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ここまで厳しい日々に耐えた意味、実戦は近い
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「21は実戦には出たかい?」
No.31、おじさんが僕に聞く。もう就寝時間も近く、疲れているのでみんな横になる時間だ。唯一のリラックスタイム。
「いや、まだ出た事はないです。実戦ってなんですか?」
31は多くの実績を残してきたのか、暖かそうな布団の中から話す。
「そっか。まだなんだね。うーん、トレーニングの成果を見せる場面。実績を作る機会だね」
いまいちイメージできない回答に疑問を持った。時代と実戦と言う言葉から、僕は戦場に出る事しかイメージできない。
「やっぱり…殺し合いになるんですかね…?」
「いやいや、人間が相手とは限らないよ」
どうやら、人間との戦闘よりも、無人戦闘機、つまりアンドロイドと戦う事が多いらしい。
「機械相手だから遠慮なくいけるっしょー?」
No.26のチャラ男が会話に入る。
「俺も人間と戦った事はないしぃ?ロボット狩りっしょ!」
いちいち喋り方が面倒臭い人だった。適当に相槌を打つが、話は覚えておかないと。
翌朝、部屋のメンバー全員が会議室に呼び出される。
「おはよう!」
「おはようございます!」
全員で元気に松下に挨拶をする。
「ここから西に約100km先の地上、工場地帯。そこが狙われている情報が入った」
「やっと実戦すね!」
チャラ男はやる気満々。身を乗り出して話を聞く。
「そうだ。この後、車に乗って移動をしてもらう」
各自にスマホのような端末が配られた。
「腕に巻きつけるんだよ。GPSと音声通話システムがあるから、本部から指示が受け取れるんだよ」
No.41は無邪気な子供の笑顔を見せた。
「まぁ、逃亡防止策ってやつやな。付けたら自分らじゃ外せへん」
ため息をつきながら、ユウトさんは教えてくれた。
既に僕は端末を腕に巻いていた。外そうと思っても、確かに外す事ができない。
「古い映画みたいに、爆発したり、命を奪うもんじゃないらしいけどなあ」
諦めた表情でユウトさんも端末を装着する。
そして、指示を受け取るためのワイヤレスイヤホンも支給された。
「準備はできたようだな!帰るまでが実戦!油断は禁物だぞー」
初めてこの時代での地上に出る。車は空を飛ばない。ビルなども変わらない。ファッションさえも対して変化はない。
僕の時代と変わらない街中から、トラックの荷台に押し込まれて出発する。
機械が相手。そう聞いていたので少しは気楽になった。人間同士の殺し合いではない。いくら何でも、人間のように機敏な動きができる訳でもないので、油断しなければ勝機は見えてくる。
「死んだらあかんで。生き延びる事を優先させるんや」
目を閉じながらユウトさんは言う。その体は震えているように見える。トラックの振動か、本人が震えているのかは分からないが。
そういえば、ユウトさんは何度、実戦に出たのだろうか?
「はい!大丈夫ですよ!」
そう元気に答えてみるが、顔色の悪いユウトさんには質問をする事ができなかった。
No.31、41はニヤニヤとしている。
No.12は遠くを見る目だ。
No.26は横になって眠っているのか、緊張はなさそうだ。
No.31、おじさんが僕に聞く。もう就寝時間も近く、疲れているのでみんな横になる時間だ。唯一のリラックスタイム。
「いや、まだ出た事はないです。実戦ってなんですか?」
31は多くの実績を残してきたのか、暖かそうな布団の中から話す。
「そっか。まだなんだね。うーん、トレーニングの成果を見せる場面。実績を作る機会だね」
いまいちイメージできない回答に疑問を持った。時代と実戦と言う言葉から、僕は戦場に出る事しかイメージできない。
「やっぱり…殺し合いになるんですかね…?」
「いやいや、人間が相手とは限らないよ」
どうやら、人間との戦闘よりも、無人戦闘機、つまりアンドロイドと戦う事が多いらしい。
「機械相手だから遠慮なくいけるっしょー?」
No.26のチャラ男が会話に入る。
「俺も人間と戦った事はないしぃ?ロボット狩りっしょ!」
いちいち喋り方が面倒臭い人だった。適当に相槌を打つが、話は覚えておかないと。
翌朝、部屋のメンバー全員が会議室に呼び出される。
「おはよう!」
「おはようございます!」
全員で元気に松下に挨拶をする。
「ここから西に約100km先の地上、工場地帯。そこが狙われている情報が入った」
「やっと実戦すね!」
チャラ男はやる気満々。身を乗り出して話を聞く。
「そうだ。この後、車に乗って移動をしてもらう」
各自にスマホのような端末が配られた。
「腕に巻きつけるんだよ。GPSと音声通話システムがあるから、本部から指示が受け取れるんだよ」
No.41は無邪気な子供の笑顔を見せた。
「まぁ、逃亡防止策ってやつやな。付けたら自分らじゃ外せへん」
ため息をつきながら、ユウトさんは教えてくれた。
既に僕は端末を腕に巻いていた。外そうと思っても、確かに外す事ができない。
「古い映画みたいに、爆発したり、命を奪うもんじゃないらしいけどなあ」
諦めた表情でユウトさんも端末を装着する。
そして、指示を受け取るためのワイヤレスイヤホンも支給された。
「準備はできたようだな!帰るまでが実戦!油断は禁物だぞー」
初めてこの時代での地上に出る。車は空を飛ばない。ビルなども変わらない。ファッションさえも対して変化はない。
僕の時代と変わらない街中から、トラックの荷台に押し込まれて出発する。
機械が相手。そう聞いていたので少しは気楽になった。人間同士の殺し合いではない。いくら何でも、人間のように機敏な動きができる訳でもないので、油断しなければ勝機は見えてくる。
「死んだらあかんで。生き延びる事を優先させるんや」
目を閉じながらユウトさんは言う。その体は震えているように見える。トラックの振動か、本人が震えているのかは分からないが。
そういえば、ユウトさんは何度、実戦に出たのだろうか?
「はい!大丈夫ですよ!」
そう元気に答えてみるが、顔色の悪いユウトさんには質問をする事ができなかった。
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