【実話】私は人生を諦めた〜教育委員会の対応〜

みゆき

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初めての教壇、道徳を教える

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その日、実習で初めて教壇に立った。

声の大きさには自信があった。それに何度も何度も大学の模擬授業で練習もした。

実際の生徒を目の前にして、本物の授業を行うのは緊張した。でも、それが目指す道。

最悪だった事は、教材の質。

意図は掴める。学びの意図だけは。しかし、それを本を朗読して子供に伝えて、それで本当に良いのか。それが授業と言えるのか?

授業指導案を手元に置いて、参考書通りの展開を目指す。

順番に物語を朗読させる。これに何の意味があるのだろう?そう自身で疑問を持ちながら。

授業の展開は半ばまで到達。後は生徒の反応次第。

意見を聞きたいが、質問を投げても誰も発言しない。質問の言葉を変えても同じ。

そりゃそうだ。こんな教材で授業をしていたら、生徒も興味はなくなる。

先生である自分が、求められる意見を黒板に書き出す。そして、授業を一方的に進行させる。

果たして、これは授業と言えるのだろうか?先生がいなくても、本を読めば終わり。そんな内容だ。

授業の後半で、話をまとめる。そこでも生徒からの発言、反応はなかった。

仕方なく、自分でまとめる。そして、発言がなかった事によって授業時間は余る。

その時間をどうやって使うのか。生徒に感想などを求めていく。

名指しで強制的に感想を言わせる。

もう最悪な授業だったと今でも思う。腐った教材に、未熟過ぎる私。この授業の一コマは無駄だった。

そして、授業を終えた私は、反省をしようと待機室へ向かおうとしたところ、教室の出入り口で指導教員に呼び止められる。

生徒のいる前で、担当クラスだけではなく、多くの生徒がいる廊下で、私を怒鳴り、罵った。

立場上、言い返したい事はあっても、静かに返事をするしかできない私。

「はい」

「すみませんでした」

その言葉を何度繰り返しただろうか。

周囲では生徒が何事なのかと野次馬に集まる。

実習生と言えど、先生と言う立場を失った瞬間でもあった。


私は自信を失くしたまま、説教が終わり次第、待機室へ向かった。

初めての授業は失敗に終わる。しかし、まだ社会科の授業で挽回できる。チャンスはあるのだった。
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