16 / 50
ラストスパート、その先にあるものは?
しおりを挟む
三学期が年度最後だ。とにかく乗り切るしかない。
生徒には二学期の頃からずっと言われいた言葉がある。
「顔色悪いけど大丈夫?」
そう、ずっと無理を続けていたのだった。生徒の手前で弱音を吐く事はできない。その場で大丈夫と答える。それは三学期になっても同じだった。
ラストスパートの中には大変な事もあった。試験問題を私自身で作成する事だ。三田教諭や安田教諭がメインで行う仕事なはず…。しかし、発言権の無い会議の中で、安田教諭は私にその仕事を押し付けた。
授業は、彼等が前年に考えてきたもの。自分で考えたものではないので、試験問題は作成は過去を参考にしていく。
とにかく、授業で行った内容の要点を押さえる。そして、去年の問題と比較をして、ベースはそのままで改良をする事にした。
ここは教科主任の三田教諭を頼り、様々な事を教えてもらいながら作成できた。普段から仕事を教えてくれたら良かったのだが、年上の安田教諭の手前、自分が率先して仕事を教えていく訳にはいかなかったのだろう。
自分が作成した試験問題を生徒が解答していく。採点をしていく中で、嬉しい事もあった。平均点は高いものであり、不真面目な生徒もしっかりと要点を理解していた。
問題の難易度は低いものではあったけれど、赤点を出す事なく、一年間を終える事ができる。教えてきた甲斐があったと実感した。
年度末に校長から呼び出しがあった。来年度についてだった。
「来年度の予定は考えていますか?」
「採用試験の勉強に専念します」
「そうですか。私としては来年も引き続き勤務して欲しかったのですが…」
角が立たないように丁寧に来年度の契約を断った。既に体調が悪く、また一年を繰り返せるだけの体力が残っていないと自分で分かっていたからだ。
無事に、生徒が一年を終えた。そして、私の仕事も終わった。
「一年間ありがとうございました」
安田教諭と三田教諭に挨拶をして、跡を濁さずに全てを終わらせた。そうして私の教員人生は終わった。
しかし、これで全てが終わった訳ではなかった。当時はまだ、少し休んでから教員として復帰する気持ちがあったからだ。
生徒には二学期の頃からずっと言われいた言葉がある。
「顔色悪いけど大丈夫?」
そう、ずっと無理を続けていたのだった。生徒の手前で弱音を吐く事はできない。その場で大丈夫と答える。それは三学期になっても同じだった。
ラストスパートの中には大変な事もあった。試験問題を私自身で作成する事だ。三田教諭や安田教諭がメインで行う仕事なはず…。しかし、発言権の無い会議の中で、安田教諭は私にその仕事を押し付けた。
授業は、彼等が前年に考えてきたもの。自分で考えたものではないので、試験問題は作成は過去を参考にしていく。
とにかく、授業で行った内容の要点を押さえる。そして、去年の問題と比較をして、ベースはそのままで改良をする事にした。
ここは教科主任の三田教諭を頼り、様々な事を教えてもらいながら作成できた。普段から仕事を教えてくれたら良かったのだが、年上の安田教諭の手前、自分が率先して仕事を教えていく訳にはいかなかったのだろう。
自分が作成した試験問題を生徒が解答していく。採点をしていく中で、嬉しい事もあった。平均点は高いものであり、不真面目な生徒もしっかりと要点を理解していた。
問題の難易度は低いものではあったけれど、赤点を出す事なく、一年間を終える事ができる。教えてきた甲斐があったと実感した。
年度末に校長から呼び出しがあった。来年度についてだった。
「来年度の予定は考えていますか?」
「採用試験の勉強に専念します」
「そうですか。私としては来年も引き続き勤務して欲しかったのですが…」
角が立たないように丁寧に来年度の契約を断った。既に体調が悪く、また一年を繰り返せるだけの体力が残っていないと自分で分かっていたからだ。
無事に、生徒が一年を終えた。そして、私の仕事も終わった。
「一年間ありがとうございました」
安田教諭と三田教諭に挨拶をして、跡を濁さずに全てを終わらせた。そうして私の教員人生は終わった。
しかし、これで全てが終わった訳ではなかった。当時はまだ、少し休んでから教員として復帰する気持ちがあったからだ。
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
アルファポリスで投稿やってみて、心に移りゆくよしなしことを
未谷呉時
エッセイ・ノンフィクション
日々、書いて投稿してると、いろいろ雑念が浮かんできます……。
心に「移りゆくよしなしこと」が訪れている状態ですね。
それはあの日の兼好法師も、あなたも私も同じこと。
「ここの投稿関連で何かあったら、記事化してみちゃおう。」そういうエッセイです。
初回でも紹介していますが、アルファポリス運営様から
「単発エッセイじゃないのを推奨」
とお言葉いただいたので、実験的に連載スタイルにしてみる、の意味合いが大きいかもです。
(内容)
「1月10日の公式お知らせを受けて」/「章名を直したいとき」/「フリースペースに作品リンクを貼る」/『異世界おじさん』面白すぎ」/「ブラウザ版とアプリ版の違い」など。
(扉絵イラスト:イラストACより(わらじ様))
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ブラック・ベリィ2人組みの日常
ブラックベリィ
エッセイ・ノンフィクション
その名の通り、ほぼノンフェクションの日常を徒然(つれづれ)なるままに、書いていきたいと思います。
過去の思い出の日常編で、夏コミや冬コミに参加していた頃、同人サークルとして活動してい時のお話し。
また、ボルゾイ9頭を飼っていて、振り回された日々。現在進行形のミニヤギに振り回される日常のお話し。
また、現在飼育中の鶏のお話しなどなど。なお、現在書いている作品についてのコトも書くと思います。今日はどんな話だ?的に、現在過去取り混ぜて、思いつくままに書いて行こうと思っています。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
男性向け(女声)シチュエーションボイス台本
しましまのしっぽ
恋愛
男性向け(女声)シチュエーションボイス台本です。
関西弁彼女の台本を標準語に変えたものもあります。ご了承ください
ご自由にお使いください。
イラストはノーコピーライトガールさんからお借りしました
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる