目が覚めたらそこは未来

みゆき

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地獄の時間が始まる

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ユウトさんの一言が気になりながら、通路を進んでいく。奥へ行くにつれて、廃墟のような雰囲気を漂わせる。

そこで待っていたのは、筋肉が凄まじい大男だった。

「ようこそ、新人君!」

元気な挨拶をされて、僕は会釈で返事をする。

その直後、体に激しい痛みを感じた。まるで皮膚が裂けるような痛み。

後ろを振り向くと、ここまで連れてきた男の一人が鞭で僕を叩いたようだ。

「挨拶は基本だろー?元気に挨拶したまえ!」

大男の爽やかな笑顔。確実にサイコパスと言うやつだ。

腹の底から声を出して挨拶をした。

「うむうむ、若者は元気が一番!」

今度は鞭で叩かれる事はなかった。求めていた挨拶ができたようだ。

これから何が行われるのか。やはり壁や地面には血が染みている。拷問でもされるのか?心臓がバクバクしている事がよく分かる。

「君のNo.を言いなさい!」

「21…です」

再び背中に裂けるような痛みを感じる。

「声が小さいっ!元気もない!やり直し!」

「21です!」

僕が痛がる姿を見てニヤニヤする大男。最高にサイコパスだ。そして、僕の苦手な体育会系。

「君は今からトレーニングと勉強を行う!私は効率が悪い事は嫌いだ。だから、同時にやるぞ!」

言っている意味が分からなかった。トレーニングと勉強?説明くらいはあっても良いんじゃ…

大男が鞭を手に取る。そして僕の上半身を二度、叩く。力強いだけあり、さっきよりも痛い。

「なんだその不満そうな顔は!?それとなぁ…返事をしろ!返事は大切だろう?」

「はい!すみませんでした!」

「そうそう、最初から元気に返事をしような!」

笑顔で教えられるが、こちらは恐怖心しかない。

「色々と聞きたい事はあると思うが…まずは筋トレだ!腕立て用意!」

話の道筋が理解できないので、体も頭も反応が遅れる。

激しい音と共に体に激痛が走る。大男は不満そうに僕を睨みつける。

「動きが遅い!まさか、腕立てを知らないとか…ないよな?」

僕は痛みを堪えて急いで腕立て伏せの構えをする。

「うむ!良いフォームだ。では始めてみろ!」

とにかくやるしかない。僕は筋力に自信はないが、腕立てを始めた。

「よーし、では自己紹介をしよう。俺は松下だ。よろしくな」

必死で腕立てをしている中、背中を鞭で叩かれる。

「返事をしろおおお、何度目だ!?」

何度も叩かれ、僕は丸くなるしかなかった。

「すまない、ついカッとなってしまって。もう一度、腕立てをやり直そう!」

松下は反省している様子などもなく、ただヘラヘラしながら言った。
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