7 / 18
国立生命研究所での記憶2
しおりを挟む
目が覚めた。窓がない部屋なので、今が何時か分からない。
テレビをつけると、ニュース番組が放送されていた。表示時刻は5時過ぎ。
早朝だったのか。布団に入り、再び眠ろうとするが、熟睡できたからなのか、慣れない環境のせいなのか、眠る事はできなかった。
ボーッとこれからの事や今までの事を考えていると、ドアが叩かれる。テレビに目をやると時刻は7時。
「朝ごはんになります。この後、8時より、案内役が参ります」
朝ごはんもシンプルな物だった。
トーストに目玉焼き。サラダ。
そして、時刻は8時になった。ドアが叩かれる。
「案内役の山下です。こちらへどうぞ」
山下に案内されるままに、僕はエレベーターに乗った。2階で降りて通路を奥に。扉は多くあった。その中の一つに案内される。
部屋の中は殺風景。テーブルを挟むソファ。ただそれだけ。
「ソファに座って少しだけ待って下さいね」
山下はどこかへ行った。僕は大人しく、ソファに座り山下を待った。
再びドアが開き、ノートパソコン、そして大量の資料だろうか。ファイルを持った山下が対面のソファに座る。
「お待たせしました。これより、西山アキラ君。君の今後について、案内させてもらうね」
やっと僕がどうなるのか分かる時が来た。死にたいけど死ねなかった僕。
「ここは人間を冷凍保存して、未来の技術によって再び生き返るように管理する施設なんだ」
テレビで見た事がある。海外では大金を支払って、未来に生き返る技術ができた時に備えて死体を保管してもらうサービスがあるとか。
まさか、それを日本政府が行なっているとは…
簡潔に述べると、僕は死体になって、冷凍保存から生き返る技術の実験体になる。と言う事だ。
「しかし、これは慈善事業ではない事は分かるよね?」
山下は話を続けた。
「遠い未来、そこはどうなっているのか。それは誰にも分からない。その時代に合わせて、生き返った時には必要とされる人材になってもらいたい」
契約書が提示される。その内容は難しい文章で表現されており、僕の頭では全てを理解する事はできなかった。
山下が一つ一つに補足を加えながら僕に理解できるように助けてくれる。
「これにサインと母印、そして判子を押せば契約は結ばれる」
山下は全ての説明が終わり、コーヒーを口に含んだ。そして、それを喉に通すと、こちらを睨むように言った。
「小林から言われたよね。ここまできたら、どうするべきか。それは君の判断に任せるが」
つまり、もう引き返せないところまで辿り着いた訳だった。
そう、死にたかった僕は、堂々と死ぬ事ができる。お願いしたいくらいだ。
そして、僕は日本政府のモルモットになった訳だ。
テレビをつけると、ニュース番組が放送されていた。表示時刻は5時過ぎ。
早朝だったのか。布団に入り、再び眠ろうとするが、熟睡できたからなのか、慣れない環境のせいなのか、眠る事はできなかった。
ボーッとこれからの事や今までの事を考えていると、ドアが叩かれる。テレビに目をやると時刻は7時。
「朝ごはんになります。この後、8時より、案内役が参ります」
朝ごはんもシンプルな物だった。
トーストに目玉焼き。サラダ。
そして、時刻は8時になった。ドアが叩かれる。
「案内役の山下です。こちらへどうぞ」
山下に案内されるままに、僕はエレベーターに乗った。2階で降りて通路を奥に。扉は多くあった。その中の一つに案内される。
部屋の中は殺風景。テーブルを挟むソファ。ただそれだけ。
「ソファに座って少しだけ待って下さいね」
山下はどこかへ行った。僕は大人しく、ソファに座り山下を待った。
再びドアが開き、ノートパソコン、そして大量の資料だろうか。ファイルを持った山下が対面のソファに座る。
「お待たせしました。これより、西山アキラ君。君の今後について、案内させてもらうね」
やっと僕がどうなるのか分かる時が来た。死にたいけど死ねなかった僕。
「ここは人間を冷凍保存して、未来の技術によって再び生き返るように管理する施設なんだ」
テレビで見た事がある。海外では大金を支払って、未来に生き返る技術ができた時に備えて死体を保管してもらうサービスがあるとか。
まさか、それを日本政府が行なっているとは…
簡潔に述べると、僕は死体になって、冷凍保存から生き返る技術の実験体になる。と言う事だ。
「しかし、これは慈善事業ではない事は分かるよね?」
山下は話を続けた。
「遠い未来、そこはどうなっているのか。それは誰にも分からない。その時代に合わせて、生き返った時には必要とされる人材になってもらいたい」
契約書が提示される。その内容は難しい文章で表現されており、僕の頭では全てを理解する事はできなかった。
山下が一つ一つに補足を加えながら僕に理解できるように助けてくれる。
「これにサインと母印、そして判子を押せば契約は結ばれる」
山下は全ての説明が終わり、コーヒーを口に含んだ。そして、それを喉に通すと、こちらを睨むように言った。
「小林から言われたよね。ここまできたら、どうするべきか。それは君の判断に任せるが」
つまり、もう引き返せないところまで辿り着いた訳だった。
そう、死にたかった僕は、堂々と死ぬ事ができる。お願いしたいくらいだ。
そして、僕は日本政府のモルモットになった訳だ。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
もうダメだ。俺の人生詰んでいる。
静馬⭐︎GTR
SF
『私小説』と、『機動兵士』的小説がゴッチャになっている小説です。百話完結だけは、約束できます。
(アメブロ「なつかしゲームブック館」にて投稿されております)
忘却の艦隊
KeyBow
SF
新設された超弩級砲艦を旗艦とし新造艦と老朽艦の入れ替え任務に就いていたが、駐留基地に入るには数が多く、月の1つにて物資と人員の入れ替えを行っていた。
大型輸送艦は工作艦を兼ねた。
総勢250艦の航宙艦は退役艦が110艦、入れ替え用が同数。
残り30艦は増強に伴い新規配備される艦だった。
輸送任務の最先任士官は大佐。
新造砲艦の設計にも関わり、旗艦の引き渡しのついでに他の艦の指揮も執り行っていた。
本来艦隊の指揮は少将以上だが、輸送任務の為、設計に関わった大佐が任命された。
他に星系防衛の指揮官として少将と、退役間近の大将とその副官や副長が視察の為便乗していた。
公安に近い監査だった。
しかし、この2名とその側近はこの艦隊及び駐留艦隊の指揮系統から外れている。
そんな人員の載せ替えが半分ほど行われた時に中緊急警報が鳴り、ライナン星系第3惑星より緊急の救援要請が入る。
機転を利かせ砲艦で敵の大半を仕留めるも、苦し紛れに敵は主系列星を人口ブラックホールにしてしまった。
完全にブラックホールに成長し、その重力から逃れられないようになるまで数分しか猶予が無かった。
意図しない戦闘の影響から士気はだだ下がり。そのブラックホールから逃れる為、禁止されている重力ジャンプを敢行する。
恒星から近い距離では禁止されているし、システム的にも不可だった。
なんとか制限内に解除し、重力ジャンプを敢行した。
しかし、禁止されているその理由通りの状況に陥った。
艦隊ごとセットした座標からズレ、恒星から数光年離れた所にジャンプし【ワープのような架空の移動方法】、再び重力ジャンプ可能な所まで移動するのに33年程掛かる。
そんな中忘れ去られた艦隊が33年の月日の後、本星へと帰還を目指す。
果たして彼らは帰還できるのか?
帰還出来たとして彼らに待ち受ける運命は?
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子
ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。
Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる