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15 もう一つの願い
しおりを挟む涼太はチャイナタウンの診療所に着くと、ハーレーから降りて診療所の扉を開けた。
鍵は掛かっていなかった。
「涼太か? そこに座ってくれ」
マルセリーノは既に診察室の椅子に座っている。
「マルセリーノさん」
それ以上の言葉は言えなかった。
「うん、少しの間だけ、黙って聞いてほしいことがあんねん」
「・・・・・・・・。」
「以前に話した生と死のこと覚えてるかな? 答えんでもええ、聞いててほしいねん。肉体は、全てこの星の構成成分で出来てるって言う話や。ワイらの星では、其の構成成分から基本的地図、いわゆる遺伝子とかタンパク質とか言うもんやけど、それさえあったら全く同じもんを作れるねん。いわゆる複製言うやつや。ただし、それはあくまでも複製であって生命体ではないねん。生命体にしようと思うたらな、これも以前に話した宇宙に石ころを投げたら、って言う話を思い出してほしいねん。死って言うのはな、その時に肉体から生命エネルギーが離れていくことやねん。肉体を離れたその生命エネルギーはな、宇宙に分散されて存在し続ける言うことが、ワイらの宇宙理論物理学で証明できてんねん」
「・・・・・・・・。」
「ええか、よう聞いててほしいねん。今ここにジュリアの肉体があったとしてやで、その肉体は複製やから当時の肉体を再現できてるとしようや。しかも内臓は何の病気も無い新しいままや。もしもや、ジュリアちゃんが1日でも長く生きて、できれば叶わないかもしれないけれど、お前のハーレーの後ろに乗ってドライブしたいと思てたら、お前、どうする?」
「まさか、マルセリーノさん」
「彼女がワイらの星に掛けた願いがそれやったら、お前はワイらに協力することができる。更に肝心なことがある。彼女の肉体を複製する装置は未だ完全やないねん。それはどういうことか言うたら、生存時間が限られてる言うことやねん。タイムリミットは24時間や。それでも、お前は彼女をハーレーに乗せてドライブするか? 彼女がワイらの星に掛けた願いを叶えるのに協力するか?」
「マルセリーノさん」
「その言葉は、イエス、と思てもええねんな」
「それが事実なら」
「分かった、今から全宇宙の生命エネルギーから、ジュリアちゃんの生命エネルギーだけを集めて、複製されたジュリアちゃんの肉体にエネルギーを注ぎ込む」
そう言い終わるとマルセリーノは、診察室の隣にある処置室の扉を開けた。
そこには、ベッドに寝かされている、出会った頃の未だ元気そうだった頃のジュリアが眠っていた。
涼太は診察室に入り、静かにジュリアに近寄ると、ジュリアの頬を触り、大粒の涙を流した。
その姿を確かめたマルセリーノは、静かに扉を閉めて、全宇宙生命エネルギー選択的収集装置のスイッチを入れた。
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