンつきの半個室には、僕とクルゥ君、そしてクルゥ君の妹さんだけだ。
 不機嫌そうなクルゥ君と、それとは正反対にニッコニコ顔で腕にしがみつく妹さん。二人を前にタジタジになっていた僕は、店員さんが持ってきてくれたメニューから適当に飲み物を頼む。
 それからしばらくして、店員さんが飲み物を運んできて、カーテンを閉めて立ち去ると――不機嫌そうな顔を崩さずにクルゥ君が口を開いた。

「ねぇ、暑苦しいから離れてよ」
「い・やっ! お兄様欠乏症になって何年だと思っていますの? これくらいじゃ足りないくらいですわ!」
「なんなのさ、そのお兄様欠乏症って」

 クルゥ君が妹さんのほおをグイーッと片手で押すも、絶対離すものかと、妹さんはさらにギュッとクルゥ君の腕に自分の腕を絡ませる。
 とってもうれしそうな表情でクルゥ君の腕に抱きついている妹さんは、一卵性双生児かのように、本当にクルゥ君とそっくりな顔をしていた。
 クルゥ君と違うところといえば、髪の長さと眼鏡、それと少しだけ高い声くらいじゃないだろうか?
 それにしても、本当にクルゥ君のことが好きなんだな~、なんて思いながら目の前に座る二人を見ていたら、ふと、妹さんがこちらに目を向けた。

「そこの愚民ぐみん、いつまでその不躾ぶしつけな目で私達を見ているつもり?」
「へ?」

 もはや絶対零度と言えるほどに冷たい表情で僕を見る妹さん。
 愚民って、そんな言葉初めて言われたよ……
 どう返そうかと思っていると、妹さんの瞳が、クルゥ君と同じ青色から、綺麗きれいなピンク味がかった紫色へと一瞬で変化する。
 あれ、瞳の色が変化した? と思った瞬間、視界がぐるっと回る。
 まるで眩暈めまいのような感覚だけど、妹さんの瞳だけはイヤにハッキリと見えた。
 耳に入ってくる周囲の音も消え、ずっとあの瞳を見続けていたい――そう思った時。

「ケントっ!」

 焦った声を出したクルゥ君の手で、目を塞がれた。
 すると不思議なことに眩暈が消えて、周囲のガヤガヤした音も耳にちゃんと入ってきた。

「……ぅっ……え? あ、あれ、クルゥ君?」
「はぁ~、間に合った……ケント、今から手を離すけど、絶対にボクがいいと言うまで目を開けないで」
「う、うん。分かった」

 僕がギュッと目を閉じた瞬間、目元を塞いでいた手が離れていく。
 その間、「あ~ん、お兄様行かないで~!」「うるさい。お前は本当に信用ならないから、一人で座ってろ」と、妹さんとクルゥ君が言い合う声が聞こえてきたかと思えば、すぐに僕の隣に誰かが座る。
 まぁ、誰かって言っても、座るのは一人しかいないんだけど。

「ケント、目を開けてもいいよ――あ、でもクリスティアナと目を合わせないようにして。下手をすれば操られるから」
「操られるっ!? う、うん、分かったよ」

 ビクビクしながら目を開け、そ~っと妹さんの目を見ないようにしながら顔を上げれば――妹さんは頬をぷっくり膨らませながら、不貞腐ふてくされた表情で机の上に頬杖ほおづえをついていた。

「はぁ……ホント妹がごめんね、ケント」
「え? あぁ、僕は別になんともないから、気にしないで」
「そういう問題じゃないよ。見ず知らずの人にいきなり『力』を使うなんてありえない。クリスティアナ、ちゃんとケントに謝るんだ」

 厳しい表情で妹さんに怒るクルゥ君は、暁の中では僕と並んで子供扱いをされてるけど、こうして見てれば、ちゃんと『お兄ちゃん』なんだな~と思えた。
 クルゥ君に注意されてもプイッと顔を背ける妹さんの態度を見て、クルゥ君の眉間みけんにグググッとしわが寄る。
 あまりよろしくない空気を察知した僕は、慌ててクルゥ君に声をかけた。

「ク、クルゥ君、そういえば自己紹介とかしてなかったよね!?」
「え? あぁ……そうだね」
「あの、僕はケント。クルゥ君と同じ暁に在籍しているんだ。よろしくね?」
「…………」
「……クリスティアナ」

 僕が自己紹介してもブスーっとした表情でそっぽを向いていた妹さんであったが、クルゥ君の一声に渋々といった感じで口を開いた。

「クリスティアナよ。よろしくしてくれなくても結構です」
「クリスティアナっ!」
「まぁまぁ、クルゥ君落ち着いて!」

 妹さん――クリスティアナさんに怒るクルゥ君をなんとかなだめた後、疲れた僕は目の前に置かれているジュースに口をつける。
 向かい側からの敵意のこもった視線をビシバシ受けて、どうしてこんなことになったんだと泣きたくなっていたけど。
 そんな僕を尻目に、クリスティアナさんがクルゥ君に向き直る。

「ねぇ、お兄様……お兄様が家を出てから八年が経ちました。もう、帰ってきてもいい頃ではないでしょうか?」
「ボクは帰らないよ。それに、今更ボクが帰ったところで何があるって言うのさ」
「お兄様は我が一族の当主になられる方ですのよ!?」
「それはお前一人が勝手に言っているだけで、一族の人間は『出来損ない』のボクじゃなくて、『優秀なクリスティアナ』が当主になることを望んでいるよ」
「それこそありえないですわ!」

 え~……僕の目の前で、クルゥ君ご兄妹による重い話が繰り広げられております。
 御家騒動かな? と思いながらも、口を挟まずに『僕は空気』と心の中で念じながら椅子に座っている。

「ボクはクリスティアナよりも力を――『魔声ませい』を使いこなせていない。そんなボクが、『力有る者が絶対』な一族の当主になんて、なれるわけがないじゃないか」
「ですから! 何度も言っておりますが、お兄様は多過ぎる魔力を使いこなせていないだけで、それが出来るようになれば、私よりも凄い力を発揮出来るのです! 私では足元にも及びません」
「それが出来ていないんだよ。だから、当主になるのは無理」

 クルゥ君は、「それに」、と言いながら僕の方を見て笑う。

「大切な仲間――戦いの最中に、背中を任せられるような友達も出来た。僕は、暁で皆と一緒に暮らすことに満足してる。だから……帰らないし、当主にもならない」

 こんなにハッキリと自分の考えを言うクルゥ君は、初めて見たかもしれない。
 クリスティアナさんは何かを言いかけるもすぐに口を閉じ、頬を膨らませてプイっとそっぽを向いてしまったのであった。
 辺りの空気が先ほどよりも軽くなったのを察知した僕は、ここぞとばかりに明るい声でクルゥ君に話しかけた。

「そういえばさ、クルゥ君は『魔声』の力を持っているけど……クリスティアナさんはどんな力を持っているの?」
「え? あぁ、クリスティアナは『魔眼まがん』を――目が合った人や動物、魔獣などの精神を操作して、自分の思い通りに操ることが出来るんだ」
「クルゥ君は『声』で、クリスティアナさんは『眼』なんだね」
「そう、そしてクリスティアナは僕よりも力の制御が完璧に出来ているから、一族の次期当主と言われているんだ」

 クルゥ君の言葉にクリスティアナさんの方を見れば、肩をすくめるようにしながら口を開いた。

「確かに私は力の制御がほぼ完璧に出来ていますが、それでも『魔眼』を使う時は瞳の色が変化してしまいますし、お兄様には一切効きませんわ」

 それから彼女が教えてくれたところによると、普通は『魔声』や『魔眼』でも、『力』を使う時はどうしても瞳の色が変化してしまうんだとか。
 瞳の色が変化すると、相手に気付かれてしまう。その点、クルゥ君は瞳の色が変わらないので、耳を塞がれさえしなければ、簡単に相手を従えることが出来るのだ。
 ちなみに、力を使う時に瞳の色が変化しないのは、歴代の当主の中でも力が非常に強い人物だけだったとか。
 だから、クリスティアナさんはクルゥ君が力の制御を完璧に出来るようになれば、当主になるに相応ふさわしい人間になると考えているようだった。

「……もうこんな話しかしないんだったら、ボク達は帰るよ。明日も仕事だし」
「えぇー! お兄様、もうちょっと一緒にいましょう~」

 クルゥ君は、甘えるような仕草をするクリスティアナさんをまるっと無視して、僕の腕をつかんで立ち上がり、さっさとお会計をして店から出ていく。
 僕達がお店の外に出ると、店内に入ることが出来なかったハーネとライが嬉しそうに寄ってきた。
 ぴょんとライが飛んで僕の肩に乗り上げ、ハーネはクルゥ君の頭にあごを乗せてまったりとくつろぐ。
 それを見たクリスティアナさんが悲鳴を上げた。

「いやぁぁあぁっ!? お兄様の頭に蛇が……ちょっと、そこの蛇! 美しいお兄様の頭から離れなさいっ!」
「ちょっと、耳元でうるさいんだけど? それにボクとハーネは仲良しなんだ。邪魔しないでくれる?」
《シュ~♪》

 クルゥ君とハーネが仲良く笑い合う横で、クリスティアナさんが「きーっ!」と地団太じだんだを踏む。

《しゅじん、あのこ……どうしたの?》
「いや、うん……たぶん、お兄ちゃんであるクルゥ君をハーネに取られて、嫉妬しっとしてるんだと思うよ?」
《ふ~ん》

 ライは不思議そうな表情で、クリスティアナさんを見ているのであった。


「は~……疲れた」

 愚図ぐずるクリスティアナさんを何とか宥め、別れた後にホテルの自室に帰ってきた僕達は、お風呂に入った後はぐったりしながらベッドの上へ倒れていた。
 最初はうつ伏せに倒れたクルゥ君は、ゴロリと動いて仰向あおむけになると、腕で目元を覆いながら溜息ためいきく。

「はぁ、疲れた……ケント、妹の態度が悪くてごめんね」
「あはは、気にしないで。すっごくお兄ちゃんが好きなんだな~って感じだし、可愛いよね」
「えぇ~……」

 僕が笑いながらそう言えば、クルゥ君は凄く嫌そうな顔をする。
 まぁ、自分とそっくり同じ顔の妹を可愛いと言われても、複雑だよね。

「はぁ~、今回もグレイシスの勘が当たってしまった……」

 クルゥ君が言う『グレイシスの勘』っていうのは、暁の一員であるグレイシスさんの「面倒ごとが起きる予感がする」という言葉を指しているのだろう。
 クルゥ君はそうつぶやいた後、「もう寝る」と言ってすぐに眠ってしまった。
 僕も僕で、「お休みー」と声をかけた後、大きな欠伸あくびが出た。
 自分が思っていた以上に疲れていたらしい。
 明日も早いし、僕も毛布の中に潜って寝ることにしようっと。




 激怒するフェリスさんは初めて見たよ……


 ――翌日。

「おはようございます、お兄様!」

 僕とクルゥ君がホテルから出たら、クリスティアナさんが満面の笑みで僕達を――主にクルゥ君を出迎えるようにして待っていた。
 ちなみに今日は、ハーネとライはお留守番の予定だ。今日はどう動くのかを、暁のリーダーであるフェリスさんに聞きに行かなきゃならないんだけど、もし仕事で町中を移動するとなったら、使役獣はいない方が目立たないからね。
 そんなわけで、昨日と違ってハーネを頭に乗せていないクルゥ君を前に、クリスティアナさんは満足げな表情である。

「何でクリスティアナがここにいるのさ!?」
「今日は一日お兄様と一緒にいたくて、休みを取りましたの!」

 ギョッとしたような顔をするクルゥ君に、クリスティアナさんが抱きつく。

「ちょっ、離れてよ!」
「いやですー!」

 ホテルの入口近くでクルゥ君とクリスティアナさんが騒いでいると、後ろから声をかけられた。

「そこで何をしているの?」

 その声の主――フェリスさんは、僕の顔の横からひょこりと顔を出して、不思議そうな表情を浮かべる。

「あ、フェリスさん」
「クルゥ、何をして……って、あら? その子は」

 フェリスさんはクリスティアナさんを見ると目を見開き、口に手を当てて「あらあら」と呟く。
 僕が何かを言うより前に、僕達の方を見たクリスティアナさんが目をカッと見開き、フェリスさんを人差し指で指した。

「あぁーっ!」

 なんだなんだ!? と思っているうちに、クリスティアナさんはワナワナと震えながらフェリスさんをキッとにらみ付け――

「私から大好きなお兄様を奪った人攫ひとさらい!」

 と、叫んだ。
 ガルルルル! とうなり声を上げそうな勢いで威嚇いかくするクリスティアナさんの元に、フェリスさんはコロコロと笑いながら近付いていく。

「や~ねー、人攫いだなんて。私はそんなことしていないわよ? ちゃーんとクルゥ本人や親御おやごさんにも許可は取ったし」
「私は許可した覚えはないわよ!」
「え~、だって妹ちゃんの許可なんて取る必要ないでしょ?」
「くっ、この!」

 腰に手を当て、ふふんと笑うフェリスさんに、クリスティアナさんは歯ぎしりすると――スッと表情を消す。
 そして、『魔眼』を発動させたのか……瞳の色が変わったのが分かった。
 今回は僕と直接目を合わせていないから、僕には影響はないみたいだけど、真正面で顔を合わせているフェリスさんは『魔眼』の力を浴びてしまっている。

「フェリスさん!」

 助けるために僕が駆け出そうとした瞬間、フェリスさんはクスッと笑って指をパチンッ! と鳴らした。

「きゃっ!?」

 その瞬間、クリスティアナさんが悲鳴を上げて右目を押さえる。

「ふふふ、私に力を使おうなんて二百年は早いわね。もっと修業をしてから出直してきなさいな」
「……くっ、この~っ!!」

 何をしたのか分からないが、クリスティアナさんの『魔眼』はフェリスさんには効かないようである。
 まるで赤子の手をひねるかのように簡単にねのけててしまった。
 フェリスさんは罵詈雑言ばりぞうごんを連発する目の前のクリスティアナさんをまるっと無視しつつ、僕とクルゥ君に笑いかける。

「クルゥにケント君、今日は二人共この国の観光をしててもいいわよ」
「え?」
「でも、リジーさんの護衛は」
「今日は町中の移動もそんなにないから、大人数じゃなくてもいいらしいのよ。ただ、早めに人が欲しいって昨日の夜に言われていたから、グレイシスとケルヴィン、ラグラーには先に行ってもらってるけど」

 だからこの場に三人がいないのか。

「たぶん私が行けば、二人が来なくても大丈夫だと思うから、今日は休暇をもらったと思って楽しんできて?」

 フェリスさんの言葉に、僕とクルゥ君は目を合わせてから「ありがとうございます」と言おうとしたんだけど……

「ちょっと、私のこと無視するんじゃないわよ! ――こんの、年増としまエルフ!!」

 クリスティアナさんがそう叫んだ。
 フェリスさんは、ここまでクリスティアナさんがえていたのを全て華麗にスルーしていたのに、この一言で、まとう空気が一変する。

「うふふふ、今……なんて言ったのかしらぁ~?」

 真正面でフェリスさんの表情を見たクルゥ君は顔面を蒼白そうはくにすると、何か叫ぼうとするクリスティアナさんの口をバッと押さえる。

「いや~、それじゃあボク達はこれから市内観光でもしてこようかな? ね、ケント!」
「う、うん! そうだね、行こうか!」

 僕とクルゥ君は暴れるクリスティアナさんを連れて、そそくさとその場から逃げたのであった。


「ふぅ~……あんな風に怒ったフェリスなんて、何年振りに見たか分かんないよ」
「はぁ、はぁ、怖かった……」

 ある程度ホテルから離れた場所まで避難ひなんした僕達は、弾む息を抑えながら溜息を吐く。
 そんな僕達と正反対の反応をしているのが、クリスティアナさんである。
 まだフェリスさんに言い足りないのか、ブチブチ言っていたけど……クルゥ君に本気の注意をされると、シュンと項垂うなだれてしまった。

「……さてと、それじゃあどこに行こうか?」

 一通り説教を終えたクルゥ君は、ホテルから貰ってきたガイドマップを開く。
 僕は横からマップをのぞき込んで、首を捻った。

「うーん、この国でしか取り扱ってない調味料とか食材なんかを置いてるところに行ってみたいんだけど……」
「食材系を多く取り扱っているお店がある通りだと……あぁ、ここからそんなに遠くない場所にあるみたいだから、行ってみようか?」
「うん……て、あの、クリスティアナさんもそれでいい?」
「ふんっ、私はお兄様が行く所へ付いて行くだけですわ!」

 プイっとそっぽを向かれてしまった。
 僕達はそんなクリスティアナさんの反応に苦笑しながら、目的地へと向かって歩き出すのであった。


 そうして歩くことしばし――

【美食の街――アルウェッティ通り】

 辿たどり着いた大通り入口の門には、そんな大きな看板が掲げられていた。
 確かに、通りの左右の店や屋台から、美味しそうな匂いが漂ってくる。

「うわ~、凄く美味しそうな匂いがする!」
「ふんっ、これだから愚民と一緒に歩くのは嫌なのよ。匂いを嗅いだくらいでウキウキしちゃって……みっともない」

 目を輝かせる僕を見てあきれたようにクリスティアナさんがそう言うので、僕は苦笑してしまう。

「あははは~、すみません」
「クリスティアナ! ……ケント、謝る必要なんて一つもないよ。それとクリスティアナ、次にまたケントにそんな口を利くようなら、ボク達とは別行動だからね」
「……むぐぐっ」
「まぁまぁ、クルゥ君落ち着いて」

 道中そんなことがありながらも、僕達はなんとか仲良く歩いていた。
 ま、僕は見た目こそ十五歳くらいだけど、中身は大人だからね。
 クリスティアナさんがプリプリ怒ってガルガルみ付いてきたとしても、別に傷付くことはないし、「お兄ちゃん大好きなブラコンちゃんで可愛いな」くらいにしか思ってない。
 まぁ、そんな僕の余裕な態度が許せないのかもしれないけど……


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