目が覚めたらそこは未来

みゆき

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国立生命研究所での記憶

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ファイルに記載された通りに記憶は蘇る。

高級車に乗った僕は、知らない土地をひたすら進んでいく。栄えた街から山道へ。トンネルを通り、どこにいるか、全く分からない。

山の中に立派な建物があった。ここが国立生命研究所。

小林に案内され、中に入る。殺風景な景色。

研究所の奥へ進むと、殺風景な景色は消えて、まるで高級ホテルのロビー。

そして、一つの部屋に案内された。

「ここが君の部屋になる」

シンプルな部屋になっている。ベッドにテーブル。小さなディスプレイのテレビ。

「君の所持品は全て預かる」

表情一つ変えずに淡々と事務的に話す小林。

言われるままに全ての所持品を渡す。スマホも渡したので、これでもう外と連絡を取る事はできない。

「その制服のベルトも預かる。自殺防止策で仕方なく…な」

「あの…これから僕は何をされるのですか?治験とか…人体実験?」

不安な気持ちが今になって湧き上がる。外界に助けを求める事もできなくなった。人に死に方を決められる事がこんなにも不安だと気が付いた。

「案内訳が来たら分かる事さ。死ぬ覚悟はできているんだ。後の事は気にする必要ない」

そう言って、小林は部屋を出る。

僕はその言葉の意味が怖くて追いかけようとしたが、ドアはオートロックなのか、内側から開ける事はできない。

大人しく、ここで案内役とやらを待つしかない。

時計がない部屋。今が何時なのかすら分からず、物音もしない静かな空間。

居心地が良いと感じる環境はいつぶりだろうか。

トントン、と言うドアをノックする音で目が覚める。いつの間にか眠っていた。慌てて返事をする。

「食事を運ばせていただきました」

まるでファミレスで見かけるようなメニュー。

ハンバーグ、ライス、サラダ、スープ。

今が何時なのか分からないが、お腹は空いている。

「あの…お金を持っていないのですが…」

「お代はいただきませんよ。安心して召し上がり下さい」

スーツを着た初老くらいだろうか。丁寧な物腰の方は質問に答えると、すぐに部屋を出て行った。

空腹だったので、遠慮なく食べる事にした僕。

味は絶品。メニュー、見た目はファミレスだが、味はずば抜けるものがあった。

すぐに食べ終えて、ベッドで横になり考える。

死ぬ気になったから連絡したのに、まるで天国のような待遇だ。これから何をさせられるのだろうか。

空腹が満たされ、長時間の移動から疲れもあり、急に眠気が襲う。

とりあえず寝てしまおう。目が覚める頃には、何か案内でもあるだろう。

寝心地の良い寝具に包まれ、すぐに眠りについた。
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