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地獄の二学期
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二学期が始まってしまった。憂鬱な気分のまま、仕事が再開。
再び授業が始まっていく。しかし、そこで私の負担は増える事件が起きる。
「みゆき先生は未熟なので、私の担当しているクラスの授業も任せる」
安田教諭は、自分がメインで授業をしているクラスを私に放り投げた。
彼は、私を本当に成長させたかったのか、嫌がらせなのか、安田教諭自体が楽をしたい気持ちがあったのか。それは本人にしか分からない。
私が担当するクラスが一つ増えた。それは大きな負担だった。初めての教員生活で、右も左も分からない。誰も教えてくれない中で、仕事の量だけが増える。
そうして、よりハードな生活が始まった。以前よりも、徹夜で仕事に向かう頻度は増えていた。
通勤時、思う事があった。
「ここで飛び出して車に轢かれたら楽になれるかな」
「電車に飛び込んだら、どうなるだろう」
もう、この時点で完全に壊れて、応急処置すら遅い段階だったのだろう。私の心は、6ヶ月程度で破壊された。
毎日の通勤で、そのような事を考えながら、それでも周囲に迷惑は掛けられない。そう考えて実行に移す事はなかった。
罵倒されて、立ちっぱなしで、堂々と仕事ができない環境で。それでもよく耐えてきたと思う。それは、大人が無責任に仕事を投げ出す姿を生徒に見せたくなかった。そのような思いがあったからだ。
ある日、私は授業準備も終えて、帰宅をしようとしていた。
「おい。まさか帰るのか?明日の授業で使う教材を準備しろよ」
「いや、それは明日の授業と授業の合間で十分にできるので」
「今しろよ。この後、授業もないだろ」
安田教諭は私に仕事を強制する。立場が違う故に、断る事ができないサービス残業。
大人しく、翌日の教材準備を始める私。30分も掛からない作業だった。準備が終わった事を安田教諭に報告するために、彼を探すが見つからない。会議のために、夕方までは報告ができないそうだ。
ついでに私は、翌日以降の授業準備も行っていた。会議が終わる時間に職員室の教員に安田教諭の居場所を聞くが、会議が長引いているとの事。
そのまま私は、学校に残って授業準備をしながら会議が終わる事を待った。そして、やっと安田教諭が教科準備室に現れた。そして、報告をしようとする前に私に言った。
「どうしてここにいる?お前がいると準備室が閉めれないだろう。迷惑だ」
そう、彼は私に残業を強いた事を覚えていなかった。そして、まだ罵倒は続く。
私は急いで帰り支度をする。そして、仕事が終わった事を報告して、謝罪をした後に早歩きで学校を後にした。
涙を堪える事に必死だった。どうしてこんな目に遭うのか。罵倒されているのか。
帰宅後は、食事をしないで布団の中で泣いた。自分が惨めだった。反論できない立場にある事。毎日の罵倒。仕事環境すら与えられない事。
それでも、講師と言う役割を投げ出す事はできなかった。それは、前述した通りの理由があるからだ。そして、生徒にとっては一生一度の授業。私達、教員にとっては毎年繰り返される事ではあるが、生徒は違う。
心は壊れても、人間としての気持ちを持っていた事は今でも誇りに思う。
再び授業が始まっていく。しかし、そこで私の負担は増える事件が起きる。
「みゆき先生は未熟なので、私の担当しているクラスの授業も任せる」
安田教諭は、自分がメインで授業をしているクラスを私に放り投げた。
彼は、私を本当に成長させたかったのか、嫌がらせなのか、安田教諭自体が楽をしたい気持ちがあったのか。それは本人にしか分からない。
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そうして、よりハードな生活が始まった。以前よりも、徹夜で仕事に向かう頻度は増えていた。
通勤時、思う事があった。
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もう、この時点で完全に壊れて、応急処置すら遅い段階だったのだろう。私の心は、6ヶ月程度で破壊された。
毎日の通勤で、そのような事を考えながら、それでも周囲に迷惑は掛けられない。そう考えて実行に移す事はなかった。
罵倒されて、立ちっぱなしで、堂々と仕事ができない環境で。それでもよく耐えてきたと思う。それは、大人が無責任に仕事を投げ出す姿を生徒に見せたくなかった。そのような思いがあったからだ。
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「おい。まさか帰るのか?明日の授業で使う教材を準備しろよ」
「いや、それは明日の授業と授業の合間で十分にできるので」
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ついでに私は、翌日以降の授業準備も行っていた。会議が終わる時間に職員室の教員に安田教諭の居場所を聞くが、会議が長引いているとの事。
そのまま私は、学校に残って授業準備をしながら会議が終わる事を待った。そして、やっと安田教諭が教科準備室に現れた。そして、報告をしようとする前に私に言った。
「どうしてここにいる?お前がいると準備室が閉めれないだろう。迷惑だ」
そう、彼は私に残業を強いた事を覚えていなかった。そして、まだ罵倒は続く。
私は急いで帰り支度をする。そして、仕事が終わった事を報告して、謝罪をした後に早歩きで学校を後にした。
涙を堪える事に必死だった。どうしてこんな目に遭うのか。罵倒されているのか。
帰宅後は、食事をしないで布団の中で泣いた。自分が惨めだった。反論できない立場にある事。毎日の罵倒。仕事環境すら与えられない事。
それでも、講師と言う役割を投げ出す事はできなかった。それは、前述した通りの理由があるからだ。そして、生徒にとっては一生一度の授業。私達、教員にとっては毎年繰り返される事ではあるが、生徒は違う。
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