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そこで出会ったのは仲間…?
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ボロボロの部屋。血が染みている壁と床。その中で、どれくらいの時間が経ったのだろうか。時計はあるけれど、見る気にもなれない。
足音が聞こえる。ドアが開かれて、長髪の男が一人、入れられた。
体には傷が多くあり、血が出ていた。
「新人かい…?」
壁にもたれかかって座り込む。その男はまだ若く10代後半だろうか。
「あの、大丈夫ですか…?」
「あー、大丈夫大丈夫。俺はユウト言うねん。君は?」
「アキラです…」
聞きたい事はたくさんあったが、言葉が出てこない。
「まだ綺麗な身体してるって事は、今日からこの部屋に来たんか?」
「はい…」
「そか…生きる事、それだけは忘れたらあかんで」
そう言って、ユウトは目を閉じて横になった。寝息が聞こえるので、ちゃんと生きている。
これから何をさせられるのだろうか。ユウトを見る限りでは、拷問か何かを受けたような感じがする。
しばらくすると、ユウトは目を覚まして起き上がる。
「そろそろ飯の時間や」
壁から出てきたのは、パンが2個。薄い色のスープ。そして、水。
「少ないし、美味しくないけど、しっかり食べときや」
彼はパンを食べ終えたら、スープで一気に流し込んだ。
「食べへんならもらうで?」
そう言われて、僕は急いで食べ始めた。味気ないパン。薄くて水と変わらないようなスープ。
「よしよし、ちゃんと食べたな。俺は19歳なんやけど、アキラ君は?」
「16歳です…」
「そっかー、弟と同じ歳やねんな。懐かしいなあ」
受動的、受け身な僕は自分で会話を広げる事ができなかった。せっかく、ユウトさんが話しかけてくれているのに申し訳ない気持ちになる。
「大人しい子なんやなあ。まあ、よろしく頼むわ」
「こちらこそ…よろしくお願いします」
ユウトさんは食事が終わると再び横になる。痛々しい傷の血はもう止まっていた。
「自分、いつの時代から冷凍保存されたん?」
「僕ですか。僕は2020年です」
「へえー、君の方が年上っちゃ年上なんか。俺は2032年や」
「そうなんですね」
また返事だけ。そんな自分が嫌になる。聞きたい事だってたくさんあるのに。
「今が何年か気になるやろ?でもな、俺もまだ教えられてないねん」
座り込んでいる僕は、ユウトさんも情報が少ない事に落ち込み、顔を伏せる。
時間が気になり、時計に目をやると、時刻は2時過ぎ。さっきの食事は昼食になる訳か。
ドアが開き、男が二人。
「21。出てこい」
視線は僕の方へ向けられている。確か、白衣の男は僕をNo.21と言った。つまり、僕が呼ばれたと言う事だ。
「頑張ってな、アキラ君」
横になったまま、ユウトは一言だけ言った。
足音が聞こえる。ドアが開かれて、長髪の男が一人、入れられた。
体には傷が多くあり、血が出ていた。
「新人かい…?」
壁にもたれかかって座り込む。その男はまだ若く10代後半だろうか。
「あの、大丈夫ですか…?」
「あー、大丈夫大丈夫。俺はユウト言うねん。君は?」
「アキラです…」
聞きたい事はたくさんあったが、言葉が出てこない。
「まだ綺麗な身体してるって事は、今日からこの部屋に来たんか?」
「はい…」
「そか…生きる事、それだけは忘れたらあかんで」
そう言って、ユウトは目を閉じて横になった。寝息が聞こえるので、ちゃんと生きている。
これから何をさせられるのだろうか。ユウトを見る限りでは、拷問か何かを受けたような感じがする。
しばらくすると、ユウトは目を覚まして起き上がる。
「そろそろ飯の時間や」
壁から出てきたのは、パンが2個。薄い色のスープ。そして、水。
「少ないし、美味しくないけど、しっかり食べときや」
彼はパンを食べ終えたら、スープで一気に流し込んだ。
「食べへんならもらうで?」
そう言われて、僕は急いで食べ始めた。味気ないパン。薄くて水と変わらないようなスープ。
「よしよし、ちゃんと食べたな。俺は19歳なんやけど、アキラ君は?」
「16歳です…」
「そっかー、弟と同じ歳やねんな。懐かしいなあ」
受動的、受け身な僕は自分で会話を広げる事ができなかった。せっかく、ユウトさんが話しかけてくれているのに申し訳ない気持ちになる。
「大人しい子なんやなあ。まあ、よろしく頼むわ」
「こちらこそ…よろしくお願いします」
ユウトさんは食事が終わると再び横になる。痛々しい傷の血はもう止まっていた。
「自分、いつの時代から冷凍保存されたん?」
「僕ですか。僕は2020年です」
「へえー、君の方が年上っちゃ年上なんか。俺は2032年や」
「そうなんですね」
また返事だけ。そんな自分が嫌になる。聞きたい事だってたくさんあるのに。
「今が何年か気になるやろ?でもな、俺もまだ教えられてないねん」
座り込んでいる僕は、ユウトさんも情報が少ない事に落ち込み、顔を伏せる。
時間が気になり、時計に目をやると、時刻は2時過ぎ。さっきの食事は昼食になる訳か。
ドアが開き、男が二人。
「21。出てこい」
視線は僕の方へ向けられている。確か、白衣の男は僕をNo.21と言った。つまり、僕が呼ばれたと言う事だ。
「頑張ってな、アキラ君」
横になったまま、ユウトは一言だけ言った。
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