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心の傷
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「殺された?誰にだ」
「名前は分からない、でも私のお母さんも私と同じアイドルと配信者を合わせたような人だった。そしてある日おそらくファンに殺された。
ただ殺されたのではなくて、私達は引越したばかりでバレるわけなかった」
「でも、犯人はあなた達の家を特定した。それはおそらく、いや確実に内通者がいる。全ての情報をしり更にそれを誰かに漏らした。それを察するに」
「えぇ、犯人、いや情報源はかなり上の者と予想できる。そして犯人は…」
っと楓恋は悔しそうに拳をぎゅっと握りしめながら言う。
「それも大事だが、組織が嫌いな理由は?それがパノプティコン擬きと関係あるんだろ」
「えぇ、私のお母さんが殺され、捜査が始まった。でもね、組織は中々結果が出せずにいて結局は打ち上げとなった。いきなりね、そして私に「お母さんは残念だったな。犯人も、共犯者も分からない。当お手上げだ、何か思い出したり分かったりすれば組織に言えばいい。捜査はするだろう」っと言われたの。忘れもしない、あの人の名前」
嫌な予感がした俺は名前を聞いてみることにした。すると名前は
「融獄…」
それは、それは、俺がかつて捨てた一族だった…
「融獄っか、…俺が謝っても意味は無いことは分かってる。だが俺が代わりに謝る。
すま…いや、ごめんなさい。
実は、俺は融獄家の血を引いている。と言うかおそらくあんたがあった人の孫に当たる。横にいるアイリは当時からのメイドで色々あってここにいる。
まぁこんな事であんたの…ッ!」
気付けば楓恋がハサミを振り上げており右手でアイリを突き飛ばし、左手でそのハサミを掴もうとしたのが間違いで俺は、…
俺の手にハサミが突き刺さった。
「うぐっ…」
ハサミは俺の左手を貫通していた。
「勝様ッ!」
「来るな!」
段々力が強くなる楓恋の手を握り押し返そうとする。
気付くと傷口から血が流れ出ており、例のトラウマを思い出したのか力が弱まりその場に跪いた。
「こんな怪我久々だな」
っとポケットからハンカチを取り出し左手に刺さっているハサミを引き抜き抑える。
「ご、ごめん。そこに救急箱あるから…もう少しまって、さっきの人に手当を…」
「いえ、私がします。この人の手当なら慣れてるので、少しお借りしますよ」
と救急箱を取ってきて俺の手の手当を始めた。
「あんた、血が嫌いなんだな。もしかしなくとも目の前で?」
「…えぇ、あの日目の前でお母さんは殺された。でも犯人の顔は知らない。マスクを被っていたから」
そうして俺の左手を見た。
「これのことなら気にするな、体の傷は治るが心は違う。どれほど仲の良い奴と話しても、彼氏彼女と話しても、大切な人を失ったという心は治らない。家族なら尚更だ。
それにあの男からされた事、犯人達にされた事と比べたらこんなの痛くも痒くもない。お前は心の傷をおい、更には辛さや時には復讐心も抱いただろう。
それは間違いではない。人として当然だ。本当に辛いのはお前の母親のファンでもない、プロデューサーとかでもない。お前だ、今までよく1人で来れたな、お前はすごいやつだ」
「そんな事、ないよ。私はお母さんの背中を追いかけてた。だから私はお母さんと同じような事をしてる。最初の方はみんな同情してコメントやギフトをくれた。でもそんなのは嬉しくもなんともない、私は同情なんて要らないの」
そう言いながら目尻に溜まった涙を拭いた。
「そうか、でも俺とアイリ、そして組織にいる俺の幼なじみの星野、そして組織で出会った吉沢、姫野はみんな大切な人を失っている。
同情もするつもりはない。だが気持ちは分かる。それだけだ」
「終わりましたよ、勝様」
そう言いながら包帯をぎゅっと力強く締めた。
「それじゃまぁ、パノプティコン擬きを見せてもらいましょうか?楓恋さん」
「…えぇ、着いてきて」
そして俺たちはその場所に向かうのだった…
「名前は分からない、でも私のお母さんも私と同じアイドルと配信者を合わせたような人だった。そしてある日おそらくファンに殺された。
ただ殺されたのではなくて、私達は引越したばかりでバレるわけなかった」
「でも、犯人はあなた達の家を特定した。それはおそらく、いや確実に内通者がいる。全ての情報をしり更にそれを誰かに漏らした。それを察するに」
「えぇ、犯人、いや情報源はかなり上の者と予想できる。そして犯人は…」
っと楓恋は悔しそうに拳をぎゅっと握りしめながら言う。
「それも大事だが、組織が嫌いな理由は?それがパノプティコン擬きと関係あるんだろ」
「えぇ、私のお母さんが殺され、捜査が始まった。でもね、組織は中々結果が出せずにいて結局は打ち上げとなった。いきなりね、そして私に「お母さんは残念だったな。犯人も、共犯者も分からない。当お手上げだ、何か思い出したり分かったりすれば組織に言えばいい。捜査はするだろう」っと言われたの。忘れもしない、あの人の名前」
嫌な予感がした俺は名前を聞いてみることにした。すると名前は
「融獄…」
それは、それは、俺がかつて捨てた一族だった…
「融獄っか、…俺が謝っても意味は無いことは分かってる。だが俺が代わりに謝る。
すま…いや、ごめんなさい。
実は、俺は融獄家の血を引いている。と言うかおそらくあんたがあった人の孫に当たる。横にいるアイリは当時からのメイドで色々あってここにいる。
まぁこんな事であんたの…ッ!」
気付けば楓恋がハサミを振り上げており右手でアイリを突き飛ばし、左手でそのハサミを掴もうとしたのが間違いで俺は、…
俺の手にハサミが突き刺さった。
「うぐっ…」
ハサミは俺の左手を貫通していた。
「勝様ッ!」
「来るな!」
段々力が強くなる楓恋の手を握り押し返そうとする。
気付くと傷口から血が流れ出ており、例のトラウマを思い出したのか力が弱まりその場に跪いた。
「こんな怪我久々だな」
っとポケットからハンカチを取り出し左手に刺さっているハサミを引き抜き抑える。
「ご、ごめん。そこに救急箱あるから…もう少しまって、さっきの人に手当を…」
「いえ、私がします。この人の手当なら慣れてるので、少しお借りしますよ」
と救急箱を取ってきて俺の手の手当を始めた。
「あんた、血が嫌いなんだな。もしかしなくとも目の前で?」
「…えぇ、あの日目の前でお母さんは殺された。でも犯人の顔は知らない。マスクを被っていたから」
そうして俺の左手を見た。
「これのことなら気にするな、体の傷は治るが心は違う。どれほど仲の良い奴と話しても、彼氏彼女と話しても、大切な人を失ったという心は治らない。家族なら尚更だ。
それにあの男からされた事、犯人達にされた事と比べたらこんなの痛くも痒くもない。お前は心の傷をおい、更には辛さや時には復讐心も抱いただろう。
それは間違いではない。人として当然だ。本当に辛いのはお前の母親のファンでもない、プロデューサーとかでもない。お前だ、今までよく1人で来れたな、お前はすごいやつだ」
「そんな事、ないよ。私はお母さんの背中を追いかけてた。だから私はお母さんと同じような事をしてる。最初の方はみんな同情してコメントやギフトをくれた。でもそんなのは嬉しくもなんともない、私は同情なんて要らないの」
そう言いながら目尻に溜まった涙を拭いた。
「そうか、でも俺とアイリ、そして組織にいる俺の幼なじみの星野、そして組織で出会った吉沢、姫野はみんな大切な人を失っている。
同情もするつもりはない。だが気持ちは分かる。それだけだ」
「終わりましたよ、勝様」
そう言いながら包帯をぎゅっと力強く締めた。
「それじゃまぁ、パノプティコン擬きを見せてもらいましょうか?楓恋さん」
「…えぇ、着いてきて」
そして俺たちはその場所に向かうのだった…
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